猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

イタリア山庭園

2006年02月06日 08時25分18秒 | お出かけ
ゴンザと車で買い物に出かけたついでに.....
ふらっと、山手にあるイタリア山庭園に寄ってみた。

山手の端っこ(住所的には石川町)。
小高い場所にあるイタリア山庭園には、<ブラフ18番館><外交官の家>など、明治、大正期に建てられた外国人のための住居が移築されており、ぽっかりと静かに、穏やかな時間が流れている。
暦の上では春といえど、その風の冷たさはいまだ真冬の空気にさらされて、それらの建物にはめ込まれたステンドグラスが、色つきの氷のようにきらめいている。
庭園には、夕暮れ時の一瞬をとらえようと、カメラを持って散策する人。
周囲に立ち並ぶ豪邸の住人か、犬を散歩させる人々の姿も見える。

実は私とゴンザ。
山手は年中通りがかるところながら、このイタリア山庭園に来たことがなかった。
その存在は横目で知っていたものの、いつも素通りで.....。
どうやらとてももったいないことをしていたようである。

西洋建築と日本建築が絶妙に入り混じった歴史ある建物。
瓦とステンドグラスという不思議な取り合わせが醸し出す、独特のノスタルジー。
建物内には重厚で貴重な家具や調度品が寡黙に並べられ、横浜史を読み解く、資料閲覧室などもある。
ここで春を待つ午後を過ごしたら、どんなに有意義で素敵だろう。

次にここを訪れる時には、早い時間に来て、自分の住む街の歴史が記された本を読もう。
こんな急ぎ足ではなく、この建物に住んだ人が感じた時間を、ほんの少し味わおう。

庭園を出た私たちは、彼方に見える富士山を望み、開港当時そこから見えたその景色が、今とはまったく違うものであったろうと、近くて遠い時間に思いを馳せた。
なぜなら、そこから見える富士山は、多くのビルでその姿を隠され、頭の部分しか望めなかったから。

きっと140年前。
そこから望む富士山は、足元までくっきりと、その雄大な姿を見せていたことだろう。
海はもっと近くて、港や漁村が見渡せたろう。

遠い異国から、この紙と木で出来た小さな国に初めて足を踏み入れた西洋人は、いったい何を思ったろうか。

普段は素通りしている場所に、様々な思いを見つけ、人間一人の小ささと大きさに感慨を深くしつつ、再び車に乗り込んだ二人だった。