2010年9月18日(土) 座・高円寺2
『劇作家協会 秋の感謝祭』~戯曲セミナー集中講座+戯曲朗読研究会~
主催:一般社団法人 日本劇作家協会
提携:座・高円寺/NPO法人劇場創造ネットワーク 後援:杉並区
平成22年度文化庁芸術団体人材育成支援事業
【1】13:00~14:30
『舞台を体験するワークショップ』
講師:横内謙介
出演:鈴木里沙(扉座)
スタッフ:田島幸(扉座)
◆別役実「舞台を遊ぶ」のコピーより
>舞台空間というものは、限られた物理的空間であると同時に、客席の観客の
>思いに支えられた心理的空間でもある。
劇作をする方に、机上だけではなく、実際、舞台空間を体験してもらう。
希望者は舞台上手から下手へと歩く実演。
◆別役実「コント教室」のコピーより
>「舞台中に死体がひとつ」「舞台中央に爆弾がひとつ」という設定でコントを書いてみましょう。
※「財布」とか「靴」とかの日常的な落とし物だと「異物感」が弱いので、
存在の根源に関わるような「死体」とか「爆弾」を提示
まずは、地明かりの空(から)の舞台を見せ、舞台中央に死体があると脳内で想像。
(劇作家さんたちも、戯曲を書きながら「脳内劇場」で再生されるとか?)
次に、舞台中央だけにスポットを当て、そこに死体があると想像
更に、客電も落とし、背景にブルーの照明を当て、舞台中央にスポット。
なんとなく、波打ち際?海岸のイメージ。
実際、死体役(!)を扉座の鈴木里沙さんにやってもらい、SEを入れ、幕を使い
より具体的な「舞台」を創る。(里沙さんのブログ参照~。胸にはナイフ、顔には…!?)
死体を無視して通り過ぎる、死体を見て多少反応するが、何もせずに通り過ぎる
など、いくつかのパターンを希望者に演じてもらったあと
何名かの聴講者が考えたストーリーを実際、舞台上で披露。
死体を見つけて写メをしたり、死体にむかって「鈴木さん」と呼びかけたり!
死体が、反応しない・する(!)のパターンとか。
喜劇・コメディを書くというのは、勉強になるそうで、井上ひさしさんも、
最初は浅草のフランス座(ストリップショーの合間のコント)の台本を書く事から始めたそうです。
その頃は、渥美清さんなど、後の日本を代表する役者さんなどが出演。
その間、幕の開け閉めや照明、道具の手伝いなどもして、これらの経験が
後の舞台演出への基礎となられたとか。
◆熱海殺人事件の冒頭
木村伝兵衛と熊田留吉の台詞。
里沙さんが、木村伝兵衛、希望者が熊田留吉役を演じる。
台詞だけの場合と、実際、BGMを入れたり幕を使ったり。
横内さんは15歳のとき、この作品と出会い、衝撃を受け、演劇の道を志されたとのこと。
後に、つかさんご自身が、この作品の解説本?攻略本!?を書かれたそうですが
チャイコフスキーの「白鳥の湖」を使ったのは、ふだん、自分が
「クラッシックを聴きながら、ブランデーでもあおっているイメージ」
で見られたい(!?)との意図(ホンマかいな~・笑)だったり、
幕開け、観客の度肝を抜くために、役者の台詞が聞こえないほどの大音響で
音楽を流した―とか、横内さんのマニア解説もあり。
◆「バッドニュース」
パターンA:部長と山田が雑談をしているところに、林が、島崎の書き置きを持ってくる。
パターンB:殿様と家来三太夫が花見をしているところに、
家来が、島崎秀正氏(うじ)の裏切りを注進に来る。
部長と殿様は里沙さん。その他の役を客席で聴講の希望者が演じる。
パターンAは、90年代以降に注目を浴びたらしい、「静かな演劇」のやり方で。
パターンBは、私(たち?)には、御馴染みの、商業演劇調というかスーパー歌舞伎調というか。
パターンAでは、雑談する部長と山田は、机を挟んでリアルに向かいあっている。
山田は観客に背を向けている。
バターンBでは、殿様と三太夫は客席に向かってハの字に対座。歌舞伎調でもありますね。
それぞれの台詞をお互いに向かってでなく、観客に向かって喋る感じ。
もちろん、私が馴染んでいるのは、パターンBの世界で、裏切られた殿様の台詞ラスト
「なんたることじゃ、なんたることじゃ、なんたることじゃ!」を聴いた瞬間、
猿之助さんの声で脳内変換。横内さんも、この繰り返しは、猿之助さんに教わったとのことで
「1回じゃ手(拍手)が来ないんだよ~!」と教えられたのだそう。
「なんたることじゃ~」のあと、横内さん、「松平!」と、大向こう(笑)かけてましたけど。
これも、観客が舞台の目撃者のみである(?)タイプAと、観客参加型というか
舞台・客席一体型というか―拍手や大向うが入れる余地―を、より分かりやすく感じさせるための
一助だったのかもしれません。(いや、単にかけたかっただけかもしれませんが・笑)
なかなか、私の拙い表現力では伝わりにくいかと思いますが、このような感じで
実際舞台を使っての、ワークショップが、一部では行われました。
ところどころ出てくる横内語録も、いち演劇ファンとしては、とても面白かったです。
【2】15:00~17:00
『つかこうへい その人と仕事を語り合う』
プロデュース:横内謙介 マキノノゾミ
パネラー:いのうえひでのり 平栗あつみ 平田満 マキノノゾミ 横内謙介
リーディング出演:武田義晴 三浦佑介 木下智恵(北区つかこうへい劇団)
私は、つかさんのお芝居、全然観ていないし(それでも、熱海殺人事件や蒲田行進曲など
戯曲の名前は知ってます・・・という普遍的な浸透力!)、
つかさんに影響されたのであろう世代の演出家さんや脚本家さんのお芝居も観ていないので、
具体的なことは、まったく分からなかったのですが、何故か、置いてけぼり感はなく、
もう、横内さん、いのうえさん、マキノさんの「つかマニア」「つかオタク」っぷりが、楽しくて
聞いていて全然飽きない。「熱海殺人事件」にしても、何年度版は、ああだった、こうだったと
色々あるみたいで。
横内さんは、「六代目の鏡獅子は~」と薀蓄言う歌舞伎ファンを例に
つかさんの、お芝居の薀蓄語る、ご自分たちを、なぞらえてました(笑)
しかし、横内さんと、いのうえさんが、こういう部分でディープに
共通項があるとは知らなかったし、劇団☆新感線が、元々は、つかさんのお芝居のコピーをしたい!
というところから始まり、当時、みんな
帰省する際、新幹線を使っている人が多かったから、劇団の名前も「しんかんせん」にした、
って初耳でした。(コア新感線ファンの方には、御馴染みなお話なのかもしれませんが)
もう、とにかく、ファン・オタクorマニアとしての側からの
横内さん、マキノさん、いのうえさんの、つかさんらぶ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/heart_pink.gif)
つかさん大リスペクト!!的な発言と、
実際、つかさんの演出・薫陶を受け舞台に出ていた、平田さんと平栗さんの
発言時のスタンスの違い、みたいな部分も印象的でした。
※そうそう、想い出した!横内さん、つかさんのこと「火の鳥を落とす勢い」とか
言ってらして、たぶん、「飛ぶ鳥を落とす勢い」の言い間違いだとは思われるけど
深層心理として、もう、横内さんにとって、つかさんは単なる「鳥」じゃ物足りなくて
「火の鳥」になってしまったのかもしれませんね~
※想い出した、2.ところどころ、リーディングがあったのでした。
作品は、「熱海殺人事件」「飛龍伝」「蒲田行進曲」の一説です。
チョイスされたのは、マキノさんとのこと。
※いのうえさん、つかさんの演出とともに、音響?音効さんのことも素晴らしいと
仰ってました。新感線も、音効、笑っちゃうくらい(←褒めてる
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/ee_1.gif)
)がっつり来ますが
もしや、そんなあたりも影響受けてるのでしょうか??
【3】17:30~19:30
ケラリーノ・サンドロヴィッチ プロデュース『劇作家大放談会』
パネラー:青木豪 秋堀雅秋(THE SHAMPOO HAT)倉持裕(ペンギンプルペイルパイルズ)
ケラリーノ・サンドロヴィッチ 徳永京子 長塚圭史(阿佐ヶ谷スパイダーズ)
しょせん、私は大歌舞伎(グランドKABUKI!)・グランドミュージカルファン(笑)
小劇系とか分からない世界です。
友人から、こんなイベントあるよ~と連絡を受け、日本劇作家協会のHPで概要見た時、
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんのこと、日本在住の外国人演出家か何方か?とか、
一瞬思ったくらいですから。しかし、ありそうでありえない、怪しい名前の音感から、
まてよ?と検索。メチャクチャ日本人の方でした。
劇団運営、劇作、ポリシーとビジネス、いろいろと大変な部分もありそうだけど、
やりたいことをやっている、という点では、幸福な方々かもしれません。
自分が楽しんで面白くなければ、やっぱり他人を楽しませるって出来ないと思うし。
芝居オタク(?)な友人に、多少解説してもらったりしつつ、とても、楽しめた1日でした。