ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】3

2005-11-30 23:34:51 | その他の演劇
ベースは、ホームドラマの典型でもありますよね。
妻に先立たれた父親と、母を亡くした年頃の娘。それに絡む人々。
家臣や乳母であったりするけれど、これがテレビドラマなら、
親戚の叔父叔母とか店の従業員たち(笑)といったところ?

数多のお見合い話が舞い込むが、なかなかウンと云わない娘。
けれども、ある日ひと目惚れで恋が始まる。
でも、周囲には、それは受け入れられない、“身分”!?違いの恋・・・
誰もが娘の幸せを願ってはいるけれど、それぞれの描く「幸福の形」が
微妙にズレて噛み合わず、というのは、フツーの家庭にも起こりえること。

狸界の設定だけど、お殿様=平九郎も、限りなくリアリティのある父親像で
厳しく・甘く、娘に対する愛情や引け目も存分に描き出されており
愛人作っても(笑)、好感度大。

お家乗っ取りや、敵役が出ない分、人間界の相馬家より
なんだか、きぬた姫のお家の方がアットホームな感じがする。
きぬたの部屋かわいい~。マリーアントワネットのベッドルームみたい。
(いや、実際のベルサイユ宮殿のレプリカとは異なりますが。
でも、壁紙とか、隙のないああいうチマチマ模様なのです。)
十六夜の肖像画は、さながらマリアテレジアか!?(笑)
天蓋付きだったら、更に雰囲気なんだけど~。
ウサギのぬいぐるみ見て、真っ先に「猿之助さんの干支だ~!!」と
反応してしまったのだけど、きぬた姫に投げ飛ばされてます(やめて~
(ウサギちゃんの逆立ちは固定ネタです

ここでの平九郎や、家老の分福茶釜(慶四郎さん!!)とのやりとりが
奇を衒ったものでなはなく、ギャクもメチャクチャベタなのですが、
(分福に対する形容詞?修飾語?は日々アドリブの模様~)
「喜劇」の部分を含みつつ、
ちゃんと本当は「アットホーム」なファミリーであることや、
きぬたが何不自由ない生活を送ってはいるけれど、
なにかしら寂しさや満たされぬ想いも抱えていることが、
す~っと観るものの心に入ってきて、同調してしまう。

娘らしい驕慢さも持ち合わせていますが、
それさえも当然のこと、と許されてしまうような。

スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】千秋楽観劇記

2005-11-28 23:40:35 | その他の演劇
妖狐さんのスーパー喜劇狸御殿:千秋楽観劇記♪


藤山直美さんのお芝居を観るなら是非大阪で観たい、
どうせなら千秋楽に観てしまおう、そう思っての
遠征だったのですが、一つ失敗したかな、と思ったのは
「普段のお芝居」と「楽ならではのお芝居」の区別が付きづらかった所です。
これが分かればもっと楽しめたであろうと思うので、
ちょっと悔しかったです

とはいえ、楽が初見でも十分楽しむことが出来ました。
むしろ圧倒!されることの方多かったです。
満月祭の迫力にはびっくり
TVでしか見た事ないのですが花組芝居っぽいと思いました。
しかし皆楽しげで、今までに見たことのない役者さん達を見た気がしました。
「う~ん、皆かっこいい!」一気にお祭り気分、盛り上がりました。

きぬた姫が「嫌じゃ~」と駄々をこねる(?)場面で
早速家老の分福役の慶四郎さんを「なんで笑ってへんの?
昨日まで笑っとったやろう?」と攻撃されていたり
(関東育ちなもので、大阪弁をうまく文字に起こせません)、
う~ん、すごいなあ、とうなってしまいました。

初めて春猿さん演ずる九重ときぬた姫が出会う場面では
雅楽平(猿弥さん)と二人してぼっろぼろで、
近寄って行くきぬた姫に春猿さんは後ずさってました(笑)。
芝居を進めようとするのだけど、笑わされてしまい、
後ろを向いてはこらえ、を繰り返していたのだけど、
最後には押しやって帰ろうとしていたようでした(笑)。

ちなみに右隣の席の方が春猿さんのことを
「笑也(しょうや)」さんや、と間違えられていたので、
そりゃいくら何でも……と思い訂正しちゃいました。

笑也さんの白狐登場の時には
「きゃーっ♪」って黄色い声援を聞いた気がするのですが(^_^;)、
一瞬耳を疑いました。
私も客席は直美さんファンが多いと感じていたので、びっくり。
キャラが受けているのならいいのですけど……。

個人的には「何かをやってやろう」と狙っている雰囲気は好きです。
楽しい中の微かな緊張感。笑也さんはまだ緊張感出過ぎかな。
ツンツンしてるのはいいから肩の力は抜けて欲しいな。でも私も
キャラクターは好きです(笑)。手鏡に白粉ぱたぱたでびっくりしたけど。

開口一番「初日からよくも楽屋で笑わせてくれたな、シワが増えた。
でも週に二回(増えてるのね)のエステとネイルサロンは欠かさないっ!
(ネイルを見せてキラーン)」という感じ。
破門も言われていた(^_^;)。悪い感じじゃなかったけど。
「仕込み失敗しました」では直美さん後ろ向いてプルプルしてた。
矢継ぎ早にギャグ連発する笑也に狐達も壊れ、
最後は直美さんが「狐さん達そろそろ元の位置に戻って」と言って
それから芝居に戻っていたいよ……。
ただ、あまりネタバレしない方がいいと思うので内容は書かないけれど、
関東育ちには理解出来ないギャグもありました。

狸と狐の対比が分かりづらいのはあると思いました。
ただ狐のキャラクター自体は一貫しているかと。
紫さんと笑也さんの喋り方が一緒=弁天小僧風なのかと思いました。
一応?良い狐と悪い狐だけど。

あと長屋の場面で猿弥さんが上がってきた時、
つまずいて「いてっ!」って言ったんですよね。
怒りながらも笑いも取るお芝居か~と感心しつつ見ていたのですが、
なんだか、ずっと痛さ堪えているみたいで、
周りも、笑い堪えてる?って感じで、
本当にぶつけたのだとしたらお疲れさまでした……。
正直言って、お芝居うますぎて区別付きません。

私は歌があるのは単純に楽しいし、デュエットもありだと思いました。
『歌ふ狸御殿』とか系譜がある訳だし……。
ただ一幕始めに比べてだんだんおとなしくなってしまう印象なのは
ちょっと寂しいですね。
私は笑った後だけに、きぬた姫を思うと
最後の満月祭では泣けてきちゃいそうでしたが、我慢しました(-_-;)。

脚本と演出が変わってくるのかどうか、とにかく東京も楽しみです。

スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】千秋楽プチ情報

2005-11-27 00:51:58 | その他の演劇
え~観劇記が完結しておりませんが、気になっている方も多いと思うので
千秋楽観劇の友達から貰ったメールより、プチ情報を。

★白狐VSきぬた姫
白狐さん今まで使用のネタ全投入(23日もそうでしたが)
一部仕掛けが作動せず、白狐付の狐さんたちが直そうとするが直らず。
開き直った?白狐@笑也さん、思いっきり「仕込みが失敗しました」と宣言
その後ろでは手を取り合うようにして右近さんと猿弥さんが笑いを堪えていた、
いや、堪えていなかったとか…

(直美さんも吹いていたらしい~)

★カーテンコール
は通常の1回に加えもう1回との事。
猿弥さんが直美さんに唇奪われていたらしい(~_~;)
右近さんとは間接キス(?)
右近さんが直美さんの手の甲にキス。
そこを直美さんがペロンと舐めていたそうです。
(これは、私が観た日の通常のカーテンコールでもしていた)

スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】2

2005-11-26 23:52:00 | その他の演劇
関西地区、よみうりテレビで放映された「狸御殿の舞台裏」を
ただいま見終わったところ。(←大変よく出来たメイキングです。
別途、この番組ついても『見た気になれる鑑賞記』
をアップ出来ればと思います\(^o^))

何故、私が見る前から、どんな舞台になる(なってしまう)んだろう~
と、なんとなく不安(?)が先立つような思いをしてしまったのか…の
回答が得られたような気がします。
というのは、出演者や製作者の皆さんも、
同様な想いを抱いていたからなんですね。

よく、生の舞台で、演者がドキドキしたり緊張していると、
観る方にもそれが伝わってひやひやしてしまう…
といった事がありますが、
製作過程の段階では、まったく直接の交流はないのに、
何か、そんな制作側の不安感がテレポート!?されたのかしら(笑)

しかし、それらはまったく杞憂に終わりました。
いや「杞憂」というのは、ちょっと言葉が違うかもしれませんね。
「杞憂」=取り越し苦労、起こりえない心配をアレコレすることでしょうから。
実際あった(であろう)多くの問題を、ひとつづつ乗り越え、
丁寧に解決しながら、ある種の調和を作り出していったのでしょう。

舞台を観ると、本当によく練られた芝居であることが理解出来ます。
それは、後からこうしてアレコレ感想を言語化する作業をする事で、
あらためて気づくのですけどね。
とっても気軽に楽しめ、観るものを疲れさせないお芝居ですが、
その、肩の凝らなさ加減、す~っとラクに観れる分、
演者の背負っているものは、実は重いのかもしれません。

「間」の取り方のすり合せが、きっちり出来ているため、
歌舞伎役者陣と喜劇陣?女優陣との対峙も違和感ナシ。
(九尾の狐と白狐芸人ネタはちょっと・・・(-_-;))

冒頭、森をさ迷う右近さん(白馬の王子様!の意匠?)
の出から始まりますが、
これが、まったく歌舞伎の一場面と言ってもよい幕開け。
この、森(かがみの森)の背景は、
常の歌舞伎の書割ではあまり見ることない点描画なので、
スーパー喜劇という芝居の質よりこちらの方が「斬新」と思ったくらい。
そして、もうひとつ、あれ~!?と思ったのが、舞台が「赤い」ということ。

フツー(私のフツーは澤瀉の舞台、歌舞伎スタンダードですが(~_~;))
舞台の袖を覗き込むと「黒い」じゃないですか?
スーパー歌舞伎のイメージでも、とにかく舞台枠は「黒い」
けれど、この狸御殿の舞台は、舞台前面の張り出しの覆いから
袖、吊りモノ収納の天井部分まで「赤い」
あとで、よくよく筋書きに目を通してみたら、
大道具の金井勇一郎氏のコメントで
「黒幕のない舞台を作ってみた。今回は赤幕です。」とありましたが。

この、かがみの森が刷けると、狸御殿の満月祭りの場となります。
ここの、役者さんたちのダンサブルな弾けっぷりがサイコーに素敵です
衒いなく演っているので、こちらも、自然体で楽しめる。
もう、猿弥さんなんか、歌舞伎役者でなく、
もともと商業演劇のヒトなんじゃないか?
と思うくらい、顔つきまで何か違って見えるし、
唄は上手いしリズム感はあるしハァ~っと見惚れてしまいました。

また、きぬた姫(直美さん)のお婿さん候補の
猿若さん、笑三さん、喜猿さん、喜之助さんがメチャクチャカッコいい!!
いや~彼らこんなにハンサムさんだったかしらんと
マジマジ眺めてしまいました。
じゃらんじゃらんな衣装もきっちり着こなしてるし。
この4人は後に、紫さん(@卯月の方)に取り憑く、
“金毛九尾”の眷属としても登場するのですが、
この際の拵えも凄く似合って、役柄上醸し出すクールな雰囲気が、
今まで彼らが舞台上で見せたことないような、
別の側面を目撃した感じでドキっとしました。

そして、更に新境地を開いた!?喜昇さん。最強の婿候補です。
十二夜の松緑さんに、らく~に勝ってます(独断)

ここの満月祭りのキッチュな感じ、徹底してキッチュなので逆に抵抗感なし。
結構、周囲の子に、yayaさんたぶん、ダメなんじゃない?
と期待(?)されてたみたいなのですが、全然オッケー。
それより、この場面で、澤瀉一門の役者さんたちの
いろんな個性を再認識させられたことが新鮮でした。
曲もテンポも、お芝居全体の調和を乱さない耳馴染み良いメロディです。
娘狸さんたちの明るい笑顔、ノリの良い演技も魅力的。

そして、満月とピンスポしょって(笑)、きぬた姫登場!!
派手な装置や衣装以上に、
素材そのものの圧倒的な存在感を放つ直美さん。
あっちの役者さんを見たり、
こっちの役者さんを見たりと忙しかったのですが、
直美さんの登場と共に、どうしても、視線が彼女にフォーカスされる。
きぬた姫であり、でも、藤山直美という役者そのものである、
という二重性を表出しつつ、そこに、いる。

スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】1

2005-11-24 23:49:19 | その他の演劇
いや~かなり楽しめました。スーパー喜劇!!
もしかしたら、何かしら違和感を持ってしまうんじゃないかな~とか
勝手に懸念していた不調和みたいなモノを感じることなく、
なんだか、クセになりそうなお芝居です。っていうか、なってる~>自分。
来月の梅芸レミゼ遠征、まあ、舞台を観る回数は変わらないのですが、
さっさと東京戻って狸御殿観よう~!と日程短縮。

12月演舞場、3回しかチケット頼んでなかったんです。
これから、日にちを作るのも結構難しいのですが、
出来れば、なんとかあと2~3回は追加してもいいかな~と。
良い客じゃ~~♪っていうか自爆? 

・・・・と書いたところで、実は、ど風邪ひいたまま猿★征で
現在進行中(>_<)・・・頭と指が回りませんので、どんな風に良かったか
何が良かったかは、またあらためてアップします。
とにかく、帰りの新大阪の駅で、「偉い偉い」(←観た人限定ネタ)
√狸御殿~っ♪♪
と、何かに取り憑かれたかのように浮かれていた、ねーさんは
私たちでございました。

そうそう、これだけは先に記しておきます~。
私、普段は「女優」さんの出るお芝居ってほとんど観ないのですが
今回、娘狸チーム?の女優さんたちの演技がホント屈託なく可愛らしくてメチャクチャ、ハマリました!!
花道で尻尾出しちゃうところや(←慶四郎さん@分福茶釜に怒られる、
が、その反論する姿がまた可愛くて)
狐チームの「女形」やっつけるところとかね、もう、見てるだけで、
ふわ~っと明るい気分にさせてくれるノリの良い演技。

パルコ歌舞伎!?「決闘!高田馬場」

2005-11-21 21:31:12 | 歌舞伎
参照asahi.com

三谷幸喜氏脚本、「決闘! 高田馬場」が
2006年3月渋谷パルコ劇場にて、
“パルコ歌舞伎”と銘打ち上演されるそう。
出演は市川染五郎、中村勘太郎、そして市川亀治郎との事。

パルコ歌舞伎といえば、コクーンより早かったのにな~と
21世紀歌舞伎組が88年に「伊吹山のヤマトタケル」を上演した事に
想いを馳せる。

ちょうど、その頃は、豪州に在住していたので、
ナマの舞台を観ることは、叶わなかったのだけれど、
現地の「ジャパンインフォメーションセンター」で
(日本の雑誌や新聞が読める↑↑~当時はまだインターネットが普及して
いなかったため、こういうところへ出向いて情報を閲覧してました。)
その記事を眺め、ワクワクしていたのでした。

二十年にはちょっと欠けるけれど、なんだか、もう結構「昔」
になってしまった、かな~。そんな頃が…
次世代の役者さんたちが、常に季節が巡るように
また繰り返し、「新たな試み」に向かっていくのですね。

【21世紀歌舞伎組@パルコ劇場上演記録】

『伊吹山のヤマトタケル』1988年9月・1989年1月
 <主な配役>
 ヤマトタケル:市川右近、タケヒコ:中村信二郎、みやず姫:市川笑也
 伊吹山の山神:坂東弥十郎、ヘタルベ:市川猿弥 

『雪之丞変化2001年』1990年9月・1994年1月・1995年9月
 <主な配役>
 雪之丞・ユキヒコ:中村信二郎、闇太郎:市川右近、
 浪路・タカミヤ:市川笑也、土部三斎・DJ:坂東弥十郎
 
 ※1991年1月に近鉄劇場、1995年8月にシアタードラマシティ
  でも上演されています。歌舞伎組の上演演目の中では、もっとも再演
  回数も多く、人気の高いものなのですね。(ちなみに私は、ちょっと
  苦手です・・・この演目。次回、中日バージョンを期待しておりますが)
 
『梅川忠兵衛』1992年1月
 <主な配役>
 亀屋忠兵衛:市川右近、傾城梅川:市川笑也、丹波屋八右衛門:坂東弥十郎

『義経千本桜:忠信篇』1993年1月
 <主な配役>
 ◆伏見稲荷鳥居前
 佐藤四郎兵衛忠信 実は源九郎狐:市川猿弥、静御前:市川春猿
 ◆吉野山
 佐藤四郎兵衛忠信 実は源九郎狐:中村信二郎、静御前:市川笑也
 ◆川連法眼館
 佐藤四郎兵衛忠信 実は源九郎狐:市川右近、静御前:市川笑三郎
 (参照資料には書いてないけど、本物の↑忠信もですね

『龍神伝』1998年
 <主な配役>
 龍彦:市川右近、泉の姫:市川笑也、黒太郎:市川猿弥
 タマキ:市川笑三郎、朱雀:市川春猿、鳥辺十郎:市川段治郎
 

上記年表は、龍神伝のプログラムを参照しています。
パルコ歌舞伎には、いろいろ想うところもあるのですが、
また機会をあらためて。

吉例顔見世大歌舞伎

2005-11-14 22:20:58 | 歌舞伎
十一月歌舞伎座:夜の部

昨日、大阪松竹座猿★征手配のため、東京駅に出たついでに(?)
(JR東海ツアーズの「いざ出張大阪」←(笑)プラン利用)
有楽町へ出て、そのまま東銀座へ。連獅子まで幕見してきました。

【日向嶋景清(ひにむかうしまのかげきよ)】

吉キチ(笑)ファンの友人も、ちょっと辛口の感想だったので
逆に、どんなお芝居だろう~と興味が沸いておりました。
吉右衛門さんの書き下ろしということも。

確かに、私にとっても感情移入し難いお芝居でした。
景清が、戦に破れ主君を失い自ら盲となって孤高に?or孤独に?
暮らしているのだけれど、彼のその孤高(もしくは孤独)
に至るまでの悲運、非業も前提、
娘の糸滝が二歳で父と別れ、この度再会に至るまでの来し方や
身を売る決意に至るまでの(←父に金を工面するために)
心の葛藤も前提、いきなり「感動の再会」から始められても…
と言ったあたりで。

なにがどうしてこうなった、が、全部台詞で説明されても
ドラマは生まれ難いかな~と。
やっぱりある程度いきさつの部分のお芝居があって、
その後の「感動の対面」でないとキツイ…

もちろん、歌舞伎には、前段や前提はお約束の上ね、
ということで上演される「見取り」形態もあるけれど
それとはちょっと違いますよね~。作品の意味が。
新作、書き下ろし「小品」であっても、
起承転結や陰影を作って欲しかったかな。起伏に欠ける。
というか、起だけを繋いだら平坦になってしまった?
(え~っと↑景清さんの心持はず~っと“起”っぽいので(~_~;))
(しかし、文章力ないなぁ>自分)

吉右衛門さん演じる景清は、拵えは俊寛テイストで
(ラスト大船では、綺麗になりますが)
(元)武将としての矜持、父親としての苦悩を見せる
って感じで熱演なのですが、
たぶん、脚本を書いた当人だから、文字として書き表してない部分も
(役柄という意味ではなく、単に物語の骨格として)
ご自身の中では、観客が見るもの以上に高い完成度の世界にいる、と
想像するのですが、
そちら側だけで、完結してしまっている?という感じが無きにしも非ずで、
共有感みたいなものが、正直味わえなかった。

他の何かの作品の感想でも書いた言葉なのだけど、
(猿之助さんの出演作品だったかな~?)「父性」って
私は訓練で備わると思っているので、
唐突に「父性」出されてもあまり共感できないかなぁ。。。

役者さんを見る、という部分では、吉右衛門さんも
芝雀さんもニンには合っていて、個々のピースは良かったけれど
全体図は、いまひとつと言ったところでした。
(でも、絵の好みは色々ですからね。
私の並びのおば様は涙ぐみながら、ご覧になっておられました。)

【鞍馬山誉鷹(くらまやまほまれのわかたか)】
中村大改め初代中村鷹之資披露狂言

いや~華やかな一幕でした。
よく、こんなぴったりな狂言があったな~と思ったら、こちらも
大ちゃん改め鷹之資くんのための書き下ろしなのですね~。
だって「鞍馬山」なんていかにもありそうでしょう?

『家庭画報』で感心な記事を読んだばかりだったので
(富十郎さんが富樫で出られた勧進帳のとき、富十郎さんや福助さんに
毎日、黒衣姿でお薄を点て、お菓子も選んで差し上げていたとのこと。)
とっても楽しみにしておりました。

舞台は元気いっぱい、口上でもお行儀よく平伏していて良かったです。
(結構モゾモゾしちゃう子もいるからね・・・年齢にもよるでしょうけれど)
いろいろな場面で、後見の信二郎さんのサポートも素晴らしかったです。
ご自身のお子さんと、先輩俳優のお子さんと、
どちらの舞台の方が緊張するのかな~、なんて余計なことを
チラっと考えてしまいましたけど(笑)
微笑ましく、ほっこりと、幸せな気分なれる一幕です。

【連獅子】

父子で踊られると、より一段と興味倍加の演目ですよね。
猿之助さん×亀ちゃんは父子ではないけど、
舞台に対峙する気迫の質が似ているので、
この伯父甥コンビも大好きなのですが。

高麗屋さんの父子連獅子♪は、初めて拝見したのですが、
意外とあっさりした(まあ、こってりとも予想はしていませんでしたが)
というか、前シテは、なにか劇中劇の中で踊っているような錯覚を覚えました。
(仲蔵の刷り込みか

後シテはさすが、キャリアの大きな差が露呈した感じで
幸四郎さんも、そんなに多くは廻さないのですが、形は安定。
でも、なぜかスタミナ切れが早かったような・・・?
染五郎さんは、忙しく頭動かしているワリには
毛先がきれいに決まらない場面もあって、だんだん、腰ではなく
肩が揺れてくる感じも見て取れました。
で、ちょっとこの父子のリズムは合ってなかったなぁ・・・

鞍馬山では三響会、三男、連獅子では次男が鼓打ってました~(敬称略・笑)

歌舞伎座HP:11月の演目案内

坂東玉三郎舞踊公演@八千代座報告1

2005-11-13 21:44:10 | 歌舞伎
たまちさんの八千代座報告1

―待ってました!!(^o^)/―

【船辨慶】

能仕立てとは聞いていましたが、予想以上に「お能」でした。
船頭さんなんて狂言師そのもの!
静御前の台詞は謡っているし、まるで面をかけているかのような見た目
(感情で変化しない)なのに、
静御前の心情がストレートに伝わってくるって、す・スゴイ!

知盛の亡霊は花道の出の時から妖気というか凄味が放たれてて
マジで怖かったのですが、じっと眺めているうちに
「あんな美しい亡霊だったら祟られても悪くないかな・・・」
なんて不謹慎な事を思ってしまいました。

弁慶のお数珠を鳴らしての応戦には場内から少し笑いが起こります。
舞台上ではず~っと流れるような動作が多いですから
パッパッという弁慶の早い動作におかしみを覚えるのですね。
私は祈りで退散させたというより「眼力」で退散させた・・・と感じましたが。
猿四郎さんの山伏の姿、とってもキリッとしてて素敵!
弁慶が、見得とか切るし、一番歌舞伎っぽい感じのするお役でした。

笑三郎さんの義経は、花道の出から本当に気品たっぷりの貴公子で、
まるで雛人形のお内裏様のよう!
これからの運命を暗示させる憂い・哀愁が終始漂い、本当に美しかったです。
私の「義経ランキング」では今回の義経がぶっちぎりのNO.1です。


八千代座公式ホームページ

坂東玉三郎舞踊公演@八千代座報告2

2005-11-13 21:39:26 | 歌舞伎
たまちさんの八千代座報告2

【阿国歌舞伎夢華】

舞台上は桜満開で1部とは違い華やか。
で・そこへ阿国一行が花道より登場し、場内はより一層華やかになります。
揚幕が上がり先頭の笑三郎さんのお顔が見えた時点でどよめきと拍手喝采!
玉三郎さんのお顔が現れると「こんな拍手聞いた事ない!」
というくらいヒート・アップ。
(なんせ前の幕は「亡霊」姿で引っ込みましたしね)

花外へのサービスもてんこもりで、本当に至福の一時です。
(1日目は花外スッポン近くだったのですが、
すごく得した気分になりました)

今度は女形で、吉弥さんと二人踊る笑三郎さんのお姿は、
まるで水を得た魚!綺麗きれい!!

念仏踊りで阿国が舞い念じると、山三が登場。
ご両人の舞いは本当に綺麗でした。
特に阿国の表情!美しくて可愛くて、幸せをかみしめてる・・・って感じですか。
(↑だからより一層哀れ感が増すのよねぇ、夢から覚めた後)
段治郎さんの山三も綺麗でした。
スッポンからの登場時には近くのご年配の男性から
「こりゃよか男やね~!」と感嘆の声が。(でしょ!と私の内心の声)

幽霊だから始終はかなげな表情ではあるのですが、
阿国と見つめ合う一瞬は少しだけ笑みも浮かびます。
最後はスッポンで回転しながらの引っ込みなのですが、
この時の哀しい眼差しが心に突き刺さって・・・く・く・くるしい。
(で・この後の阿国のシーンで涙・なみだです)
いま思い出しても切ないなぁ。

花道スッポン手前で倒れこんだ阿国を、
舞台上から駆け寄ったお菊が起こすのですが、
この時のお国の表情とお菊の様子。
吉弥さんのお菊、優しさがじわ~っと心に染みます。拍手拍手!
幕切れは皆と一生懸命に踊る阿国(途中倒れそうになるのを堪える)なのですが、
舞い落ちる桜の花びらが
より一層華やかさと儚さを表しているのではないでしょうか?

そう言えば、山三に見せる舞の途中
(だったか一緒に舞ってる最中だったか・・・すみません記憶が既に曖昧)
阿国は扇に舞い降りた1弁の花びらを取り払う仕草をします。
「儚い」ものの象徴。それをはらってまた舞いを続ける・・・
そういう意味合いだったのかなぁ…なんてね。

玉さまのカーテン・コール初体験だったのですが、
とってもにこやかでした!
上演順が変更になって本当に良かったです。

実は千穐楽くらいははカーテン・コールがあるはずだ!
と観劇日を選択したのでした。
歌舞伎ではなく舞踏公演だから、実際は毎日カーテン・コールがありました。
千穐楽は通常+1回(舞台上に座ったままでご挨拶)
とにかく拍手が凄かったんです。歓声に笑顔に手を振る姿。
小屋が狭いというのもあるとは思いますが、こんなすごい拍手を
・・・って感じで、帰りは「ライブ耳」になりましたよ(笑)

八千代座という独特の雰囲気のある小屋で観れて、本当に幸せでした。
特に「阿国」はこういう小屋にぴったりですね。
来月は歌舞伎座で船辨慶ですが、
この「船辨慶」は能楽堂でも是非観てみたいと思いました。

本田美奈子さんのこと

2005-11-07 02:34:13 | その他の演劇
すでに昨日となった6日昼過ぎに友人から
訃報のメールを貰って以来ずっと、彼女のこと
彼女と関わりのあった役者さんたちのこと、そして、
彼女の描き出すものからパッションや癒しを得た
多くのファンのことに想いを馳せている。
眠れない…

私の個人的な気持ちと、その他の関連記事をレ・ミゼラブルの舞台
の方に掲載いたしました。

レ・ミゼラブルオフィシャルサイト(英国版)

児雷也豪傑譚話

2005-11-04 00:18:16 | 歌舞伎
※11/5さらに追記※

今回は「ハイパー歌舞伎」という冠?はなくなったのでしょうか。
(結構あんまりな↑ネーミングと思っていたのだけど(~_~;))

初演時から、ちょっとスーパー歌舞伎チックな仕立てなの?
と気になってはいたのですが、さすがに他家(?)のお芝居まで
猿★征して観る余裕もなく・・・・
今回、演舞場という事でやっと拝見!!

「復活通し狂言+スーパー歌舞伎+俳優祭」リミックス、
というのが観終わっての印象。

登場人物に想い入れしてストーリーを追うという
ドラマ的感動の部分がないので
(↑ある種の歌舞伎的ではある。ご趣向だけの芝居。)
では、それ以外の視覚的エンターティメント性は?というと
すでに出尽くし感のある、既視感のある場面構成でした。
斬新さを狙った(であろう)部分も、歌舞伎の部分も。

でも、パロディ的な場面のはめ込みも、
歌舞伎的手法ではありますけどね。

(スーパー歌舞伎も手法としては、リピートはしている。
場面構成とドラマの盛り上がりの組み合わせで、
新作のたび、斬新さを出していくようにはしていましたが。)

しかし、俳優祭な部分が一番客席が盛り上がったというのは
どうなのかしらん←歌舞伎の入れ事としては
微妙なライン…?ありでしょう~とも言えなくもないけど。
(どうしても菊五郎さんが、ああいうノリの拵えされると
俳優祭のイメージが甦ってしまい…
ガングロインパクトありすぎでした←いつの話やねん>自分)

結構序幕も、宙乗りも含め見せ場はあるのに、
イマイチ、客席があったまらない感じ。
二幕幕開け、團蔵さん、場内温度上げましたね―!!

宙乗りは蝦蟇が割れて鷲←カワイイ、に乗っての飛翔。
一階席の人が正面からの姿が見えないからと、
舞台上にスクリーンを出し飛翔する児雷也の姿を映していたのは、
いいような悪いような・・・←試みとしては親切ですが。
やっぱり、みんなが振り返って、頭上で実際飛んでいる演者を眺める、
という方が一体感があって良くない?たとえ後姿を眺めようとも・・・
鳥屋に入るギリギリまで、一階席の人は後姿を見送り
三階席は「お出迎え」する(笑)という。

で、勿体無いな~と思ったのが、鳥屋に入るかなり手前で
吊られている菊之助さんに当てる照明が消えてしまったこと。
私は、三階のかなり宙乗りが見やすい席を今回取って頂いたのですが、
いよいよ近づいてくる!というところでスポットがなくなってしまい…

大詰めの「火の粉」が見せ場なのも、既に
「アクロバティックな演技」にも「火幕」「リボン(?)」
にも慣らされてしまっている(笑)私には、
演出としてはインパクトなかったけれど、
音楽は、とってもカッコ良かったです!!
そうそう、宙乗りの時の太鼓も!!ライブの音はやはり良い
出囃子?と言っていいのでしょうか。
「火粉四天」が演技する後ろに劇団音楽部の方々が並び生演奏
児雷也に単独で絡む場面の殺陣の方二名も、
スピーディで切れ味のある魅せるものでした。

音楽と言えば、二幕でスプリング@フォーシーズンズやボレロも流れるのですが
これが違和感なく結構面白かった。
(ペルシャ絨毯がポイントか?>違和感ナシ。
ホントのペルシャかウルムチあたりで織ったものか?と
余計な邪念を抱きつつ思わず双眼鏡で文様確認。国産っぽい・爆)

十二夜同様、菊之助さんの満開の時分の花を目撃する、
ということでは観る甲斐のあるお芝居です。
女形(巫女の拵え)も含め、どの衣装も似合って素敵でした。
幕切れに菊之助さんと並ぶ亀ちゃんも綺麗でしたよ~。
(澤瀉ファン的にはどうしても蛞蝓というと、
「なめくじ」@浮世風呂を思い出してしまうのはサガ?らしく、
幕間ロビーでも、そんな声を聞きました。)

追伸:蝦蟇と蛞蝓さんの役作り(?)は努力賞ものです。
(蝦蟇ジャンプと、蛞蝓のヌルヌル動きに注目
 ↑敏捷性のなさが、逆に、こういう蛙いそう!とリアリティが。
 ワタシ的には結構ツボでした。後ろ足に注目~)
スーパー歌舞伎の楽にもよくあるのですが、こういう被り物の皆さん
千秋楽のカーテンコールでは被り物脱いで、お姿を現すのでしょうか?

追伸2:小ネタ一発目が、7月の鑑賞教室と同じだ~

【追記】
筋書きに菊五郎さんの、若手の役者さんの(演出上の)意見も
採用した、却下したものの方が多いけれど…というようなコメントが
載っていました。子役が谷に落とされる場面で、おっLK!?と
ふと、思ってしまったのですが(背景が動くことで落ちるさまを見せる)
ちゃんの意見かしらん(笑)

◆公演詳細は新橋演舞場のサイトで、ご確認下さい。CMもアリ。

チケットぴあ宙乗りの画像が見られます。

イープラス菊之助さんのメッセージが視聴出来ます。
インタビュー記事も掲載されていますが、
20年前に、30年前に猿之助さんがおっしゃり、具現化されていたことが、
一世代超えて、継承されていってるんだなぁ~とシミジミ。
異端だ、あれは歌舞伎じゃない、と揶揄されていたことが
普通に拍手をもって、チャレンジと受け入れられる時代に。

先月の、国立劇場、私は未見だったのですが、観劇した友人から
「筋書の松緑さんのコメントが面白かった」とメールを貰いました。
「宙乗り否定の家系だったので、祖父や父が枕元に出てこないか、
それだけが心配です。」という内容だったとか

今となってはかないわないけれど、何故、否定だったのか
お伺いしてみたい、なんて思ってしまいました。

スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】初日観劇記2

2005-11-02 20:06:06 | その他の演劇
by 也子さん

<かなりネタバレ観劇記です。私の希望で by ya>
※ちょっぴり加筆訂正@11/3※

ってことで、もう一人の大阪の友人でございます~(笑)
いつもは初見だけで感想は書かないんですが
(ってか、まだ書けない、という方がより近いかな…)
多分とっても気になっておられるかと思いますので
(yaya注:↑ハイ…
思ったことをつらつらと書いてみます。

右近さんが将軍様(?)からお家の後継いでもいいよって
お墨付きをもらいに行った江戸(?)から帰る途中、
森で賊に襲われるところから始まります。

黒衣みたいな格好の賊ですが、背中に燃えるう○こマークが
入っているので、歌舞伎好きが見れば
「きつねさんチーム」ってことがまるわかり。
ツケ入りの歌舞伎の立ち回りなんですが、
若君ちょっと弱っちくて、あっちこっち切られまくり。
でも、なぜか切られてから俄然強くなり、
4・5人の賊を蹴散らして暗転。

森の中では狸御殿の満月祭り。
人間に化けた狸が、キンキラの着物にアクセサリーじゃらじゃらで
ディスコティックに踊ってます。
(この衣装はちょっといただけないなぁ、私的には。)
奴の猿弥さんはどんな踊りでもお上手ですねぇ。

あと、弾けまくってたのが喜昇さん。
いろんな意味でけっこうスゴイです。
他にもおもだかの三階さんが、きぬた姫のお婿候補で踊っています。

きぬた姫は「殿様になりたいがために私と結婚したがってる」
狸のオスとは結婚できないと自己主張。
意外にまともな理由で少々肩すかし。
どうせなら「人間の男前じゃないとイヤ!」くらい言って欲しいな~。
笑えないやん

ところでこの御殿に住む狸の皆さん、人間の姿をしているのは
物語上、単に擬人化してるだけなのかと思いきや、
わざわざ人間に化けて人間のように暮らしていて
(人間のように着物を着、箸と茶碗でご飯を食べるのがステータスらしい)
しかも人間に化けているのは、なかなか力がいるそうな。

で、なんでそんな大層な思いをして人間風に暮らしているかといえば、
5年前(←なんでそんなにリアルな設定?)に亡くなった
きぬた姫の母がそういう暮らしを望んだから。

…そ、そんな理由で狸一族が皆人間に化けて暮らしてるの?
わざわざ理由付けをするならば、もっと凝っていてばかばかしい
理由にしてよ~って思うのは贅沢でしょーか。

さて、婿を選びかねて殿様である父とケンカしたきぬた姫は、
森で傷付いて倒れてる右近さんを見つけます。
(このシーン、ちょっとごちゃごちゃしてたので、幕が開いたら
右近さんがばったり倒れてた、にした方が私は好き。)
きぬた姫の介抱でかなり復活した右近さん。
姫ともちょとラブラブモードでいい感じになるけれど、
ここで殿様の愛人&隠し子という伏線が絡まって、
右近さんに狸だということがバレそうに。

この愛人&息子の設定、いるのかなぁ…
最後に「想い合ってる者同士は一緒にいるのが一番」
って結論が用意されているので、その一環なんだろうけど…
いらないんじゃないかなぁ…なくても話は通ります。
しかもこの息子、どう見ても7~10歳くらいで、
「おいおい、妻が生きてるうちから愛人作ってたんかい。養子のくせに~」
ってつっこみたくなった。(殿様は婿養子だった)

秘密を知った人間を生かしていると、きっとこの国に攻めてくるから
殺せ、という大臣達を殿様が説き伏せ、ここでの記憶を消して
右近さんを自分の国へ帰します。
(だから、こんな苦労して人間のフリする生活に意味はあるのか?)

右近さんの国では、将軍様に跡継ぎのお墨付きを貰いに行ったまま
ひと月以上も帰らない息子の身を案じる母・紫さんと、
跡継ぎ行方不明で、国の今後をどうするか
二派に分かれて大騒動の大臣達が協議の最中。
悪代官と局の門之助さんが、お祓いと称して導師を呼び、
紫さんに九尾の狐を取り付かせます。

ここのお城の広間、かなりシンプルな作りで、ちょっと寂しい感じ。
ま、小国じゃこんなもんなのかな。
延夫さんと門之助さんは悪狐さんチームなんだけど、狐が化けて
いるのか狐が取り憑いているのかは最後まで分からなかった。
(私の見方が悪いせいか?)

紫さんは母の時は、良かったですが
九尾の狐が取り憑いた後はちょっと
私としては色っぽい悪女ってのが九尾の狐のイメージだったんだけど
酒宴に興じている様子はクラブのママが酔いつぶれたカンジ。
(ああぁ、ゴメンナサイ。悪気はないんですっっ。)
彼女の周りにいたイケメン狐四人衆はかっこよかった

右近さんを慕ってやって来たきぬた姫と奴の猿弥さん。
右近さんの側付きをやっている春猿さんの親切から、
お城の端女として雇ってもらうことになります。
が、お城はすでに悪狐チームの支配下。
ピンチの右近さんを救ったきぬた姫と猿弥さん、
九尾の狐を祓う深草の御劔を手に入れるため、伏見稲荷へと歩を進めます。
そして、ここで笑也さん演じる白狐がご登場~

いやぁ、こんなタイプでくるとは思わなかったんで、
私にはすごいインパクトでした。
時間的にはそんなに長い出番ではなかったようなんですけど、
えらく印象に残ってて。(苦笑)
どんな風かって説明するの、難しいんですけど…強いて、
強いて言うならば、「弁天小僧風?」(←「?」必須)

この世で一番狸が嫌いで、週一回のエステとネイルサロン
通いを欠かさないらしいです。
「塗り壁」vs「ぶたまん」の”女”の戦いはキョーレツ~
(どっちがどっちかは言わずもがな)

で、この白狐さん、どうも人間もあまりお好きではないようで、
剣を貸すのにいろいろ条件を出したあげく、きぬた姫との
”女”の戦いに惜敗し、怒って帰ってしまいます。
最後に、白狐が乗ってきた神社、火を噴くんですが…
これってスーパーのパロディ…?

そういえば、これを書いていて気付いたんですが、
きぬた姫のセリフで、
笑也さんとの口喧嘩については「女同士の戦い」、
助けてくれた春猿さんのことは「人間の娘さんは綺麗」。
でもお女中の笑野さんと紫猿さんや三階さんには
「にせもの女」(←ちょっと表現ちがうかも。)
女形さんへの「男」ネタはきっと入るだろうとは思いましたが、
笑也さんと春猿さんは女性として扱ってるんですよね。
これって気配り?
それとも、そのうち笑也さん達にも「男」ネタ、出てくるのかなぁ。

頼みの綱の剣が手に入らず、お城の追っ手から身を隠して
貧乏長屋で狸に養って貰う生活が続く右近さん。
(狸のヒモって一体…)
荒んで、姫や奴に八つ当たり。

それでもかいがいしく世話をするきぬた姫に、
ちょっと心が揺らいでます。(いいのか?!狸だぞ!?)
姫も、迎えにきた殿様へ親子の縁を切ってもいいとまで言ってのけ、
右近さんときぬた姫の心は一つになります。

長屋の脇にあるお稲荷さんに二人で願う姿を、
長屋の屋根からせりあがってきた白狐が、考え深げに見詰めていました。
(なんで長屋の屋根からせり上がるの?白狐さん。なんかヘン。
ちょっと新三国志2の二幕切れの翠蘭思い出した。)
ここ、なんとかなりませんかねー
妙に中途半端なカンジでねぇ。
いっそ思い切ってお稲荷さんのお社の中から顔出すとか、
お笑いに徹した演出にしてみてはどうかと。
(そんなん笑也さんイヤかな…)

気持ちが通じ合って百人力な右近さん・きぬた姫・奴の猿弥さんは
お城の牢に捕らわれていた春猿さんと父の寿猿さんと合流し
九尾の狐に対峙します。

倒しても倒しても妖力で立ち上がる狐軍団に四苦八苦しているところへ
白狐が現れ、きぬた姫の右近さんを思う気持ちに免じて
深草の剣を授けてくれます。
(すっぽんから現れて剣を渡すとあっという間にすっぽんに
引っ込んでしまった~。もっとゆっくりしてくれてもいいのになー)
で、この剣が強烈で、鞘から抜くだけで
あっという間に悪狐は退治。(っていうか勝手に倒れた)
母・紫さんも元通り~(ちょぉっと簡単過ぎやしませんかー)

で、尽くしまくってくれたきぬた姫を
側に置きたいと言いだした右近さんに、
きぬた姫は「側にいると気付かないけど(うんぬん)」
と言いつつ右近さんと春猿さんの手を重ねて「幸せに~」
ええ
いつの間にこの二人は好き合っていることになってたの??

確かに春猿さんは右近さんのこと好きなのかなーって思える
言動などありましたが、右近さんが春猿さんのこと好きって分かる
ようなきっかけって何もなかったような…
私が見落としただけ?
それに右近さんがきぬた姫のこと好きだって言ってるんだから
この二人こそ相愛じゃん。なら別れることないじゃない。

右近さんが春猿さんをこそ好きなのに、きぬた姫に恩義を
感じてむりから側に置きたいと言った、ということなら、
きぬた姫が身を引くってのは分かるけど、そんなそぶりもなかったしなー。
これはちょっと無理無理な展開だと思いました。

そんなこんなで、きぬた姫と猿弥さんは二人宙乗りで
狸御殿へご帰還。

御殿では、姫の代わりに愛人の息子が跡取りとして
お城に引き取られることになり、
母は引き離されて森へ追い返されそうになっているところ。
(母だけ森へ返されるのは、殿様が「再婚はしない」とみんなに
公言していたから。←それくらい撤回したってバチは当たらんと
思うんだけど…)

オトナになって帰ってきた姫は、
想い合う者同士を引き離すのはいけないと、
愛人&息子を後妻&弟としてお城へ迎えます。
ってことで、お話は大団円で終わるのでした~

ストーリーの出来はさておき、話のあっちこっちに有名な
歌舞伎のワンシーンが入っていて
「あっ!」って気付くのが楽しかったです。
途中でミュージカルっぽい歌が入るんですが、
あれもなくっていいかな。

藤山さんと右近さんは歌がお上手なんですけど
話の展開上、必須ってカンジではない。
何より、前半しか歌が入らないので、全体にみて統一感が
なくなってしまってるかな、と。

笑いのネタはシモ系から高度なものまで多種多様で、
初めは周りに気を遣いながら笑ってたんですが、
周りのお客さんもげらげら笑ってるので、
最後にはフツーにがはがは笑ってしまいました。
こんなに笑った芝居は久しぶり。
この辺り、後半に行くにしたがって、
どんどん面白くなるんではないかと期待してます。

今日見たカンジではこんなもんでしょうか。
また2回・3回と見ると、印象も変わるかもしれませんが。
まだパンフを買っていないので、役名と本名が入り乱れで
読み辛かったかもしれませんが、なにとぞご容赦を。


 by ya
臨場感溢れる詳細感想ありがとうございましたっ

スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】初日観劇記1~祝★初日~

2005-11-01 21:05:39 | その他の演劇
nontanさんより初日観劇速報

仕事の関係でちょっと遅刻入場。
右近さんの花道からの登場だけ後ろで見て、速攻で着席。
最初から群舞で松ケンサンバとは言わないけど、
派手派手ノリノリですから~。

まあ、チラシがアップされてあらすじ読んだら、
笑也さんの登場はあまりないなあとは予測しましたが、
予想通りの二幕目中盤だけで、あと、
最後カーテンコールで紫先生の手を引いて出てこられます。

それだけに、直美さんとの女の闘いは、最大の見所って感じでしょうか。
それにしても、もう少し、本自体練れていてもいいのではないかなあと思った。
これからの進化に期待。

思わず大阪の人間なら手をたたいて、更によっしゃあ~!!!
と、ガッツポーズする台詞ありで、初日にしてはよかった。
女優人と女形の対決って感じにも見えなくはないし、
小島一慶さんはいきなり笑って台詞しゃべられへんし、
アハハーと思いっきり笑わせてもらいましたし、泣かせてもくれたよ。

それでも、もうちょっと・・・ってとこもありかな。
まあ見てのお楽しみです。

客席は直美さんファンのほうが多いのでは?って思ったわ。
ふだんの澤瀉の舞台の客席とは違う顔ぶれだったので。


(nontanさんは観劇後仕事に戻られたのですよ~。
もう一人の大阪の友人も、やはり観劇後仕事しに会社へ戻ったと
メールがありました。多忙な中、速報ありがとうございます。
舞台の上の役者さんも頑張っておられるでしょうけれど、
こうして、ファンも熱心に劇場に駆けつけて舞台を見つめている!!
ことを、この松竹座公演、そして演舞場へと続く二ヶ月の
多少なりとも、励みにして頂けたら~と思います!(^^)!

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