おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

レッズ

2023-06-02 06:09:50 | 映画
「レッズ」 1981年 アメリカ


監督 ウォーレン・ベイティ
出演 ウォーレン・ベイティ ダイアン・キートン ジャック・ニコルソン
   エドワード・ハーマン イエジー・コジンスキー
   ポール・ソルヴィノ モーリン・ステイプルトン

ストーリー
名門ハーバード大学卒業後、ジャーナリストの道に入ったジョン・リードは、第1次世界大戦のさなかヨーロッパで火の手が上がった国際労働者同盟の闘争に接して、初めて政治運動に目覚めた。
ジョンが人妻のルイズ・ブライアントと知り合ったのは1915年、彼女も女性解放問題を抱え、現実との板挟みに悩んでいて、2人はお互いの立場を尊重しあうという合意のもとで同棲生活に入った。
2人の周囲には寄稿を続けていた雑誌『民衆』の編集長マックス、アナキストで女権主義者のエマ・ゴールドマン、劇作家ユージン・オニールらの友人がいて、ジョンは一層、反戦運動にのめり込み、とうとうルイズを伴って、革命勃発直後のロシアに渡ることになった。
ペトログラードで見た革命の熱気と興奮は、ジョンを駆りたて、その体験記『世界をゆるがした十日間』はセンセーショナルな話題となった。
ジョンはその勢いで社会党の革新化に着手するが、対立する右派の制裁に会い、除名、さらに彼が率いる左派も分派し、これを収拾するために、ルイズの反対を押し切って再び封鎖中のロシアに潜入した。
ジョンが作ったアメリカ共産労働党を公認するお墨つきをもらうのがその目的だったが、革命派の党主脳はこれを拒否、ボルシェビキの指導者ジノビエフのロシア滞在の勧めを拒んで密かに帰国する。
その帰途、反共闘争をくりひろげるフィンランド当局に捕えられ、投獄されてしまう。
ジョン逮捕の知らせを受けたルイズは、オニールの助けで密航者としてフィンランドに旅立ったが、到着したとき既にジョンは釈放され、再びロシアに戻ったあとだった。
ルイズと連絡がとれぬまま、ジョンはコミンテルン執行委員の地位を与えられバク地方に演説旅行に出かけた。


寸評
僕は「世界をゆるがした十日間」というルポを呼んだことがないし、さらにはその著者であるジョン・リードのことは名前すら知らないでいた。
この映画の主人公は米国人でありながら、英雄としてクレムリンに葬られているほど、共産主義に全てを捧げた人生を送った人物だと言っていい。
しかしイマイチのめり込めなかったのは主人公が共産主義を主張し、プロレタリア革命を志向しているからではなかったかと、ふと思うのである。
僕は資本主義指示者で自由主義も支持しているから、結局のところ東西冷戦が、ソ連という共産主義国家の敗北で終わったが故に、共産主義は失敗だと語られがちなこともあって、どうも共産主義謳歌という内容に没我して魅入ることが出来なかった。
しかし共産主義は20世紀を突き動かした、世界の理想であり希望だったのかもしれないし、ロシア革命は世界の労働者に好感を持って見られたのだろう。
共産主義は理想であって、この映画でも語られるように理想を高く持てば持つほど、主義・主張が強くなり他者を排斥しなければ理想を実現できない一面を持つ。
共産主義、社会主義は、平等な社会を作るという崇高な目標を掲げたものの、結果的には権力の集中を生み特権階級を生んでいる。
共産主義、社会主義を見る僕の目が、この映画から僕を一歩下がらせてしまう。

ジョン・リードは革命家だが、同時に愛妻家の一面を持っている。
女性解放運動家でもあるルイズ・ブライアントとくっついたり離れたりしているが、いい夫婦なのだと思わせる。
ルイズは勝気な女性で主張も夫に負けない強いものがあるのだが、時に可愛い一面を見せる。
ちょっと変わった夫婦愛を描いた作品とも見て取れるのだが、僕が一番感動したのは途中休憩に入る前の一連のシーンだ。
ロシア革命が拡がっていき、ジョンとルイズの間に愛が再び蘇ってくる様子が微笑ましく感動を呼ぶ。
その間に流れる曲が「インターナショナル」である。
僕の大学時代は学生運動の嵐が吹き荒れ、宴会などでも仲間と肩を組んで「インターナショナル」を歌い、精神が高揚して随分と盛り上がったものだ。

起て飢えたる者よ 今ぞ日は近し
醒めよ我が同胞(はらから) 暁は来ぬ
暴虐の鎖 断つ日 旗は血に燃えて
海を隔てつ我等 腕(かいな)結びゆく
いざ闘わん いざ 奮い立て いざ
あぁ インターナショナル 我等がもの

胸が高鳴るなあ・・・。
でも映画としてこの内容を描くのにこれだけの時間が必要だったのかなあ・・・。