山クジラの田舎暮らし

岩手県北の田舎に生息する「山クジラ」です。定年後の田舎暮らしや趣味の山行きのことなど、発信していきます。

『伊香保殺人事件』=内田康夫著

2013-01-11 07:11:39 | 読書

 吉村達也の『伊香保温泉殺人事件』を読んで、以前読んだことのある内田康夫の『伊香保殺人事件』が無性に読みたくなった。9日、久慈市での会合の際訪れたレンタルCD屋の古本コーナーで1冊105円で『伊香保殺人事件』があったので購入し、一気に読んでしまった。もうかなり前に読んだものだから、ストーリーもほとんど忘れてしまっていて、改めて面白く読むことができた。題名の通り、舞台は伊香保温泉である。事件は吾妻町の寺で火事があり、焼け跡から焼死体が発見されたことに端を発する。一方、浅見家のお手伝いさんの須美子が実家のある新潟からの帰りに、榛名山に向かう北側の道を登っている途中で溝にはまり、警察に引っ張られ殺人事件の容疑者扱いされたことから、内田作品の主役をつとめる浅見光彦が登場するという段取りである。事件は、政治家への不正献金と踊りの1流派をめぐる後継者争いが絡み合い、伊香保温泉とかかわりの深い竹下夢二の「遺児」が登場し、意外な結末を迎えるのだ。内田康夫が得意の「旅情ミステリー」なのだが、わが故郷の温泉をうまく舞台に使い、特有の激しい政治風土の上州の出来事として書かれている。この作品は「EQ」1990年5月号に掲載されたとあるから、かなり初期の作品だと思う。本は「カッパノベルズ」で1990年9月初版、1993年の第18刷の本であった。

 ところで、竹下夢二記念館について。私は、妻と子供をともなって1990年代のはじめに里帰りした際、榛名山神社などを訪れ竹下夢二記念館にも立ち寄ったことがある。竹下夢二の描くどこかはかなげな女性像は、なかなか魅力的だったのを思いだす。記念館の庭園で写した写真を翌年の年賀状に使ったものである。