『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想323  アフガンの男(上)(下)

2023-03-14 22:28:46 | 小説(海外)

アフガンの男の画像

読書感想322  アフガンの男(上)(下)

著者       : フレデリック・フォーサイス

生年       : 1938年

出身地      : 英国ケント州

出版年      : 2006年

邦訳出版年    : 2008年

邦訳出版社    : (株)角川書店

訳者       : 篠原慎

★☆感想☆☆☆

9・11以後のタリバン、アルカイダとの英米の情報当局を中心にした総力戦の中でのスパイの活躍を描いている。2005年4人の自爆テロ犯がロンドンで爆弾を爆発させた。4人の身元は割れて、所持品の中の4枚のレシートから、購入した携帯電話の番号を警察が割り出した。パキスタンのペシャワルでその携帯電話の一つが使われた。アルカイダの資金調達を担当していたエジプト人アルクールのものだった。無断で使用したのはタリバンがつけた護衛だった。母親の安否を訊ねたのだ。アルクールの隠れ家は急襲され、アルクールは死んだ。そこで押収した資料のなかでアル‐イスラという言葉が暗号なのではないか、新たなアルカイダの作戦を示唆するのではないかと、米国CIA(中央情報局)と英国SIS(秘密情報庁)は考えた。イスラム教ではマホメットが啓示を受けた旅を意味している。アルカイダの中にスパイを潜入させようと、引退した元SAS(特別空挺部隊)大佐のマイク・マーティンに白羽の矢をたてる。

現代では情報が戦争の勝敗を分ける。その情報の収集の仕方もPCを使って短期間に大量に処理する。無人偵察機が上空から対象者を監視し続ける。科学技術の力と物量で英米の情報当局にはとても太刀打ちできないというのが本書を読んだときの実感だ。それでも、人間の能力で、山岳の知識や経験、語学力や宗教・習慣の修得で絶体絶命の運命を切り開いていくのが本書の面白さでもある。アフガニスタン、パキスタン、アラビア半島、インドネシアの海域、アメリカの西海岸のカスケード山脈など広大な地域が舞台になっている。地理もよく分からず、名前もイスラムの名前でなじみがなく、登場人物も多く、ストーリーもいくつも重なっていて、読むのに苦労したが、どこまでが実在の人物か、創作した人物なのか、虚実入り混じって面白かった。


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