ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

児雷也豪傑譚話

2005-11-04 00:18:16 | 歌舞伎
※11/5さらに追記※

今回は「ハイパー歌舞伎」という冠?はなくなったのでしょうか。
(結構あんまりな↑ネーミングと思っていたのだけど(~_~;))

初演時から、ちょっとスーパー歌舞伎チックな仕立てなの?
と気になってはいたのですが、さすがに他家(?)のお芝居まで
猿★征して観る余裕もなく・・・・
今回、演舞場という事でやっと拝見!!

「復活通し狂言+スーパー歌舞伎+俳優祭」リミックス、
というのが観終わっての印象。

登場人物に想い入れしてストーリーを追うという
ドラマ的感動の部分がないので
(↑ある種の歌舞伎的ではある。ご趣向だけの芝居。)
では、それ以外の視覚的エンターティメント性は?というと
すでに出尽くし感のある、既視感のある場面構成でした。
斬新さを狙った(であろう)部分も、歌舞伎の部分も。

でも、パロディ的な場面のはめ込みも、
歌舞伎的手法ではありますけどね。

(スーパー歌舞伎も手法としては、リピートはしている。
場面構成とドラマの盛り上がりの組み合わせで、
新作のたび、斬新さを出していくようにはしていましたが。)

しかし、俳優祭な部分が一番客席が盛り上がったというのは
どうなのかしらん←歌舞伎の入れ事としては
微妙なライン…?ありでしょう~とも言えなくもないけど。
(どうしても菊五郎さんが、ああいうノリの拵えされると
俳優祭のイメージが甦ってしまい…
ガングロインパクトありすぎでした←いつの話やねん>自分)

結構序幕も、宙乗りも含め見せ場はあるのに、
イマイチ、客席があったまらない感じ。
二幕幕開け、團蔵さん、場内温度上げましたね―!!

宙乗りは蝦蟇が割れて鷲←カワイイ、に乗っての飛翔。
一階席の人が正面からの姿が見えないからと、
舞台上にスクリーンを出し飛翔する児雷也の姿を映していたのは、
いいような悪いような・・・←試みとしては親切ですが。
やっぱり、みんなが振り返って、頭上で実際飛んでいる演者を眺める、
という方が一体感があって良くない?たとえ後姿を眺めようとも・・・
鳥屋に入るギリギリまで、一階席の人は後姿を見送り
三階席は「お出迎え」する(笑)という。

で、勿体無いな~と思ったのが、鳥屋に入るかなり手前で
吊られている菊之助さんに当てる照明が消えてしまったこと。
私は、三階のかなり宙乗りが見やすい席を今回取って頂いたのですが、
いよいよ近づいてくる!というところでスポットがなくなってしまい…

大詰めの「火の粉」が見せ場なのも、既に
「アクロバティックな演技」にも「火幕」「リボン(?)」
にも慣らされてしまっている(笑)私には、
演出としてはインパクトなかったけれど、
音楽は、とってもカッコ良かったです!!
そうそう、宙乗りの時の太鼓も!!ライブの音はやはり良い
出囃子?と言っていいのでしょうか。
「火粉四天」が演技する後ろに劇団音楽部の方々が並び生演奏
児雷也に単独で絡む場面の殺陣の方二名も、
スピーディで切れ味のある魅せるものでした。

音楽と言えば、二幕でスプリング@フォーシーズンズやボレロも流れるのですが
これが違和感なく結構面白かった。
(ペルシャ絨毯がポイントか?>違和感ナシ。
ホントのペルシャかウルムチあたりで織ったものか?と
余計な邪念を抱きつつ思わず双眼鏡で文様確認。国産っぽい・爆)

十二夜同様、菊之助さんの満開の時分の花を目撃する、
ということでは観る甲斐のあるお芝居です。
女形(巫女の拵え)も含め、どの衣装も似合って素敵でした。
幕切れに菊之助さんと並ぶ亀ちゃんも綺麗でしたよ~。
(澤瀉ファン的にはどうしても蛞蝓というと、
「なめくじ」@浮世風呂を思い出してしまうのはサガ?らしく、
幕間ロビーでも、そんな声を聞きました。)

追伸:蝦蟇と蛞蝓さんの役作り(?)は努力賞ものです。
(蝦蟇ジャンプと、蛞蝓のヌルヌル動きに注目
 ↑敏捷性のなさが、逆に、こういう蛙いそう!とリアリティが。
 ワタシ的には結構ツボでした。後ろ足に注目~)
スーパー歌舞伎の楽にもよくあるのですが、こういう被り物の皆さん
千秋楽のカーテンコールでは被り物脱いで、お姿を現すのでしょうか?

追伸2:小ネタ一発目が、7月の鑑賞教室と同じだ~

【追記】
筋書きに菊五郎さんの、若手の役者さんの(演出上の)意見も
採用した、却下したものの方が多いけれど…というようなコメントが
載っていました。子役が谷に落とされる場面で、おっLK!?と
ふと、思ってしまったのですが(背景が動くことで落ちるさまを見せる)
ちゃんの意見かしらん(笑)

◆公演詳細は新橋演舞場のサイトで、ご確認下さい。CMもアリ。

チケットぴあ宙乗りの画像が見られます。

イープラス菊之助さんのメッセージが視聴出来ます。
インタビュー記事も掲載されていますが、
20年前に、30年前に猿之助さんがおっしゃり、具現化されていたことが、
一世代超えて、継承されていってるんだなぁ~とシミジミ。
異端だ、あれは歌舞伎じゃない、と揶揄されていたことが
普通に拍手をもって、チャレンジと受け入れられる時代に。

先月の、国立劇場、私は未見だったのですが、観劇した友人から
「筋書の松緑さんのコメントが面白かった」とメールを貰いました。
「宙乗り否定の家系だったので、祖父や父が枕元に出てこないか、
それだけが心配です。」という内容だったとか

今となってはかないわないけれど、何故、否定だったのか
お伺いしてみたい、なんて思ってしまいました。

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