おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

レザボア・ドッグス

2023-06-01 06:56:58 | 映画
「レザボア・ドッグス 」 1991年 アメリカ


監督 クエンティン・タランティーノ
出演 ハーヴェイ・カイテル ティム・ロス マイケル・マドセン
   クリストファー・ペン スティーヴ・ブシェミ
   ローレンス・ティアニー カーク・バルツ エディ・バンカー
   クエンティン・タランティーノ

ストーリー
ロサンゼルスの犯罪のプロ、ジョー・カボット(ローレンス・ティアニー)は大掛りな宝石強盗を計画し、彼の息子ナイスガイ・エディ(クリストファー・ペン)とダイヤモンド専門の卸売り業者に押し入るべくプロの悪党たちに声をかけた。
計画を成功させるため、コードネームで呼ばれるMrホワイト(ハーヴェイ・カイテル)、Mrオレンジ(ティム・ロス)、Mrブロンド(マイケル・マドセン)、Mrピンク(スティーヴ・ブシェミ)、Mrブルー(エディ・バンカー)、Mrブラウン(クエンティン・タランティーノ)が集まった。
周到に練られた彼らの計画は、襲撃現場に警官が待ち伏せていたため失敗に終る。
ホワイトと瀕死の重傷を負ったオレンジが集合場所の倉庫に必死でたどり着いた時、ピンクもやって来た。
そして彼らはブルーが行方不明で、ブラウンは逃走の途中で死んだことを知った。
彼らの中に仲間への不審の念が沸き上がる。
そこに縛り上げた若い警官、マーヴィン・ナッシュ(カーク・バルツ)を連れてブロンドがやって来た。
仲間に裏切り者がいたことを確信するブロンドは、この警官に裏切り者は誰か吐かせようと言う。
やって来たエディと共に、ホワイトとピンクは隠したダイヤを取りに倉庫を出て行った。
サディストのブロンドは拷問を楽しむために剃刀とガソリンを取り出した。
倉庫にマーヴィンの絶叫が響き、彼の耳が切り落とされた。
血の海の中でオレンジはマーヴィンに、自分は潜入捜査官だと告白した。
そしてまた倉庫に生き残った者が集まり、それぞれの不信感が絶頂に達し、凄絶な殺し合いが始まった。
銃を手にしなかったピンクがひとり生き残り、地獄絵のような倉庫をあとにして去っていくのだった。


寸評
「強盗に失敗した仲間たちの中に、実は警察の人間が紛れているかもしれないと疑心暗鬼になる」という物語で、時間を前後して描いているのはタランティーノらしい。
サスペンスとして見るなら、宝飾店の襲撃場面も警官隊との銃撃戦もないので強盗団の映画としては迫力はない。
仲間の中に裏切り者がいて、それが誰だったのかを追及するサスペンス性も乏しい。
タイトルが出る前に強盗団の連中が歌手のマドンナ談義などを延々とやっていて、これがこの映画の雰囲気で、冒頭場面を面白いと感じればついていけるだろうが、全体として変化に乏しく退屈なサスペンス映画と言えるだろう。

タランティーノが描いているのはサスペンスよりも悪事を働いた連中の中に沸き起こる疑心暗鬼である。
ある種の心理劇で、彼らの心の内に入り込んで見るとまた違った面白さを発見できる。
すでに事件は起きていてオレンジが腹を撃たれる重傷を負っている。
運転しながらホワイトが必死で励まして集合場所の倉庫に向かう。
ピンクがやってきたところで裏切り者がいるという話になる。
彼らは本名も出身地も知らないもの通しだが、なぜかホワイトはオレンジを信用している。
ブロンドは人質にした若い景観の耳を削ぎ落すような男だが仲間を売るようなことはしない男なのでホワイトはブロンドを信用している。
疑心暗鬼が渦巻いているが、一方で疑いもなく信用する相手もいる。
その中での言い争いがそれぞれの思いの中で行われる会話劇となっている。
僕には強盗を巡るサスペンスと言うより、強盗団による会話劇の印象が強い。
やがて誰が裏切り者かがわかり、オレンジが腹を打たれた状況も明らかになる。
時間が後戻りして意表を突く展開を見せる。
そして最後に皆死んでしまいましたというオチがあっけない。
それもタランティーノの狙いであったろう。