中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

愛憎

2012-08-30 17:58:27 | クァルテット
「彼は何らの犠牲的行為もすることができない」
「彼は自分が受けた恩を誰にも返さない」

 ・・・誰のことでしょう?こんな風に噂されてたら怖いですよね。要するに「人のために、何かをしてあげる」ことが無い人間だ、ということですから。きっと悪いやつなんでしょうね。わがままなんでしょうね。ものすごく自己中なんでしょうね。

 さあ、正解は・・・

 そう、ドビュッシーです。貧乏なドビュッシーのために、一生懸命細かい仕事(作曲以外)を紹介した人たちの言葉でした。お金が必要なくせに、気が向かない仕事はとことんいい加減にやるドビュッシーの事を言っているわけです。困った人だったんですね。

 
 しかし・・・多かれ少なかれ、天才というものはそんな部分があるはずです。というより、そういう所を持っていないと良い仕事が遺せない。「自分が創り出さずにはいられないもの」と、「とりあえずお金になるもの」「義理としてやっておくべきもの」とのギャップに悩まない芸術家はいないでしょう。特に、全く新しい道を切り拓いていくほどの才能を持っていればなおさらです。

 許しましょう。そのおかげで、後の私たちは彼の素晴らしい音楽にふれることができるのですから。


 ところで先ほど、9月1日の山形Q庄内定期に向けた最後の練習が終わりました。やはりドビュッシーに多くの時間を割きました。さすが、自分の芸術の為には他人を全く気遣わないドビュッシー。つくづくプレイヤーに容赦のない音楽です。

 しかし良い曲だから仕方がない。恨み言を言いつつもドビュッシーを援助し続けたいろいろな人たちの気持ちが、ちょっとわかります。


 さて、仕上がりの方は・・・これから今日の録音をチェックすることにします。ので、練習日誌はまた明日。

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