(きのうの続き)
≪ドキュメンタリー賞≫ ディビス・グッゲンハイム 「不都合な真実」
『僕は子どもたちと家族のためにこの映画を作った。彼らとともにね(ステージ上のスタッフをさして) 僕を動かしたのは彼だ(アル・ゴア元副大統領)だ!
スタッフの努力は無論だが、感謝すべきは30年間、真実を伝え続けたこの男だ。オスカーを分け合いましょう!(オスカー像をゴアに渡す)
ゴア元副大統領 ありがとう。スタッフと家族、アカデミー協会、すばらしい製作チーム、アメリカ国民のみなさん(会場の笑い)、世界中のみなさん!!(拍手)
地球の温暖化は政治ではなくてモラルの問題です。
考えを改めやる気にさえなれば解決できるのです。改めましょう!』
≪オリジナル脚本賞≫ マイケル・アーント 「リトル・ミス・サンシャイン」
『ありがとう!脚本家の評価は仕事仲間で決まるものです。受賞は、不人気な台本を読んでくれた人たちのおかげです。採用してくれた製作者のテモッド、素晴しい出演者が一丸となって僕を救ってくれました。そして、文章を芸術に変えてくれたJ・ファリス、ありがとう。
幼い頃、僕の家族はクラッチが壊れかけていた車で1000キロを旅しました。家族全員で過ごした一番楽しい思い出です。(脚本にはこの体験が下敷きになっているようすー予告編)
オスカーは3人の兄弟、今夜来てくれている母、天国の父に捧げます!』
≪主演男優賞≫ フォレスト・ウィテカー 「ラストキング・オブ・スコットランド」
『どうもありがとう!落ち着くまで待ってくれ… 感極まると忘れてしまうから紙に書いてきた。いくぞ!
子どものころ映画といえば、ドライブインシアターだった。役者として映画に出るなど夢だと思っていた。だが、受賞して不可能でないとわかった。夢はかなうものだ。小さな町に生まれて、貧しい地域で育っても、夢を大事に頑張ってきた。そして今日、手が届いた。(奥さんの目から涙)
演技をはじめたのは、他の人と触れ合いたかったからだ。僕らの心に必ずある光を放つ部分での触れ合い。演じるということ自体、その奥深いつながりを信じることだ。信じる気持ちが集い、新たな真実を生む。
作品に息吹を与えてくれたウガンダの人々に感謝します。両親、妻のキーシャ、子どもたち、ありがとう。道を示してくれた祖先、そして、僕を信じてオスカーを授けてくださった神様、この栄光がこの後も、来世まで続きますように…」
かなちゃん、舞台も“演技とは心のふれあい”“信じあう”ことは同じですか?
≪監督賞≫ マーティン・スコセッシ 「ディパーテッド」
『サンキュー、サンキュー…サンキュー…(彼は15回サンキューを繰り返す)
(オスカー像を手に)本当にワタシか?あまりの栄光に戸惑うよ。アカデミー協会、ありがとう!
37年来の友人に囲まれてとても嬉しい。こんな感激はない。
娘のキャシー、ドマニカ、妻のヘレン、ありがとう。小さなフランチェスカ、ホテル中をワイワイ飛び跳ねていいぞ!』
マーチン・スコセッシはその風貌から私より年上だと思っていたら、なんと、5,6歳若いのだ。コノヤロー!小さな子どもがいるのだ。
ここに書いたのは授賞式のごく一部の光景だが、そのことばに耳を傾ければ、人間の真情が吐露され、人生の叡智を読み取ることができる。受賞した人たちが感謝のことばを述べる、その中に“家族”がなんと多いことか?家族こそがすばらしい芸術を生み出す源泉か。
79回目のアカデミー賞授賞式は終った。アカデミー賞は時代を映す。来年はどんな映画が生まれてくるか、どんな魅力的な人たちが出てくるのだろうか?