
彼は胸に輝く首飾りをかけた彼女をブティックへ連れて行った。<o:p></o:p>
「これ、とても高いブランドだわ。」<o:p></o:p>
「大丈夫だ。」<o:p></o:p>
彼は自分が気に入った色の服を彼女に無理に勧めた。しかしスカートは下腹が出すぎてよくなかった。彼女が望むものに換えるしかなく、惜しかったけれどどうすることもできなかった。彼女は少し申し訳ないという表情で聞いた。<o:p></o:p>
「こんなに買ったら乞食になるんじゃない?」<o:p></o:p>
「大丈夫だ。一回りしたから疲れた。どこか入って休んで別れよう。」<o:p></o:p>
明洞の町が見下せる2階のビアホールで彼と彼女はしばらくタバコを吸って酒だけ飲んだ。<o:p></o:p>
「僕、明日故郷に帰る。」<o:p></o:p>
「そう。」<o:p></o:p>
「そこへ行けば食べて寝ることは解決するから、少し休みながら本当にしたいことをしてみようと思って。」<o:p></o:p>
「そう。」<o:p></o:p>
「今までお金のない僕と会うので大変だった?」<o:p></o:p>
「ううん、あなたがいい人だということはわかっている。私、約束があって、ちょっと行かなければならない。もう2時間になるよね。」<o:p></o:p>
「それで・・・誰と会うの?」<o:p></o:p>
「う・・・知り合い。」<o:p></o:p>
「男?」<o:p></o:p>
「ただの先輩よ。もう行く。贈り物ありがとう。」<o:p></o:p>
「一緒に出よう。僕も行かなければならないから。」<o:p></o:p>
明洞の町に溢れた人々はそれぞれ道が違っても、互いに衝突したり混乱したりせず自然に流れて行き来していた。彼は階段の前でぼんやりと立って、服が入った紙袋を持って、人の波の中へ消えていく彼女の後姿じっと眺めながら何か思いついたように駆けだした。そして彼女の肩を掴んだ。街路灯とネオンの光と騒音がいっぱいの町で彼女は涙を流して歩いていた。予想もしなかった姿に彼はしばらく躊躇してから彼女の耳に口を当てて言った。<o:p></o:p>
「君はよく知らないけど君の性器は名器だから、どんな男のところに行っても愛されるはずだよ。」<o:p></o:p>
「ありがとう。」<o:p></o:p>
彼女はもう一度離れていき、彼はその場に立って、まぶたが赤らむまで手の甲で目をこすった。20世紀があらゆる大騒ぎをおしまいにして、偽物の21世紀に入って行くまで。<o:p></o:p>
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2007、別れの前後を振り返って<o:p></o:p>
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「どうして私を捜そうと考えたの?」<o:p></o:p>
「時々だけど夢に君を見て、ただいつから・・・心の片隅がなぜかわからないけれど、何となくさびしくて。なぜこうなるのか、何日もじっくりと考えていたら、突然雷に打たれたように君が浮かんだんだ。探そう!探さなければならない!その日からただそのことだけを考えていたんだ。」<o:p></o:p>
彼は唇についた鶏の脂を拭いもせずに、彼女を捜し出した方法を話した。栗の木の茂った渓谷の遊園地の食堂のバンガローに向き合ってすわった。テーブルの広い盆の上には取り出された鶏の骨が適当に散らばっていた。彼女は素手でむしり取った肉を彼の皿に次々にのせた。空っぽの焼酎瓶はテーブルの下で煙草の灰と吸い殻を受けていた。<o:p></o:p>
「時間がずいぶんたったわ。」<o:p></o:p>
顔が赤くなった彼女が彼の煙草を取って火をつけて言った。<o:p></o:p>
「そしてこうしてまた会ったわ。」<o:p></o:p>
彼は彼女の首に依然としてきらめいている首飾りをじっと眺めた。袋の中にいっぱい詰まった話の中でどの話から切り出さなければならないか見当がつかなかった。<o:p></o:p>
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