「幕が上がる」 2015年 日本
監督 本広克行
出演 百田夏菜子 玉井詩織 高城れに
有安杏果 佐々木彩夏 ムロツヨシ
清水ミチコ 志賀廣太郎 黒木華
ストーリー
今年もあっさりと地区予選で敗退した富士ヶ丘高校の演劇部。
最後の大会を終えた先輩たちに代わって、部長として富士ヶ丘高校の演劇部をまとめることになった高橋さおり(百田夏菜子)。
新部長となったものの、みんなをどう引っ張っていけばいいのか分からず苦悩の日々が続く。
どうやったら演技が上手くなるのか……?
演目はどうすればいいのか……?
そんな時、元学生演劇の女王だったという新任の吉岡先生(黒木華)が学校にやって来た。
美人だが少々変わったその先生は、地区大会すら勝ったことのない弱小演劇部員たちに告げる。
“私は行きたいです。君たちと、全国に。行こうよ、全国!”
気迫に充ちたその一言で、彼女たちの目標は決まる。
演目は『銀河鉄道の夜』。
演出を担当するのは部長のさおり。
演じるのは、看板女優でお姫様キャラの“ユッコ”(玉井詩織)、黙っていれば可愛い“がるる”(高城れに)、一年後輩でしっかり者の“明美ちゃん”(佐々木彩夏)、そして演劇強豪校からのスーパー転校生“中西さん”(有安杏果)といった演劇部員たち。
吉岡先生と、頼りない顧問の溝口(ムロツヨシ)と共に、富士ヶ丘高校演劇部は、見たことも行ったこともない無限の可能性に挑む……。
寸評
ニューヨーク・ヤンキースに入団した田中将大が大ファンという「ももいろクローバーZ」、通称ももクロ主演の作品となると、な~んだ、アイドル映画かとなるのだが、あにはからんや正統の青春映画となっている。
僕はももクロに興味もなかったので全く知識がない。
メンバーの人数も知らなかったし、ましてやメンバーの名前も顔も知らないできた。
5人のメンバーが出そろったところで、ももクロは5人グループだったのだと判ったし、この子たちがそのメンバーなのだということも知った。
さおりの百田夏菜子、ユッコの玉井詩織はアイドルと言われればそんな気がしないでもないが、グループ自体はごく普通の女の子たちの集団に見える。
だから彼女たちが演じた女子高生は等身大に見えて、その姿はみずみずしさがあり、キラキラと輝いている。
彼女たちの演技的にも言える若さを、まだまだ若手と言える黒木華がぐっと引き締めて作品を昇華させている。
舞台は共学の高校なのだが男子高校生は登場しない。
したがって付き物のほのかな恋模様も登場しない。
これなら舞台を女子高に置き換えてもいいのではないかと思うし、演劇部にどうして男子部員がいないのだとも思ってしまう。
それでも、様々な悩みや葛藤を抱えつつ、ひたむきに前に進む女子部員たちの心情が伝わって来て、感じる不自然さを吹き飛ばしている。
ちょっと演説をぶたせすぎではないかと思うシーンもあるが、さおりと転校生の中西、さおりとユッコがそれぞれ語り合うシーンなどは心にしみる。
反面、演劇に打ち込む姿は分かるのだが、一方の問題である受験勉強はどうなっているのかは全く描かれてなくて、わずかにさおりと母親の会話の中で描かれているだけだ。
それを補うように語られる滝田先生の国語の授業と、演じる志賀廣太郎の声音が心に響く。
主役はあくまでも女子高生なのだが、それにリンクする形で指導する吉岡先生が変わっていくのがいいし、それを表現した黒木華の存在が作品を引き立てている。
学生演劇の女王だった吉岡先生は演劇を諦めていたはずだったが、彼女たちとの合宿の時に昔の仲間と会って「元気もらったわ」と帰ってくる。
彼女はもっと大きなことに出合っているのだが、彼女たちの影響で吉岡先生も変わってきていることを伺わせる。
この二重構造が何とも言えない。
ラストシークエンスは感動的だ。
変に吉岡先生が女子高生の前に現れないのもいい。
大会の結果が分からにのもいい。
何よりも成長した彼女たちがここにいて、その姿がいまから見られるぞというラストシーンに身震いする。
う~ん、ここでタイトルを出すか!
本広監督の最高傑作といってもいいだろうが、ももクロの持つ勢いやパワーのせいだったのかも知れない。
監督 本広克行
出演 百田夏菜子 玉井詩織 高城れに
有安杏果 佐々木彩夏 ムロツヨシ
清水ミチコ 志賀廣太郎 黒木華
ストーリー
今年もあっさりと地区予選で敗退した富士ヶ丘高校の演劇部。
最後の大会を終えた先輩たちに代わって、部長として富士ヶ丘高校の演劇部をまとめることになった高橋さおり(百田夏菜子)。
新部長となったものの、みんなをどう引っ張っていけばいいのか分からず苦悩の日々が続く。
どうやったら演技が上手くなるのか……?
演目はどうすればいいのか……?
そんな時、元学生演劇の女王だったという新任の吉岡先生(黒木華)が学校にやって来た。
美人だが少々変わったその先生は、地区大会すら勝ったことのない弱小演劇部員たちに告げる。
“私は行きたいです。君たちと、全国に。行こうよ、全国!”
気迫に充ちたその一言で、彼女たちの目標は決まる。
演目は『銀河鉄道の夜』。
演出を担当するのは部長のさおり。
演じるのは、看板女優でお姫様キャラの“ユッコ”(玉井詩織)、黙っていれば可愛い“がるる”(高城れに)、一年後輩でしっかり者の“明美ちゃん”(佐々木彩夏)、そして演劇強豪校からのスーパー転校生“中西さん”(有安杏果)といった演劇部員たち。
吉岡先生と、頼りない顧問の溝口(ムロツヨシ)と共に、富士ヶ丘高校演劇部は、見たことも行ったこともない無限の可能性に挑む……。
寸評
ニューヨーク・ヤンキースに入団した田中将大が大ファンという「ももいろクローバーZ」、通称ももクロ主演の作品となると、な~んだ、アイドル映画かとなるのだが、あにはからんや正統の青春映画となっている。
僕はももクロに興味もなかったので全く知識がない。
メンバーの人数も知らなかったし、ましてやメンバーの名前も顔も知らないできた。
5人のメンバーが出そろったところで、ももクロは5人グループだったのだと判ったし、この子たちがそのメンバーなのだということも知った。
さおりの百田夏菜子、ユッコの玉井詩織はアイドルと言われればそんな気がしないでもないが、グループ自体はごく普通の女の子たちの集団に見える。
だから彼女たちが演じた女子高生は等身大に見えて、その姿はみずみずしさがあり、キラキラと輝いている。
彼女たちの演技的にも言える若さを、まだまだ若手と言える黒木華がぐっと引き締めて作品を昇華させている。
舞台は共学の高校なのだが男子高校生は登場しない。
したがって付き物のほのかな恋模様も登場しない。
これなら舞台を女子高に置き換えてもいいのではないかと思うし、演劇部にどうして男子部員がいないのだとも思ってしまう。
それでも、様々な悩みや葛藤を抱えつつ、ひたむきに前に進む女子部員たちの心情が伝わって来て、感じる不自然さを吹き飛ばしている。
ちょっと演説をぶたせすぎではないかと思うシーンもあるが、さおりと転校生の中西、さおりとユッコがそれぞれ語り合うシーンなどは心にしみる。
反面、演劇に打ち込む姿は分かるのだが、一方の問題である受験勉強はどうなっているのかは全く描かれてなくて、わずかにさおりと母親の会話の中で描かれているだけだ。
それを補うように語られる滝田先生の国語の授業と、演じる志賀廣太郎の声音が心に響く。
主役はあくまでも女子高生なのだが、それにリンクする形で指導する吉岡先生が変わっていくのがいいし、それを表現した黒木華の存在が作品を引き立てている。
学生演劇の女王だった吉岡先生は演劇を諦めていたはずだったが、彼女たちとの合宿の時に昔の仲間と会って「元気もらったわ」と帰ってくる。
彼女はもっと大きなことに出合っているのだが、彼女たちの影響で吉岡先生も変わってきていることを伺わせる。
この二重構造が何とも言えない。
ラストシークエンスは感動的だ。
変に吉岡先生が女子高生の前に現れないのもいい。
大会の結果が分からにのもいい。
何よりも成長した彼女たちがここにいて、その姿がいまから見られるぞというラストシーンに身震いする。
う~ん、ここでタイトルを出すか!
本広監督の最高傑作といってもいいだろうが、ももクロの持つ勢いやパワーのせいだったのかも知れない。