そういえば、ここしばらく、美味しいものを載せてませんでしたね。
こちら、ゴンザが作ってくれた、トマトのサラダ。
ガサツな私じゃこうはいかない。
「わー♪ うつくしー♪ おいしー♪」
畑へ向かおうと、自転車を走らせていて、
ふと、いつもの習慣で、首元に手をやった。
もう、20年近くもつけ続けているネックレスの、
所在を確認する、いつものクセで。
と。
一瞬背筋が凍りつき、反射的に手がブレーキをつかむ。
どこをどう触っても、いつもは手に触れるはずのモノが、
まったく見当たらないのに気がついて。
こちらは畑で採れるイチゴちゃん。
摘んだばかりのイチゴは、香りと果汁が口いっぱいに広がって、
ものすご~く美味しい。
当然虫にも鳥にも狙われ、半数は食われてしまいますが(笑)
私は自転車にまたがったまま、何度も何度も首元をさぐる。
『ない...やっぱりない!どこに.....どこかに落としてしまったのか!?』
それがいつからなくなってしまったのか、
最後に触ったのはいつのことだったか.....。
私は必死で思い出そうとし、今来た道を急いで戻る。
「ああ、見つからなかったらどうしよう。
拾った人は親切に警察へ届けてくれるだろうか。
.....やっぱりあきらめるしかないのかな」
今年の我が家の畑は、今までにない充実度。
ここからわさわさ、夏野菜たちも茂り.....もっと賑やかになるでしょう。
継続は力なり。
毎年、少しずつですが、コツをつかんでいってます。
冷や汗をかきながら自転車を漕ぎ、
目を皿のようにして、
どこかにそれが落ちてはいまいかと、きょろきょろする。
ずっと大事にしてたのに。
仕事中以外は、ずっとずっと身につけていたものだったのに。
いろんな思いが駆け巡る中。
ついに家まで戻ってきてしまった私は、
がさごそ探ったあげく、
ゴンザが眠る布団の上に引っかかっている、
きらきらと光るものを見つけた。
あら、こちらはジャガイモの葉の上でお取り込み中(笑)
「邪魔してごめんね~」
ちなみにナミテントウで女子に『もてる』のは黒地のオスだとか。
「あった.....!」
泣き出しそうになりながら、
さらりと、柔らかな布に流れるように落ちているそれを拾い上げ、
私は大事に首元に戻す。
「それはお前にあげたものだから」
遥か昔。
大好きで大好きで仕方なかった彼がくれたそのダイヤを、
別れ際返そうとして、そっと手を押し戻された日のことが、
今もはっきりと思い出される。
彼とのことは過去となっても、きらきら輝きを失わないそれは、
私の青春そのものだ。
若い頃に失恋するのはそう悪いことじゃない。
なんだかんだいって、ある意味恋愛ほど、
人を成長させるものってないと思うから。
恋を実らせるにも、継続させるにも、また、失ったあとにも.....
頑張る動機は不純なほうがいいし、
だからってそれが純粋でないとは、誰も言えないと思うのだ。
「見つかってよかったね」
微笑みながらゴンザが言ってくれ、
「ありがとう」とお礼をいいながら、
今の幸せに、私は思わず泣きそうになる。
思い出は痛いほど甘くなり。
けれどそれは、幼いころ食べたケーキの味みたいなもので.....
今食べても、おなじ味は決してしないと、
大人なら、誰でも知っている。
私は首元に戻った光を何度も確認しながら、再び畑へと向かった。
【ラ・ベルデュール】の『トロワフレール』は、
それぞれの層の味と香りがあいまって、素晴らしいハーモニー。
一方畑では。
ここ数か月、畑から姿を消していた『じょうろ』が、
数日前に見つかったばかりだ。
大きな、風で飛ぶはずもないそれは、
二つ隣の畑の物置の陰に置いてあり.....
私たちをとても失望させたのだ。
「持ってって使ってもいいから、元に戻してくれればいいのに」
いつもは温厚なこの方もお怒りモードです。
プンプンです。
たとえばいくら強風が吹いたとしても、あの後ろの段差を越えて、
さらにその奥の畑までこいつが飛ばされて、物置の陰に収まるとは.....
どう考えても思えないもんねぇ。
ちなみにどうしてそれを見つけたかというと、
写真を撮るのに周辺をうろうろしていて、だったのでした。
出来れば盗まれたとは思いたくないから、
その畑の持ち主がちょっと借りてって、返し忘れただけと信じたいが。
さて.....
きらきらとじょうろ。
どちらも無事、手元に戻ったとはいえ。
ふたつのものを巡る思いは、あまりにかけ離れている。
そういえば、おとといの私がうろうろしていた理由は、これを撮るため。
山下公園のバラ園は、ちょうど開花シーズンを迎えています。