ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
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スーパー喜劇狸御殿【松竹座公演】3

2005-11-30 23:34:51 | その他の演劇
ベースは、ホームドラマの典型でもありますよね。
妻に先立たれた父親と、母を亡くした年頃の娘。それに絡む人々。
家臣や乳母であったりするけれど、これがテレビドラマなら、
親戚の叔父叔母とか店の従業員たち(笑)といったところ?

数多のお見合い話が舞い込むが、なかなかウンと云わない娘。
けれども、ある日ひと目惚れで恋が始まる。
でも、周囲には、それは受け入れられない、“身分”!?違いの恋・・・
誰もが娘の幸せを願ってはいるけれど、それぞれの描く「幸福の形」が
微妙にズレて噛み合わず、というのは、フツーの家庭にも起こりえること。

狸界の設定だけど、お殿様=平九郎も、限りなくリアリティのある父親像で
厳しく・甘く、娘に対する愛情や引け目も存分に描き出されており
愛人作っても(笑)、好感度大。

お家乗っ取りや、敵役が出ない分、人間界の相馬家より
なんだか、きぬた姫のお家の方がアットホームな感じがする。
きぬたの部屋かわいい~。マリーアントワネットのベッドルームみたい。
(いや、実際のベルサイユ宮殿のレプリカとは異なりますが。
でも、壁紙とか、隙のないああいうチマチマ模様なのです。)
十六夜の肖像画は、さながらマリアテレジアか!?(笑)
天蓋付きだったら、更に雰囲気なんだけど~。
ウサギのぬいぐるみ見て、真っ先に「猿之助さんの干支だ~!!」と
反応してしまったのだけど、きぬた姫に投げ飛ばされてます(やめて~
(ウサギちゃんの逆立ちは固定ネタです

ここでの平九郎や、家老の分福茶釜(慶四郎さん!!)とのやりとりが
奇を衒ったものでなはなく、ギャクもメチャクチャベタなのですが、
(分福に対する形容詞?修飾語?は日々アドリブの模様~)
「喜劇」の部分を含みつつ、
ちゃんと本当は「アットホーム」なファミリーであることや、
きぬたが何不自由ない生活を送ってはいるけれど、
なにかしら寂しさや満たされぬ想いも抱えていることが、
す~っと観るものの心に入ってきて、同調してしまう。

娘らしい驕慢さも持ち合わせていますが、
それさえも当然のこと、と許されてしまうような。

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