おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ロッキー2

2023-06-10 08:53:10 | 映画
それでは「ロッキー・シリーズ」の残りを。

「ロッキー2」 1979年 アメリカ


監督 シルヴェスター・スタローン
出演 シルヴェスター・スタローン タリア・シャイア バート・ヤング
   カール・ウェザース バージェス・メレディス トニー・バートン
   ジョー・スピネル レナード・ゲインズ シルヴィア・ミールズ

ストーリー
アポロとロッキーのプロボクシング世界ヘビー級タイトルマッチは、チャンピオンのアポロが辛うじて王座を死守したが、世間は無名の挑戦者ロッキーの健闘を称えた。
アポロから「再戦を受け入れろ」と挑発されながらも、再試合はしないと決めていたロッキーはボクシングの世界から身を引き、恋人のエイドリアンと結婚し新居を構え、エイドリアンの妊娠も判明。
自分にはボクシングしかないと気づくロッキーだが、前回の試合で負傷したロッキーの眼を心配する老トレーナーのミッキーも現役復帰には断固反対する。
そんな中『前回の試合はドローだ』『負けたのはチャンピオンだ』との世間の声に、無敵の王者のプライドを回復しようと執念を燃やすアポロは、ロッキーとの再戦をバッシングも同然の猛アピールで画策する。
この行為に憤慨したミッキーと共に、ロッキーは再挑戦を決意する。
再戦に向けてのトレーニングを開始するが、エイドリアンに反対されている所為か練習に身が入らない。
エイドリアンが過労と心労のうえ、余病を併発したままで出産し、昏睡状態に陥る。
必死の看病のおかげか、エイドリアンは覚醒したのだが、これ以上の負担をかけたくないロッキーは「ボクシングをやめてもいい」と言い放つ。
そんなロッキーにエイドリアンは「勝って!」と告げる。
その言葉に奮起したロッキーは猛トレーニングを再開。
万全の状態で、再試合のリングに立ったロッキーを待ち受けていたのは前回以上のアポロの猛攻であったが、ロッキーも今度は負けまいと必死に反撃する・・・。


寸評
前作の感動的なラストシーンから始まりあの興奮がよみがえってくる。
ロッキーはエイドリアンにプロポーズして、二人は無事結婚することになるが、ここまでの展開は前作からの続きと言うことで、すんなりとした入りだ。
ロッキーは名声を得てコマーシャルの依頼が来るが、間の抜けたようなロッキーはバカげた格好もさせられテレビ向きとは言えず、おまけにコマーシャルのセリフも上手く言えない。
少しばかりの金を手にするとすぐさま贅沢をしたくなるのが貧乏人の悪い性で、ロッキーとて例外ではない。
ボクシングしかなかったロッキーにとってまともな仕事はない。
学歴もなく資格もないロッキーには、平凡なサラリーマンとしての事務職などあるはずがなかった。
肉体労働などで苦労するが、人員削減のあおりを受けて解雇されてしまう。
アポロ戦で目を傷めていたし、エイドリアンの願いもあってボクサーをやめて普通の暮らしを目指すロッキーなのだが、それがなかなか受け入れられない苦悩の描き方としては随分と間延びしている。

結局自分にはボクシングしかないのだとミッキーのジムに戻っていくが、エイドリアンの賛成を得ることが出来ていないので練習に身が入らない。
その様子をだらだらと描いて、ロッキーとエイドリアンの心の内が伝わってこない。
一方のアポロは、先の試合が八百長ではないかとか、アポロは負けていたのではないかとかの中傷にいら立っているのだが、それも通り一辺倒な描き方である。
ロッキーを挑発して試合に引っ張り出そうとするアポロの焦りと、それを実行する手段に緊迫感はない。

そのようにこの作品は全体的にボンヤリしていて話にメリハリがなくやたらと時間だけを要している。
前作の興奮を覚えている者にとっては何か物足りないものを感じる。
エイドリアンは生活の糧のために勤めていたペットショップへ再びパートとして働きに出る。
仕事での無理とロッキーのボクサー復帰に対する心労も重なって、早産で出産するも合併症で意識不明に陥ってしまう。
献身的なロッキーの祈りが通じて、エイドリアンが意識を取り戻すとがぜん映画は輝きだす。
テーマ音楽が流れだすと自然と興奮状態になってしまうのが不思議だ。
なつかしいトレーニング風景も戻って来て、ロッキーがフィラデルフィアの街を走りだすと気分は最高潮だ。
子供たちの人気者であるロッキーが大勢の子供たちを引き連れてランニングするシーンは感動を呼ぶ。

もちろんこの映画の見せ場はアポロとの再試合のシーンであることは言うまでもない。
会場が盛り上がる雰囲気の伝え方、試合における死闘のとらえ方などは本当に上手い。
技術の集積を感じ、とても日本映画では出せない映像が続く。
再戦とあって結果は見えているのだが、それでも興奮させる迫力シーンが続く。
アメリカ映画は、このあたりの演出に秀でている。
この試合シーンがなければ凡作だ。
逆に言えば、それほど試合シーンは見事!