おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

間宮兄弟

2020-04-19 21:17:53 | 映画
「間宮兄弟」 2006年 日本


監督 森田芳光
出演 佐々木蔵之介 塚地武雅 常盤貴子
   沢尻エリカ 北川景子 戸田菜穂
   岩崎ひろみ 佐藤隆太 横田鉄平
   加藤治子 高嶋政宏 中島みゆき

ストーリー
東京、下町のとあるマンションで間宮兄弟は一緒に暮らしている。
兄の明信(佐々木蔵之介)はビール会社の商品開発研究員で、弟の徹信(塚地武雅)は小学校の校務員だ。
彼らは自分たちの世界で、楽しく穏やかに何不自由なく暮らしている。
ある日、徹信が兄に「カレーパーティーをやろうか」と持ちかける。
招待客は、徹信と同じ小学校で働く葛原依子先生(常盤貴子)と、行きつけのビデオショップでアルバイトをしている大学生の本間直美(沢尻エリカ)だ。
パーティーは大成功に終わり、兄弟の“今日の反省会”は、史上最高に盛り上がった。
夏休み、間宮兄弟は、母と祖母の暮らす故郷・静岡に帰省する。
駅には母の順子(中島みゆき)が中古で買ったロールスロイスでお出迎え。
田舎に帰れば兄弟は今も子供のままで、お小遣いをもらい、ここでもやっぱり昼寝をし、海水浴を楽しんだ。
仕事帰りに時々、明信はビール会社の先輩である大垣(高嶋政宏)と安西(岩崎ひろみ)とバーに立ち寄る。
大垣は妻、さおり(戸田菜穂)に離婚を切り出して以来、家に入れてもらえないという。
そして離婚の原因は安西との不倫にあるのだった。
数日後、大垣家のリビングで向かい合う大垣と明信、そしてさおりだったが、離婚の話は平行線に終わった。
同じ夜、徹信はバーでぼったくりに遭っていた。
ある日、直美は明信から告白されるが、丁重にそれを断り、就職も決まったので、アルバイトを辞めると告げる。
落ち込む明信を徹信は慰め、これからもずっと一緒に暮らそうと宣言する。
その頃、直美は妹の夕美(北川景子)に、いつまでも姉妹で一緒に遊んでいていいのだろうかと言うと、夕美は「間宮兄弟を見てみなよ。あの年でもずっと一緒だよ」と答えるのだった。


寸評
僕には兄弟がいない。母一人、子一人で育った。
したがって兄弟の感情や関係がどのようなものなのかわからない。
兄弟喧嘩や兄弟の確執も知らないが、兄弟仲良く遊んだ経験もない。
特に兄弟を欲しいと思ったことはないのだが、幼少の頃にとても仲の良い兄妹がいて、その関係を羨ましく思っていた記憶はある。
僕には双子の孫が居る。まだまだ小さい。
二人はいつも一緒に遊んでいて、他の子とあまり遊ばないそうだ。
やがて別々の道を歩み始めるのだろうなと思っているのだが、この映画を見るといつまでもふたり仲良くいい子でいてくれたらなと思う。
この映画のように、いい歳をして、いつまでもぶらぶらと遊んでいるようなのは困るけど・・・。
他人だったらそれもありかとは思うんだけど、自分の孫たちとなると・・・。
だけど映画の世界になると随分と微笑ましいものだ。
しかしこの映画の終盤で、直美(沢尻エリカ )は妹の夕美(北川景子 )に、「私たちこんなふうにブラブラ散歩できるのも今だけかもしれないね」と言うと、夕美は「間宮兄弟を見てみなよ。あの年でもずっと一緒だよ」と答えていて、間宮兄弟の関係を肯定している。
最後のこの一言を言わせたいための映画で、いろんなエピソードはこの一言のためのコマに過ぎなかった。
明信(佐々木蔵之介 )と徹信(塚地武雅 )兄弟の母親(中島みゆき )も海辺ではしゃぐ二人を見て「いい子達でよかったわ」と満足気な笑顔を見せるのである。
もちろん帰省時に花札に興じていたお爺ちゃん、お婆ちゃんも彼らを子供の頃のように愛おしむ。
部屋にはその頃の写真が所狭しと飾ってある。
ぼくは母親の気持ちも、祖父母の気持ちも分かる年齢になってしまった。
滅多に姿を見せない中島みゆきだが、ここでは中古のロールスロイスを乗り回す呑気な母親の雰囲気を出していて、映画出演したことに驚かされた。

間宮兄弟は横浜ベイスターズのファンらしく、ふたりで野球中継を見てはスコアブックをつけている。
ポップコーンを食べながら二人並んでDVDを鑑賞している。
いつも一緒で、落ち込んだ時には慰め、寝込んでしまったらそっとタオルケットを掛けてやる思いやりを持っている。
お互いをいたわりあっている優しい兄弟。
それが間宮兄弟だと、ここでタイトルが出るのだが、最近よく見かけるようになった演出だ。
その間、ふたりの間に会話はない(徹信が校務員をしている小学校の依子先生(常盤貴子)も登場するが、彼女は徹信と言葉を交わしている) 。
会話はなくても通じ合っているのだと言っているようでもあった。

ドランクドラゴンの塚地武雅はここでもいい味を出している。
最近のお笑い芸人は芝居をさせてもいい味を出す芸達者な人が増えてきた。