いかなごの釘煮を初めて食べたのはいつだっただろう?そんなに昔のこと
ではなかった気がします。実家に住んでいたころではなかったのは確かです。
そもそも、我が家の食卓において「いかなご」という魚類は存在していなかった。
七条商店街で「生いかなご」を商う魚屋はなかった、とは断言できませんけどね。
乾物屋で「かなぎちりめん」は販売されていたとは思いますけど。
以前、仕事で明石に数日滞在したことがありました。ちょうど「いかなご」が魚店に
出回る時期で、店のスタッフの女性たちもそれぞれの味付けで腕を競ってましたネ。
一時、釘煮にはまっていた時期があったけど、歯の具合が悪くなるにつれ、食卓に
登る回数は減少、ここ1,2年はすっかり忘れ去られた食品でした。
先日、スーパーの鮮魚コーナーでマグロの切り落としを購入した折、隅っこに遠慮
がちに並べられていたのが、この松幸水産(株)の釘煮。
パックの中の「いかなご」の目(いったい幾つあるねん)が「すっかり、おみかぎりネ、
あんなに毎日のように愛してくれたのに・・。」と訴えていたのであります。
いや、食べたいのはヤマヤマなんですけど・・。
ま、値段も安いし、量も少なめだからいいか、と、カートにポイっとほり込んで帰宅。
晩酌に恐る恐る、チミットだけ口に入れて数尾をかみ締め、再会の涙にむせんだ
ワタクシでありました。
甘さ控えめで、口中でほのかに広がる苦味はまさしく春そのもの。そういえば今年
は冬からいきなり夏に移行しそうな予感がしますネ。
翌朝は白米に乗せて瀬戸内海の春をシミジミ、味あわせていただきました・・・・・・。