猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

無関心の殺意。

2009年09月18日 21時40分02秒 | つぶやき

 

名前は可哀想な響き、【ヘクソカズラ】だが.....
花は可憐で美しい。

 

小田原城公園内で飼育されていた、
日本最高齢のアジア象、ウメ子が亡くなったという。

驚くほど狭くて粗末な、古ぼけた囲いに、
半世紀以上閉じ込められた、あの、老いた象が。

 

葛の花はいい香り。
土手を走るとどこからともなく、色に似合いの
品のある、この香りが漂ってきます。

 

彼女の置かれた環境は、傍目から見ても、あまりにひどく、
以前にも書いたように、近年では、
市原市にある象の国への引き取りの可能性も含め、
周囲の人たちから働きかけがあったようだが.....

小田原市側は、『象は市のものであるから市民の反対の声があがると困る』とか、
『運搬中に事故があったら市民から苦情がくる』とか、
『引き取り先で商売に利用されるのでは?』とかの理由から、
それを断ったのだという。

私には、その生涯のほとんどを、人々のために捧げてくれた象に
(「捧げさせられた」、が正しいが)
仲間のもとで、穏やかな余生を過ごさせてやるのを反対する市民がいたとは、
どうしても思えないが.....

( まあ、仲間の元へ行ったら行ったで、ずっと一頭でいた象が、
 うまくやっていけたかどうかはわからないけど.....
 それでも、試してみてみる価値はあったはず)

 

ニラも一斉に花をつけ。
本格的な秋を前に、虫たちは蜜を吸うのに忙しい。

 

つまるところ、市側は、
「象のことなんかで自分が責任を取らされるのはイヤだ」と、
ただ、逃げていただけなのではないか。

.....59年。

59年も、一人ぽっちで、
あの狭い囲いの中に閉じ込められた彼女は、
とうとう、あの中から出ることなく、逝ってしまったのだ。

ニュースによれば、前日も旺盛な食欲を見せたウメ子は、
17日朝、象舎の中で横たわっているところを、
飼育員に発見されたということだが.....

はたして。

彼女が最期に思ったのは。

最期に聞いたのものは、いったいなんだったろう。

.....あの暗くて狭い、コンクリートの象舎の中で。

 

オクラももうすぐ終わり。
夏が、行ってしまいますね。

 

人間のエゴにより、さまざまな種類の動物が、絶滅の危機に瀕している今。

私は何も、現代の動物園の役割を、否定する一方ではないけれど。

それでも、ウメ子の最期を思うとき、
悔しさと哀しさとやりきれなさに、身の置きどころもなく、
ただ、ただ、うなだれるしかない。

「こうして毎日、人の勝手で、多くの動物たちが死ぬのだ」と。

私も、あなたも、毎日殺している。

 

最期の力を振り絞って実をつけるゴーヤ。
また来年、こぼれ種から芽が出るように。

コメント (10)
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