『秀吉の枷』下まで読み終えた。秀吉は九州征伐を終え帰還するが、この作戦中にたくらんでいた子づくりは失敗に終わり、豊臣を存続させるために天皇の子を養子にすべく画策する。うまくいきそうになったところで、茶々の懐妊が判明し、この縁組は中止される。以後、秀吉の終焉まで豊臣の存続を願う秀吉の懊悩、子種がないはずの秀吉の子を再度懐妊する淀の方となった茶々、権力の座に就いたものの苦悩をこれでもかこれでもかと描き出していく。そして、最後の場面で秀吉が謀略で焼き殺した信長が登場する悪夢にうなされる。加藤廣という作家の作り出した面白い歴史ミステリーであった。