中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

映画「MISHIMA」

2011-11-01 07:33:13 | 映画・ドラマ
 観てからすでに時間が経ってしまいましたが、「MISHIMA」のDVDについての感想を少し。次回の山形Q定期で取り上げる、フィリップ・グラスの「弦楽四重奏曲第3番(Mishima)」は、この映画の為に書かれた作品なので、気合いを入れて観ました。お茶の間向けではないので、もちろん夜、子供たちが寝静まってから。

 まず驚いたのは、制作にはコッポラやスピルバーグが関わっていて、単なるB級映画とは全く違うということ。そして日米合作となっていますが、出てくる俳優たちの豪華さに驚きました。三島由紀夫役には緒方拳、その他の脇役に、板東八十助、佐藤浩市、沢田研二、三上博史、勝野洋、永島敏行、加藤治子・・・などなど、とにかく凄い。

 ストーリーは、三島由紀夫が自決する日の流れを、回想を交えつつ事実通りに描いたものがベースで、その合間に「金閣寺」「鏡子の家」「豊饒の海〈奔馬〉」の3作品のイメージが挿入されています。自決に至った三島の心裡が、この3作品に最もよく表れているという解釈なのでしょう。

 
 観ての率直な感想は・・・ずいぶん真面目に作ったもんだなあ、と。日本では公開されていない映画なので、制作の意図とか、そういうことは詳しくわからないのですが、とにかく「三島由紀夫」のドキュメンタリーを残したかった、それもできるだけ正確に克明に、という印象を受けます。伝えられている有名なエピソードを元にした、自決の日の再現VTRのよう。そのぶん、3作品のイメージは自由で、挿し絵のような効果を出しています。

 三島文学のファンの私にとっては、もちろん好感が持てますし、貴重な作品だと思いますが、そうでない人にはどうかな・・・。とりあえず海外の文化人が、日本人以上に、三島由紀夫に高い関心を持っていたことがわかりました。その「死にざま」への興味だけでなく、生い立ちなどの背景や、作品についても真面目に研究してくれたのなら、うれしく思います。


 それにしても、みんな若い・・・。とくに沢田研二などには、あまりの懐かしさに目眩がするほど。昭和の車や人や街の雰囲気も。

 言葉はすべて日本語で、英語の字幕が入っているのも面白かった。


 おっと・・・肝心の、グラスの音楽にふれる前に、すっかり長くなってしまいました。ということで、続きはまた。
コメント (2)
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