本日、新春浅草歌舞伎、一部二部観て参りました。
まずは、一番印象に残ったことなど。
【蜘蛛絲梓弦―くものいとあずさのゆみはり―】にかける
亀ちゃん
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kame.gif)
の意気込み、創作過程が
kamejiro.netの亀たよりの中で語られているのを読み
非常に楽しみにしておりました。
ご挨拶でも「神出鬼没」をご堪能下さいとの事だったので。
が、幕が開いて大道具・舞台面を一瞥し、澤瀉ファン的には
思わず笑ってしまいました。(出没ポイントや仕掛けが常套で(~o~))
そして終演後、友人らにも観劇報告と共にその旨メールしたり…
今、帰宅して筋書の亀ちゃんのインタビューを見てみると、
「工夫自体は既存の作品のいいとこ取り」との発言あり。
あ、常套は織り込み済みだったのですね(^^ゞ
勝った気になって(?)すみませんでした、と自主ツッコミ^^;
では、演目順に感想など。
【鳴神】
亀ちゃんは動いている時も所作が美しいけれど
静止している姿も、本当に良いですね。
花道でアイビキに座っている間の居住いが端正で
目には見えぬガラスケースに収まっている日本人形のよう。
特に一部は三階から観ていたので。
花横とかだったら、また、僅かな息遣いや
もっとリアルな肉体の存在感を感じたのかもしれませんが…
しかし、たまにチラリと見える表情は怖かったです
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hiyo_shock2.gif)
策略と観察の眼差し…
いや、花道からの出端では、その使命感を帯びた
毅然とした出で立ちも良いのですが、
黒雲坊や白雲坊が「竜女か天人(天女?)か」と
その美貌を形容しているあたりでは、
意志とか意図を持たない(ように見える・見せる)
透明感を漂わせた方が、
知性と共にその美貌が十分駆使されることが
示唆されるように思います。
鳴神上人に迫られてくだける処は
もう、一息タメがあっても良かったような気もします。
仕方話のあたりなど、全体的にテンポ上げてる?
獅童さんの鳴神は、ちょっと最初から破戒入っている?
と思ってしまいました(~_~;)野性味(!)のある容姿が、
俗世と無縁に修行して来た人には見えなくて損かな?
絶間姫もだけど、鳴神上人も結構、やる事が沢山あるんですよねー。
正直、獅童さんは、段取りでいっぱいいっぱいという感じでした。
(ただ、その余裕のなさが、劇中の
絶間主導の展開に リンクしているかな?)
亀ちゃんの絶間姫は、以前の浅草、松竹座、今回と
すべて観ていますが、テクニックとしては最初から上手かったので
(という言い方もおこがましいのですが)
あとは、やっぱり色香かな~。破戒の重要ポイントですから(笑)
演者によっては、メチャクチャ、色っぽい場面になりますよね~
乳探り!のあたりとか…。
コミカルな面白さと、客席が、しーん(笑)としてしまうような
男女の駆け引き(いや、絶間の方が、男女の機微についてはうわて過ぎ
“駆け引き”にはなってないか^^;)
結構(お互い)あっさりしていましたね~。
【五段目・六段目】
一部・二部の間が30分で、連続で同じ演目を観るのは
結構、しんどかったです。
が、やっぱり同日に観た方が、勘太郎くんと七之助くんの
それぞれの、勘平・お軽が比較できて面白いかも。
ご一緒にお父様に習われたそうですが
(本日、勘三郎さん浅草公会堂にご来場でした。)
表出するものは、各々の個性で異なっておりました。
★勘平
七之助くんは、ずっと高テンションで、
観ている方も肩に力が入ってしまい、どっと疲れました~^^;
当然「気の抜けた」芝居を観るよりは全然良いのですが、
ずーっと張ったままなので、力んでいるようにも見えてしまう。
本来なら、芯になる役者さんが、正しくリズムを刻み全体を調和させる
コンダクターでもあると思うのですが
かなり独走してしまっている感もあり@六段目
その点、勘太郎くんには、ちゃんと「芝居の間」があって、
七之助くんより、7~8分上演時間も延びたのですが、
逆に疲れず見物できました。
それにしても、勘太郎くんの演技、表情の出し方、台詞廻しは
「勘三郎さん」なのでした。
個人的には、勘太郎くん勘平、七之助くんお軽の
組み合わせの方が良かったです。
★弥五郎
これは、亀鶴さんの方が視覚的にはまる。
亀ちゃんは、この五段目の拵え、線がより細く映ってしまって
役柄のイメージと、ちょっとアンバランスに見えてしまう。
台詞や体現するモノは悪くはないのですが、
後の与市兵衛内での男女蔵さんとの並びや芝居の運びなど、
亀鶴さんの方が映りが良い。
★定九郎
こちらは、見た目的には、獅童さんの方がニンでしょうか。
道具の使い方などに、不安定な部分がありましたが
獅童さんが、今回されているお役の中では、一番良かった。
亀鶴さんも、緊張されていたようですが。
出番的には短いけれど、場の空気を変える印象的な役ですものね~。
源佐衛門さんや芝喜松さん、門之助さんが
青年たち!だけでは成立しない芝居を助けていました。
【蜘蛛絲梓弦】
今日二部(2日)は、芯の亀ちゃん一点集中で観てしまったので
再度、三階の席から全体を見たいな~とも検討中。
幕が上がった時から、せわしなく?舞台面を目検(爆)
ほぼ「四の切」的な構造なので、容易く
いろいろな事が発見できます。(澤瀉ファン的には)
一応「新演出」なので、今回は、
仕掛けというか、出没ポイントのこれ以上の詳細は控えます~。
最初の童での出は、からくりの茶運人形のよう。
でも、その生命感の薄い感じの動きが、異形っぽさを醸し出していて妙。
次は薬売りになりますが、この出は、もっと
「替わりました―!!」をアピールして欲しい。猿之助さんみたいに。
「どうよ~!!」って感じで出てきて欲しいのですね。
「ここ(早替わり)眼目です」って客席にきっちり周知するために(笑)
薬箱を外すところが、ちょっともたもたしてしまったので残念。
この薬売りが引っ込んで、番頭新造八重里に替わって出てくるところは
シンプルな方法だけれど、スピードがあったのと、
男から女へ、かなり造形も異なる(この八重里は、それまでの
登場人物?より、かなり生身っぽく出てくる)ので目を引く。
そして、観客も、だんだん「早替り」そのものが分かってきて
盛り上がってきていた。このあたりから、次はどうなるの~?
と積極的に客席も期待する感じ?
次が座頭亀市(笑)
あっ、ちなみに冒頭の童は熨斗丸、でした。
(それぞれの衣装の文様も注目!)
(でも、新着と使い廻し@松竹衣装?の差が・・・^^;)
この座頭の出は・・・(爆)
ここまでは、坂田金時の七之助くん、碓井貞光の獅童さんとの
絡みなのですが、早替りの本人は涼しい顔しているにも関わらず
お二人とも額には光る汗…
亀治郎オン・ステージにお付き合いするのは、なかなか大変?
その後、傾城薄雲となって頼光(勘太郎くん)と絡みますが、
この傾城はなかなか色っぽかったです。おおっと思いましたね。
ホンモノ(?)の女性を演じるより、
こういう化生な女の方が色気が出るかも~。
半身になって下手を指すかたち、
―ふだんも、亀ちゃんの手の使い方ってホント綺麗ですが―
つくづく、指す手が美しいなぁ~と見惚れてしまいました。
(この傾城と蜘蛛の精の鬘、亀ちゃんの身体全体のバランスを
綺麗に見せていて、とても良く出来ている。)
亀ちゃんと勘太郎くんのツーショットは安心しますね。
芸質の根本のところが合うのかな?テクニック的にも。
そして、最後は女郎蜘蛛の精となりますが、
これが、結構大きく見えた。隈取もチマチマしちゃうかな?
と思っていたけれど(船弁慶の時、幼い感じだったので)
なかなかカッコよく出来ていて迫力でした。
ぶっ返りが、もうちょっとたったか出来れば、なお可♪
しかし、勘平をやる勘太郎くんが「勘三郎さん」なら
亀ちゃんはやっぱり「猿之助さん」
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もう、100万回くらい言っているけれど(笑)
目の効かせ方、配り方、演技術etc.
(上記に紹介した亀たよりの舞台裏話の表現の仕方も)
そうそう、二部のお年玉ご挨拶は、亀
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ちゃんでしたが、
一部で結構携帯が鳴ってしまった為か、演目解説のあと
「では、みなさん、ちょっと携帯を取り出して頂けますか?」と依頼。
客席の人々がバックから携帯を取り出し、手に持ったのを見計らって
「電源が切れているかどうか、確認して下さい」と
単に注意を促すのではなく、物理的にきっちり確認作業をさせる、
といったあたりが、ツボでした。行き届いております(^_^)v
追記:
「企画・制作日記」に、勘三郎さんや三津五郎さんの
ご指導があったこと、舞台稽古の画像などアップされています。