新春 真山民
余凍雪纔乾 余凍雪纔(わず)に乾き
初晴日驟暄 初晴日驟(にわ)かに暄(あたた)かなり
人心新歳月 人心 新歳月
春意旧乾坤 春意 旧乾坤
煙碧柳回色 煙は碧にして柳は色を回し
焼青草返魂 焼は青くして草は魂を返す
東風無厚薄 東風は厚薄無く
随例到衡門 例に随いて衡門(こうもん)に到る
残りの寒さ 雪消えて 初春の陽は あたたかく
みなの心も わくわくと 光は溢れる そこかしこ
かすみはけぶる 青やなぎ 野焼きの跡に 草萌えて
東風(こち)は ここにも吹き渡る わけへだてなく 春告げて(拙訳)
春の色の至りいたらぬ里はあらじ さけるさかざる花の見ゆらん 古今集巻第二、春歌下 読人不知