イズミル便り

IZMIR'DEN MERHABA

KABRISTAN(墓地)

2007-09-03 16:01:35 | Weblog
 「何でそんなにおしゃれしてるの?」と聞くと「だってお墓参りに行くから」とビルテン。
 
アナアンネ(夫の母方の祖母)が100歳で天寿を全うしてから早くも2週間が過ぎました。
9月になっても暑さは一向に衰えず、連日40度近い暑さの中天然ガスの工事がますますピッチを上げている為、暑さと騒音と土埃でもうなんだか夏ばてと言うよりも気が変になりそうになっている毎日です。そんなわけでブログの更新も滞りがちです。(言い訳…。)

 VOLVO製の車。すごく微妙な動きもできる優れものです。

海に並行して走る道路はブルドーザーで、それに直角に走る道は海に向かう坂道の為、車が使えないので手作業でコンクリートを砕いています。当初は9時に始まっていた作業が最近は8時半、今日など8時15分には始まってしまい、とてもトルコとは思えないのですが、ここ2週間は日曜日も返上で夕方も日が暮れる時間までお昼休み以外はずーっと機械の音が途切れません。


こんな状態でも車を完全には通行禁止にしないので、まさにarapsaci(トルコ語で
混乱状態のことをアラプサチ=アラブ人の髪の毛と言います)状態です。


うちはアパートの5階にあるのでまだましなのですが、1階や半地下にある家は土埃がたんすの引き出しの中まで入り込み、大げさではなくスコップでかき出せるほどの土がすぐにたまってしまうのだそうです。人生でこんなに掃除をしたことはないと言うくらい毎日拭き掃除をしているのにそれでも翌日には家具の上にも指で文字が書けるほど埃が積もります。いつかTVで見た西部劇の殺伐とした砂埃舞う光景そのもののイズミルです。

たまにあちこちで水道管や電気のケーブルを切断したりと、大騒ぎの天然ガス工事ですが、作業をしている方たちはこの暑さの中本当にご苦労様だと思います。

昨日の日曜日も朝寝坊をしたいところでしたが、工事の音で寝ていられるわけもなく早々に脱出。アナアンネのお墓参りに行って来ました。お墓までの道のりはずっと海岸沿いを走るので景色はいいし風は気持ちがよく、久しぶりに騒音を忘れて清々しい空気を胸いっぱい吸うことができました。

 
トルコでは土葬なのですぐに埋葬。
特に希望をしなければ無料で市の墓地に埋葬されます。墓石などはあとで用意していくようです。


アンネ(義母)とテイゼ(夫の叔母)は先週も2回行っており、そのたびにアナアンネのお墓に水がかけてあり心当たりがまったくないので誰がかけてくれたんだろうとずっと不思議がっていました。昨日その謎が解けました。墓地の敷地に隣接する土地の持ち主のおじさんが、昨日たまたま畑に水をやりに来ていて話しかけてくれたのですが、お姉さんを最近亡くされ、アナアンネのお墓の隣に埋葬されたのだそうです。アナアンネの周りはそのおじさんのご家族がたくさん眠っており、毎日のようにお参りにいらしており、その時にアナアンネのお墓にも水をかけてくださっていたとのこと。おじさんも「お姉さんのお墓の隣には女の人が来るといいねと家族で話していたんですよ」と喜んでおられました。アナアンネは病気になってから男の人がそばに寄るのを徹底的に嫌がり、お医者さんにもさわらせなかった程。孫たちでも調子がよくて本人だとわかっている時は大丈夫なのですが、わかっていないと殴り、蹴り「あっち行けー!kara kopek!(黒犬)」などとそれは激しく罵倒したものでした。だからお墓のお隣さんも女性でほっとしていることでしょう。


周囲のお墓に水をかけていた夫とビルテン。

アナアンネが亡くなった瞬間から、お葬式が終わるまで近所の友達の家に預けられてしまったビルテンはアナアンネ(ビルテンにとっては曾祖母)のお墓へも初めて行きました。自分でドライフラワーの花びらで一輪のバラの花を作り静かに何も言わずお墓においていました。コーランを詠むアンネ(ビルテンにとっては祖母)の横に座って何を思っていたのでしょう。

 お墓の横で静かにコーランを詠んでいたアンネ。

 何も言わずに座っていたビルテンの後姿。

夫もアナアンネの周りのお墓すべてに水をかけたり、訪れる人もなく印が消えそうになっているお墓に石を立てたりしていました。故人を慕い敬う気持ちは宗教や国が違っても同じなんだなあと思いました。






いつでもどこでもポーカーフェイスのエリフ。
         






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