おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ロンゲスト・ヤード

2023-06-15 07:28:14 | 映画
「ロンゲスト・ヤード」 1974年 アメリカ


監督 ロバート・アルドリッチ
出演 バート・レイノルズ エディ・アルバート マイケル・コンラッド
   ジム・ハンプトン チャールズ・タイナー リチャード・キール
   エド・ローター バーナデット・ピータース ハリー・シーザー

ストーリー
ポール・クルーは、かつてプロ・フットボールの花形クォーターバックとしてならした男だが、今は金持ち女メリッサ・ゲインズのヒモとして自堕落な生活を送っている。
ある日、ポールは彼女の高級スポーツカーを盗んだため、シトラス州立刑務所にぶち込まれてしまう。
刑務所長のヘイゼンは、配下である看守たちのセミプロ・フットボール・チームを育てあげることに異常な執念を燃やしており、新入りの囚人名簿の中に、元プロの有名なポールの名を発見して早速彼に看守チームのコーチ役を命ずるが、ポールに断られたため、怒ったヘイゼンは懲罰として、ポールを黒人の大男グルンビンと組ませ、沼地の重労働キャンプへ追いやってしまう。
囚人達を直接監督する立場にあるナウアー看守長の汚いやり方に堪忍袋の緒を切らしたポールは、彼に殴りかかり、そのために独房に監禁された。
ヘイゼン所長は独房から出す交換条件として再びフットボールの話を持ち出し、ついにポールは看守チームの練習台となる囚人チームの育成に同意する。
ポールは囚人チームの結成にとりかかり、チームの実力は充実したものになった。
だが、看守チームにも強豪ボグダンスキーを始め、荒くれ者揃いで油断はできない。
ついに試合当日がやってきた。
刑務所のグラウンドには、看守の家族や一般の町の人がつめかけ、針金が張りめぐらされた囚人席も満員になり試合が開始された。


寸評
フットボールを題材にした映画は数多くありそうなのだが、ボクシングや野球に比べると少ないような気もして、本作は僕が見たフットボールの数少ない作品の一つである。
プロ・フットボールや学生のフットボールではなく、囚人チーム対看守チームという設定が面白いし中身もまあまあなのだが、僕は一般的な評価と違って少し物足りなさを感じた。
画面分割やスローモーションを取り入れて工夫をしているが、試合のシーンにイマイチ迫力を感じなかったのが一番の原因だったように思う。
僕には、簡単にタッチダウンが出来てしまう凡戦のように見えたのだが・・。
主人公はかつての花型プレーヤーなのだが今は落ちぶれて刑務所暮らしとなるのだが、どうもその背景も上手く処理できていなかったように思う。
チームに参加する他の囚人たちの特徴も通り一辺倒な描き方だったように感じた。

刑務所長のヘイゼンがセミプロともいえる看守チームを優勝させることに執念を燃やしているが、性格的に面白い存在は看守長のナウアーだ。
彼は看守として囚人に恐れられているだけではなく、看守チームの鬼コーチとしての自分に酔いしれている。
自分は名コーチだとの思いに浸っていて、それでプロの名クォーターバックだったポールがコーチに就くことを毛嫌いする。
所長からコーチ就任の要請を受けても断るようにと圧力をかけるほど、コーチの立場に神経質だ。
他の看守たちは立場上彼に従っているが、陰では名コーチを気取っていると批判的な様子もうかがえる。
試合が終わって看守チームの一人は、なかなかやるじゃないかとポールに親しみの声をかけるが、看守と看守長の関係は描き切れていなかったように思う。

試合はフットボールに名を借りた格闘技戦で、お互いに反則と思われるプレーを繰り返す。
所長のヘイゼンと看守たちは囚人たちに自分たちが支配者なのだと思い知らせてやろうと考えているし、囚人たちは日頃押さえつけられている看守たちに仕返しをしてやろうと思っている。
プレー後でも体当たりを食らわせるし、肘打ちで相手をノックアウトさせたりする。
それを看守チームも囚人チームもやらかして一触即発なのだが、そのメラメラ感をもう少し前面に出してほしかったのだが、それでも負傷退場者が出たりして試合は面白くなる。
点数だけ見れば、試合展開はオーソドックスなもので、囚人チームが引き離され、やがて追い上げを見せて最後には逆転するのはこの手の映画の王道のような気もする。
それでも、看守チームの選手の一人のタマタマめがけてボールを投げつけ気絶させるシーンなどは笑いを誘い、エンタメ性を高めていた。
看守チームの特徴を知るエピソードも愉快だ。

気に入らないヘイゼンを殴って、その後所長になったヘイゼンによって30年も囚人として収容されている老人にポールは後悔はないのかと聞いていたが、ヘイゼンに逆らったポールのその後、また裏切り者の末路がどうなったのか気になるところである。