日の照れば雪山のいよいよ白し<o:p></o:p>
尿するそこら草の芽だらけ<o:p></o:p>
こんなに蕎麦がうまい浅間のふもとにゐる<o:p></o:p>
浅間山朝からあざやかな雲雀の唄です<o:p></o:p>
こゝで休むとする道の分かれるところ (追分)<o:p></o:p>
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五月八日<o:p></o:p>
山国の高原を山頭火かるさん姿で行きます。しかし日暮れて、おまけに泊めてくれるところに出会わず、今までの贅沢を償う気持で野宿を覚悟します。とぼとぼと行けば伊豆で同宿となったルンペン氏に出会い、それではと二人で峠の中腹の百姓家に無理を言って泊めてもらいます。まるで日本昔話の導入部のようです。二人の有金持物、米一升金五十銭を差し出します。そして言うことがいいです。「旅烏はのんきであるがみじめでもある。」<o:p></o:p>
五月九日 日本晴。<o:p></o:p>
明けきらないうちに起き出し、雪をいただく山並みの美しさに目を瞠ります。早々と出立、石ころの道を歩けば清里駅。ここらの駅は日本の最高地にある停車場と薀蓄を傾け、熊が汽車を見物にきたという話を披露してくれます。<o:p></o:p>
落葉松林の信濃路は野辺山風景が気に入り、やがて小梅駅。汽車は千曲川に沿い、やがて岩<st1:MSNCTYST w:st="on" AddressList="04:村田町;" Address="村田町">村田町</st1:MSNCTYST>は江畔老の無相庵の客となります。<o:p></o:p>
家中で待っていてくださり感激も一入、浅間の姿にも、「おゝ浅間! 初めて観るが懐かしい姿」と涙ぐみます。<o:p></o:p>
五月十日<o:p></o:p>
夜来の雨も上がり空の色が身にしみ、雪の浅間の噴煙ものどかと平和な山頭火であります。「山国の春は何もかまいつしよにやつて来て、とても忙しい、人も自然も。手打蕎麦、いわゆる信州蕎麦の浅間蕎麦、その味は何ともいへない、一茶がおらがそばと自慢したゞけはある。」<o:p></o:p>
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逢つて何よりお蕎麦のうまさは<o:p></o:p>