紘一郎雑記帳

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【明治維新は経済事件だ!】 第6部 童門冬二氏講演会・歴史に学ぶ

2010-12-19 05:55:42 | Weblog
童門冬二氏講演会・歴史に学ぶ、より「第6部」

童門冬二氏「作家」
1927年東京生まれ 東京都庁にて広報室長・政策室長
1979年退職 以後 執筆活動に専念
歴史を題材に数々の話題作を発表 芥川賞 勲三等瑞宝章
著書「将の器・参謀の器」「龍馬と弥太郎」など多数

尚、童門先生のお話とその日に戴きました、童門先生著書
「日本史のツボ」を参照させて戴き投稿致します、

【明治維新は経済事件だ!】

少し明治維新について話してみよう。

私は明治維新は政治事件であると共に
経済事件というもう一つの考えをしています。

それは「地方経済」の問題であります。
「徳川政権」では「約270」あった藩、大名家は、すべて
「10割自治」でありましたので、主権はかなりの部分が
地方に任されておりました。

それぞれの藩が、独立した地方自治体として
独特の地方行政、経済活動を行っていたのです。

ところが徳川家康が「朱子学」を取り入れたため
「士農工商」の身分制が出来、商人を社会的に一番下方に置き
「商活動」を軽んじたため「経済的矛盾」が起きました。

「10割自治」という事は「地域経済」を「自己完結的」に
その場所で行うので、その藩の中で出来る製品に「付加価値」を
つけて市場価格を決め、高めて商売を行う、つまり
藩(大名)は現在でいえば「商事会社」の役割となったのです。

ところが「社員」である「藩士」の大部分が誇り高く、
「商売」に真剣ではなく努力をしないのです。

自社製品(藩の産物)の売り買いには、貨幣が動き
利益が出るのですが、「武士は食わねど高楊枝」の
気持ちが強く、手を出さないのです。

すると、当然、矛盾が起きて、その矛盾が積もり積もって
爆発したのが「明治維新」の大きな要素でもあります。

もう少し細かく分析すると、「10割自治」を強いられた
各藩は、苦しい台所事情と貨幣経済の進行の中で
藩内だけでは通用する藩札を大量に発行した為に
藩札の信用度が落ちるのです。

本来なら正貨一両と藩札一両を一対一で交換すべきなのに
藩は手持ちの正貨の50倍・100倍も藩札を発行するので
藩札の信用がどんどん落ちていき、正貨一両に対して
藩札十両が必要になり、やがて五十両・百両と増えてくるのです。

つまり、五十両・百両分の藩札を集めても、正貨一両の
経済効果しかなく、今でいう「不良債権」であり
これが「返済」しきれなくなり、どの「藩」も大きな
累積赤字を生んで、借金に追われてにっちもさっちも
行かなくなっていたのです。

乱発した「藩札」が「不良債権化」することによって
各藩の財務状況はさらに苦しくなっていきました。

破滅的なところさえ出てきて、今で言えば「不良債権」によって
「自己破産」する地方自治体の様なものでした。

「西郷隆盛」の「西南戦争」はその中で起きたのです。

続きは「第7部」にて投稿致します。