日本で働いていた年月の半分以上は私の勤めていた会社のオフィスは東京の青山にありました。だから特に表参道は思い出深い土地なのです。入社以来、青山通り沿いのお店は総とっかえと言った感じで変わってしまったし、青山を離れてからあの同潤会アパートは取り壊され、今や表参道もブランドのお店が立ち並ぶ味気ない街になってしまいましたが、それでもやっぱり欅並木を見ると帰ってきたという気持ちになります。懐かしい思い出が次から次へと心に浮かんできます。春のお花見は青山墓地でお墓の間に座らせてもらって宴会をしたり、4月8日の潅仏会には近くの善光寺の分院で花で飾られたお釈迦様に甘茶をかけたり、秋には隣の外苑前までお昼休みの1時間の間にすっ飛んで行って絵画館前の銀杏並木をぜーぜー言いながら歩いたり、冬には会社の窓の正面に見える雪をかぶった富士山を眺めたり、こんな都会にいながらとても季節の移り変わりを楽しむことが出来たものです。
少し見にくいですが、山本容子さんの絵で飾られた「ル・ゴロワ」のメニュー。
食べることだってもちろん忘れていません。表参道を少し入ったところにあったフレンチレストラン「ル・ゴロワ」はかつてカウンターだけの小さな隠れ家のようなレストランでした。カウンターの壁には版画家山本容子さんの落書きがあってそれもお店の居心地のよさを担っている大切なポイントでした。その「ル・ゴロワ」が青山キラー通りに移転したと聞き、久しぶりに元同僚と一緒に出かけてきました。
表参道のこじんまりとしたかわいらしい雰囲気からは一転、木目調の重厚なカウンターやテーブル席、でも相変わらずキッチンで無駄のない美しい動きでお料理を作るコックさんの姿を見ることが出来ます。そして心配だった山本容子さんの落書きはその壁をはがして持ってきたようで入り口近くに額に入れて飾ってありました。
こちらは新しいお店の壁に新たに描かれた山本容子さんの絵。
ランチメニューを頂きました。こちらは前菜。名前忘れました・・・。
こちらはメインのお皿でもちろん「豚肉」をチョイス。すべて北海道の生産者から仕入れているそうです。
日曜日のランチタイムと言うことで結構混み合っていたせいか、お料理の出てくるテンポがかなりゆる~り気味。でもそこは久しぶりに会った元同僚達と話が弾んでおしゃべりを楽しみました。この日のメインはお料理ではなく、元同僚の一人が大絶賛、絶対食べてと言う「グレープフルーツのプリン」でした。グレープフルーツの酸味とカラメルの甘さが不思議にマッチしてさっぱりとさわやかなプリンでした。
グレープフルーツのプリン。かなり人気のデザートのようです。
食事の後は、まだ紅葉には早かったけれど絵画館前の銀杏並木を歩いたり、表参道まで足を伸ばして同潤会アパート後に前回の帰国時にオープンしていた「表参道ヒルズ」を探検しました。気持ちのいい秋の一日、表参道にも里帰り挨拶が出来ました。
まったく紅葉の気配なし、青々とした絵画館前銀杏並木。
スロープを使って狭さを感じさせない表参道ヒルズ。でも入りたいお店はなかったな~。
こんなトルコケバブの店もありましたよ。
☆現在のイズミル☆