ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

ジンギスカン わが剣、熱砂を染めよ 2

2008-01-12 21:29:14 | その他の演劇
2008年1月11日(金) ル・テアトル銀座

【総合演出】市川猿之助
【原作】牧逸馬【脚本】窪田篤人【演出】山田孝行
【美術】織田音也【美術】中島正留
【音楽】寺田瀧雄【音楽】坂出雅海
【効果】小幡亨【振付】江夏淳
【殺陣】張紹成【殺陣】滝洸一郎

キャスト、相関図はこちら

主催:「ジンギスカン」上演実行委員会←この中に顧問として元内閣総理大臣の
海部さんや駐日モンゴル国特命全権大使の名、
後援:駐日モンゴル国大使館 / 読売新聞東京本社 / 日本テレビ
等々、なんだか“ご大層な”雰囲気なので、もの凄いスケール感のあるお芝居を
無意識のうちに期待していたようで(あと、やっぱり猿之助さん演出だから
スーパー歌舞伎レベルの)芝居の主軸が想定していたものとかなり異なり、
ある意味呆気にとられて終わった一幕。
歴史大河、群雄割拠の戦物語かと思っていましたが、
ヒーロー、ヒロインのラブロマンス?になっていましたね。
あまりロマンも感じなかったけれど。

舞台面が狭いせいもあるけれど、
大使やら総理やらお名前並べた割には予算がなかったのか、
幕開けあまりのシンプル(←気を使った表現)さに、
モンゴルの大草原はどこ?とビックリ。
奥行きを出すために舞台中央にかけられていた板(?)の健気さに涙。。。
公式サイトのストーリー紹介の画面のように、馬群が駆け込んでくるとか
SEは良かったのだから、映像ででも馬出せれば迫力出たのにね。
なんだか、とっても小ぢんまりなモンゴル草原でした。

てか、それ以前に、開演前♪ジン、ジン、ジンギスカ~ン!!のあの曲が
かかった瞬間、安い歌舞伎町のディスコ(時代はまだクラブではなかった)が
脳裏を過ぎり…(↑そんな想い出背負ってる自分が悪いのでわ?)
(余談ですが、この曲は怪僧ラスプーチンにインスパイアされて作曲
されたそう。そして、このジンギスカンを歌っていたジンギスカンという
グループ←そのまんまやん~には「めざせモスクワ」というヒット曲も。
ちなみにリアルタイムでは知ってるが、モー娘。のおかげでリバイバルした
っていうのはまったく知りませんでした。←余談長過ぎ)

あと、ロビーでのモンゴル物産展が微妙すぎる。
『8万円のシルクのショールが3万円ですよ~お買い得!!』って
アジア各地で出会う物売りの台詞、ハレの観劇の日に、
いくら一丁目とはいえ花の銀座(昭和な言い方にしてみた)
の劇場ロビーで聞きたくないっす。。。(悲)

そりゃ、レミ@博多でも物産展やってました。フランスと九州合同で。
でも、あのロビー、あの商業スペース、あの物量でやっていれば
それはそれで“ハレ”な状況。
いっそパオでも設置して民族衣装着用で販売してみるとか。
で、並びで売っている鏡はまったくモンゴルとは関係ないそうです。
確認済み(笑)←自分暇人過ぎ。いや、一幕あまり、舞台に入り込めなかったので
モンゴル関係眺めに来たら余計悲しい気分に…

なんか疲れちゃった、明日に続く




ジンギスカン わが剣、熱砂を染めよ 1

2008-01-12 00:11:30 | その他の演劇
2008年1月11日(金) ル・テアトル銀座

【総合演出】市川猿之助
【原作】牧逸馬【脚本】窪田篤人【演出】山田孝行
【美術】織田音也【美術】中島正留
【音楽】寺田瀧雄【音楽】坂出雅海
【効果】小幡亨【振付】江夏淳
【殺陣】張紹成【殺陣】滝洸一郎

キャスト、相関図はこちら

ひゃ~結構微妙でした。
特に主役二人の歌が。何故か彼らの曲が入ると急に「歌謡ショー」な雰囲気に…
ルテ銀より新宿コマが似合いそう(歌謡ショー、ライブで観た事ないけど。
いきなりな感じといい曲調といい、歌謡曲の歌手の座長公演っぽい?)
ま、二幕結構持ち直して、クライマックスはうっかり涙ぐんでしまいましたが。
「猿之助演出」の部分は、ファンには丸分かり♪
スーパー歌舞伎のパク…もとい、転用。
(テムジンの剣が光って回ったらどうしようかと思いました。。。)
でも、一番ツボったのはラスト「遠見」の葬列です。これは歌舞伎の常套。

明日も出勤なので、ネタバレかつ突っ込みどころ満載な?
感想詳細は明日帰宅後!

おもだかファン的に気になる猿四郎さんは、ジンギスカン四天王の中でも
なかなか為所のあるお役で、良かったです!
このお芝居、殺陣はいい感じに仕上がっています。
(三国志のように京劇?雑技?チームあり!)

しかし、客席はほとんど招待客?と思われるような「関係者」っぽいお方ばかり。
どういう「ご関係者」さまか不明ですが、
帰りのエレベーターでとっても不快な思いをしたので、更に評価下がる。
“ご関係者”のお付きか、ルテ銀スタッフか不明だけど、
劇場スタッフだとしたら、ホント、考え直した方が良いよ。
集客出来てなさそうなのに、一般客をないがしろにするような
というより、完全に非礼な行為は改めて下さい。
それも、若いおにーちゃんやおねーちゃんでなく、
人道ということが分かっても良さそうな熟年の女性でしたが。

日経トレンディネット 新春歌舞伎への誘い

2008-01-07 22:41:23 | 歌舞伎
日経トレンディネットの記事
大人の“粋”を学びたい 新春歌舞伎への誘いと題して
歌舞伎の特集が組まれています。

巻頭?インタビューが市川段治郎さん!!
歌舞伎俳優市川段治郎さんに聞く総合演芸「歌舞伎」の魅力
記事はこちら

歌舞伎を“総合演芸”と表記されたのを初めて目撃したような…。
いえ、良いのですが。
今月は、サライでも歌舞伎特集が組まれているいるようで
ここのところ男性をターゲットにした展開なのでしょうか。
サライも猿之助さんが舞台に立たれているときだったら
絶対「市川猿之助で観る『義経千本桜』」だったかな~と思ったり。

そうそう、このインタビューで段治郎さんも言及されている
『雷神不動北山櫻』@新橋演舞場
今朝、ワイドショーの特集見てから出勤しました(笑)

通し狂言 鳴神不動北山櫻

2008-01-02 23:02:02 | 歌舞伎

2008年1月2日(水)新橋演舞場 3階B席

鳴神上人
粂寺弾正
早雲王子   市川海老蔵
安倍清行
不動明王

雲の絶間姫  中村芝雀
関白基経   市川門之助
文屋豊秀   市川段治郎
腰元絹巻   市川笑三郎
秦秀太郎   市川春猿
小野春風   沢村宗之助
山上官蔵   市川猿弥

八剣玄蕃   片岡市蔵
黒雲坊
秦民部     市川右之助
白雲坊
小野春道   大谷友右衛門


市川海老蔵五役相勤め申し候と銘打っての奮闘公演。
はい、奮闘されておりました!!お疲れ様~。
海老蔵くん、結構、澤瀉テイスト好き?と思えるような
もう、冒頭の口上から、猿之助さんが伊達十とか、その他
こみいったお芝居の前説(笑)する時と同様の五役解説。
切り切られ騙し騙されと役を替わっての奮闘なれば
いつもにも増してのご声援を~と、どこぞで聞いたような(笑)ご挨拶。
いえ、いいんです。良いものはどんどん取り入れて下さい。

ちょっと緊張気味だったかな?役解説で、ん?つっかかった?
と思うところもあったけれど、でも、そう大きな言い間違えでもなく
まずまずのすべりだし。口上終盤、下手袖から、猿弥さんの
早く芝居を始めろ~(←とは言ってないけど)の声が。
(なんでしたっけ?忘れちゃった。「まだか、まだか~」だった?)

発端、序幕で鳴神上人、早雲王子、安倍清行の概略を見せ
二幕が「毛抜」
個人的に澤瀉スタンダードなので、猿之助さんの時と
(あと段四郎さんで観てます。確か猿之助さんが小鍛治踊った時の
 昼の序幕。)若干違うな~と思いつつ…
一番印象に残っているのは、粂寺弾正が秀太郎にも絹巻にも
袖にされたところで「これで二杯ふられた」と言うところを
海老蔵さんは「二杯やられた~」だったこと。
私は、この現代でも使う「ふられた」という文言が、
古典歌舞伎の中でも、ほぼ同様の意味で使用されていることが面白く、
このお芝居の中で、強く記憶しているところだけど、
たまたま今日そうだったのか、あるいは今回はそういう云い回しなのか。
あと、大詰、澤瀉屋では、弾正が玄蕃の首を斬り、
その首を祝儀!と言って差し出していたけれど、
今回は、実際の「首」はなし。斬りつけるまで。
(或いは、正月の目出度い初芝居なので「首」は避けた?)
これも、初見「婚礼祝いに首かよ~!!」とあまりのシュールさに、驚嘆。

もともと、この演目、現代の短編ミステリーにも似た謎解きで
“科学トリック”とも形容される(笑)磁石(羅針盤)の詭計。
磁石って一体いつ頃日本に入ってきたのかしら。
※追記:平成九年十二月の筋書きによると磁石の存在は二千年以上前から
中国で知られていた。日本でも古くから知られていて
『続日本記』の和銅六年(713)の項目には、献上品としての記載があったそう)
この演目が初演された頃は、斬新な種明かしだったのかな。
※初演:寛保二年((1742年)

一見、わりとゆったりした芝居に見えるけれど
毛抜きの見込みをはじめ、それぞれ決まりの見得や
科白の緩急など、結構、大変そうです。
でも、海老蔵くん、なかなかユーモラスな雰囲気も出ていて健闘。
最後の引っ込みも、役者本人が言っているのか役のその人が言っているのか
という、二重写し的な面白さに客席から歓声と拍手

あ、そうそう、粂寺弾正の衣装が碁盤模様でなかったようなのですが。
昨年以来双眼鏡が行方不明で(私の部屋には五次元ポケットがあるらしい)
今日、3Bで、私の視力ではイマイチ詳細が確認できなかった。
なにか海老茶色で海老!?の意匠のようにも見えたのだが。
1等席情報待つ(笑)

あまり配役とかもチェックしないで出かけたので、
てっきり春猿さんが錦の前だろうと(勝手に・笑)思っていたら
なんと秀太郎でした。最初、ふっと、笑也さん!?と思ってしまった。
(当月、出演されてません)
笑三郎さんの絹巻は、すごく馴染みがあるような気がしてたけど
御園座で観たのみで、段四郎さんの時は門之助さんでした。

三幕が「鳴神」
これも、いろいろ演り方はあるのかもしれないけれど、
自分の中のスタンダードとは違う手順。かなり省略?されてる。
終演後のお茶の時間にアレコレ言っていたところでは
破壊し祝言の盃のあと、壇上に戻って御簾が降り・・・というのがなかったよね
とか、寝入った鳴神上人を残した絶間姫がもの凄く反省(笑)する場面もない
とか、注連縄切るまで、何度も岩場を滑ったり、よろめいたり殆どなく。
実は鳴神の間一部落ちてzzz(正直な告白)しまっていた時間が
ございまして、自分が見逃しただけかもしれませんが、
川を渡る造形の「ぞんぶり、ぞんぶり」のあたりや、疑われて滝壺に
飛び込もうとするのを阻止する件など、どうだったのでしょう?

気絶した上人に水を飲ませる処も、
絶間姫が何度も袖で水を汲むのに失敗して、
最後に口移しという手段に出る、ではなく、すぐ水飲ませてたよね~等など
結構、皆のチェックも細かいのであった。

海老蔵くんは、騙されたと知った後の悔しがり方?はワリとあっさり。
っていうか、破壊前も後もそんなに変化なし(笑)
まだ、後の芝居もあるからかな。
あまり、いっぱいいっぱいな心理造形ではなかった。

芝雀さんの雲の絶間姫にもちょっとビックリ!!
酒は飲めないと祝言の盃を最初は断る上人に
一瞬地声で凄む絶間、というのを初めて目撃。
い、いいんでしょうか。

そして大詰。
猿之助さんが千本桜の花矢倉につけていたような
立ち廻り(元を正せば↑↑蘭平の換骨奪胎+山門)がついていて
更にそこから、不動明王、空中浮遊の場と続くのだが
この繋ぎがメチャクチャ悪かった。烈しくモタレました。
ところどころ澤瀉テイストが散りばめられているので
もしかして脚本は石川さん?と思ったけれど、違った。
(でも、ある意味石川脚本っぽくはなかったので筋書見本でチェック)
が、演出が奈河さん。う~ん、良いのですか?これで???

梯子も海老蔵くんが、もう二段くらい上まで登ったほうが映えるし
ぶっかえりの引き抜き&お直しもスムースに出来たはず。
そして、早雲王子から不動明王に替わるまでの長いこと長いこと~!!
いきなり暗転し照明(ライトカーテン)が入ったあたりから
(それまではフツーの歌舞伎の白の動かない灯り)
不安な予感はしていたのだけれど、この暗転の中
延々と流れる長唄(まさしく長い~。基本、連獅子系の書き換え?
√出現なしたる~を聴いたときは、このまま獅子が出てきてもいいかな?と・笑)

スーパーでよく使う火幕のドレープを前に、
イリュージョンの手法らしい不動明王の空中浮遊。
でも、これ見せる意味が良く理解出来なかった。
っていうか、ここで幕?
普通に、一座揃って、本日はこれぎり~とか絵面にキマって幕とか
そういうので良かったんじゃないの~?

ただ、挑戦とか新機軸という意味では、
海老蔵くん、色々トライしてみたいのだろうな、という気持ちは
伝わって来た。というか、全然、事前に予習してなくて、
今、松竹のサイトで、今回の上演に関する彼の記者会見の記事を読んで
ちょっとホロっとした。
五役を演じること、心境についてとの質問を受け、大変だけども、
先輩方の中には、さらに十役をなさっている方もいらっしゃいます、
というような回答をしているのを読み、
また、今日の口上のつけ方なども反芻されて
猿之助さんのいき方の賛同してくれているのかな、と。そういえば、
安倍清行の時の発声が何か猿之助さんに似て聴こえたのですよ。
いつか、海老蔵くんの「伊達の十役」があるかもしれませんね。

と話が別の方向に膨らんでしまいましたが、
この大詰は検討の余地アリ!五役の醍醐味は、もちろん
それぞれの役を丁寧に見せていく部分も大切だけれど
ぱっとテンポよく、意外性を持たせて替わることも大事だと思うので
あれだけ待たせて、あまりインパクトなく幕!で、ホント尻つぼみだった。
(それにあれだけ作り込んでしまって声も録音なら
海老蔵くんである必然がないような・・・)

でも、その心意気や良し!ってことでは拍手

澤瀉一門も適材適所、各場面で活躍してます。
段ちゃんは客席練り歩きアリ。
新橋演舞場座席表
スミマセン~さっきまで歌舞伎座の座席表を貼り付けてました。。。
(1月5日20時40分訂正)
報告によると、段治郎さんと欣弥さんは
>舞台から下りて、中央通路(多分…上手通路ではなかったと思う←思い違いある
>かも)で、お客さんに話し掛けたりしながら最後列まで行き、
>最後列の後ろを通って下手通路を舞台まで戻り、清行を見つけて、
>後に付いて最前列前を通り、舞台に上がってました。

海老蔵くんは花道付け際から降りて、
下手からセンターブロックの最前列の前を通過します。

あ、大事なこと(なの?)を忘れていた。
鳴神の龍神が凄いことになっていた~!!(見てのお楽しみ!)

りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ 第五弾 「ハムレット」 2

2008-01-02 00:28:03 | りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ
りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ 第五弾 「ハムレット」

【新潟公演】
2007年11月28日(水)~12月1日(土) りゅーとぴあ能楽堂
【東京公演】
2007年12月7日(金)~12月9日(日)銕仙会能楽研修所 アクセス

公演詳細情報はこちら

旧年中に仕上がらなかった感想。
でも、この、栗田さんのりゅーとぴあ能楽堂シリーズは、
とてもリスペクトしている舞台なので、余裕(物理的にも精神的にも)がない時に
さっくり書く、ということが出来ません。

で、一ヶ月近く経過しようとしていますが、続きを!
その1はこちら

当日券購入者は、開演の5分前の入場だったので
平場は辛いな~どういう姿勢で座っていようかしら…と
ぐにゃぐにゃしている間に、ピアノの横山道子さんがドレスに
アップしたヘアスタイルで入場。今回プログラム見ても感じたけれど、
彼女「女優さん」らしくなったというか
プロっぽくなったというか。綺麗になってましたね。

暗転から、舞台に薄く灯りが射し、そこに浮かび上がったのは…
私は瞬間、即身仏! と思いました。
もうハムレット死んじゃってるのかと。
しかも、死後100年くらい経っているんじゃないか?とか思ってしまいました。
もう煩悩からも解放されて。何か凄く削ぎ落とされた雰囲気だったし。
彼の死から時を遡行して行くのかな?と。
でも、物語が始まってみるとそうではなく。

他の登場人物と同じ時間を生きているようだし。
う~ん、でも逆に生きているのは彼(ハムレット)だけで、
動かない彼の周囲で動いている人々は
彼が産み出した幻覚の中で生きている人かな~とも。

でも、幻覚にしては、それぞれの登場人物は凄くリアリティがあったので、
私の中では、やはり、誰もが生きている人、として物語が進行。
そう、幕開け(って幕ないけど)頭の中で、このような感覚が
ぐるぐると巡っていたのでした。

(いきなり眠っ続く・・・←おい)


新年明けましておめでとうございます。

2008-01-01 00:00:29 | 歌舞伎
新年明けましておめでとうございます。

ロムの皆様、そして、コメント・情報をお寄せ下さる皆様
いつもありがとうございます。

今年は、ヤマトタケル4座で4ヶ月のロングラン!!
楽しみな一年となりそうですね。
そして、新春から猿之助さん演出のジンギスカンも開幕。

では、08年もどうぞよろしくお願い申し上げます!!

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