公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

スーパースター王座決定戦回顧

2005-12-26 07:25:40 | 大レース回顧集

オートレースの頂上決戦、記念すべき第20回スーパースター王座決定戦が良走路の川口オートレース場で行なわれた。

試走は3・池田政和が驚愕の3.25と1番時計。しかし4・高橋貢も3.26で続いて早くも両雄のマッチレースの様相。そしてレースもその通りの結果となった。

1・浜野淳が好枠を引いたあまり1回目のスタートでフライング。ちなみに浜野は来年の同大会出場権を失った。再発走となり、7・山田真弘が外から思い切って出るも、池田が山田の動きを抑えて1周1センターで先頭に立つ。すると高橋がすかさず反応。以下、6・荒尾聡が続くも序盤は大きく離される。その後も離れ気味で、山田、浜野、2・若井友和5・伊藤信夫8・岡部聡の順。

逃げる池田、追う高橋。まさに昨年の船橋日本選手権優勝戦の再現と思わせるような息の詰まるようなマッチレース。追う高橋は池田の動きをじっくりと見て、差すタイミングだけを図っていた。また、荒尾も周回を重ねるごとにヒタヒタと追いつめていく。

残りあと3周、ついに高橋が池田を捕えた。

普通ならこれで高橋の勝利は決まったかに思えるところだが、何と残りあと2周で池田が再度抜き返し、しかも荒尾も追いついてきたことから今度は3車の争いに変わる。

最終周回バックで、高橋は池田を捲って出た。しかし池田は高橋の追撃を抑えきり、4度目の同大会優勝。そして2年ぶり2回目の賞金王も確定した。2着高橋、3着荒尾。しかしながら、このレースは今年の公営競技ベストレースをも確定させる素晴らしい一戦であった。

今年の池田は3月の浜松全日本選抜で優勝。しかし最近はG1でも勝ちきれないレースが目立ち、今回も下馬評では主役とは言いがたい存在であった。

今回のシリーズでは1走目の試走が3.28で3着。スタートから首尾よく飛び出した伊藤信夫の8連勝を許した。しかし2走目、再び伊藤と対戦。このときの試走は3.26をたたき出し、激戦の末試走2番タイムの伊藤を今度は撃破。これですっかり波に乗ったようだ。

そして決定戦では3.25と完璧な仕上げ。これを取り逃したらひょっとしたらタイトルはもちろん、高橋にも二度と勝てないという気持ちをもって挑んだ結果が逆転の差しを生んだ。

池田という選手は調子がいいときは抜群によく、他選手は手がつけられないほどまでになってしまうが、それが長続きしないという欠点も指摘されていた。しかし今年は特にそうした波がなく、また苦手の雨走路においても、11月の日本選手権において、雨の鬼である岡部聡には屈したものの、序盤から積極的なレースを演じて2着をキープした。

しかもどうしても昨年来越えられなかった高橋の壁を打ち砕き、いよいよ本当の意味において、オートレース界の頂点に来年以降も君臨していくのではないかと思われる。

高橋は昨年の日本選手権では同じような展開に持ち込んで最後の最後で差した。今回は池田の動きがそのとき以上に良いと感じたことから残りあと3周で勝負に出て一時は差したが、引き離すだけの機力がなかった。

そのために池田に再度逆転を許した。しかし自身も今回は最高の仕上げができたんだろうと思う。そのあとも池田を外から捲りに行ったが、惜しくも2着。今年はSG優勝も果たせなかった。

今年の高橋は序盤からセッティングに苦しみ、着順はうまくまとめられてもなかなか頂点にまで達しないというもどかしい1年であった。今回もそうなったわけだが、いまだ池田が高橋に勝つためには120%の実力を発揮せねばならないということを考えると、やはりまだまだ存在感は大きい。

来年もまた、池田と高橋がオートレース界を牽引していくことだろう。

3着の荒尾は今年1番の成長株。今年は地元の開設記念を制覇し、SGではこの間の日本選手権に続いての「銅メダル」。G1ではすっかり優勝候補の一角だし、SG制覇も完全に手に届くところまできた。来年はのっけのSGが地元であり、ひょっとしたら地元での戴冠もありうるかもしれない。池田&高橋の2強を最後まで諦めずに追っかけた今回の走りも評価したいところ。

伊藤はスタートで2強に出られてしまったのが全て。最後追い上げはしたが、4着どまりとなった。

今年のオートレース界はいろんな意味で大変な年だった。

政府の参与会議から「消滅」話を突きつけられ、選手の事実上のリストラを含めた開催削減策が柱となった「構造改革」を4月から踏み切らざるを得なくなった。しかも9月あたりから浜松オートレースの廃止騒動が世間をにぎわせ、廃止決定、いや民間委託で存続だ、という一進一退の状況がつい先ごろまで続いた。

しかしながらトップクラスの選手たちには「危機感」というものがヒシヒシと感じられた。恐らく一番のベストレースは今回の王座決定戦だろうが、7月のキューポラ杯やナイター開催に急遽なったダイヤモンドレースの各優勝戦も見るだけでも十分堪能できた素晴らしい一戦であり、はっきりいって今、トップクラスの激突という点においてはオートレースが一番醍醐味があるのではないかと考えられる。

やはり、ファンとの交流イベントも大事だが、オートレースの一番の魅力というのはいかにレースにおいて客を満足させていくかにかかっている。

それが来年以降も当然求められているわけであり、またそれができれば苦しかった今年1年の蓄積は必ず生きてくる。その心をオートレースに携わる関係者は忘れないでもらいたいものだね。


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