うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その213

2009-03-03 18:29:01 | 日記

ここで確認しておきます。春陽堂の山頭火文庫全12巻のうち日記分は八冊ですが、あっという間に今回から六冊目に入ります。通算10巻でありまして、この巻には巻頭、女優、樹木希林さんが「天からの派遣者」と題しまして一文を寄せられております。<o:p></o:p>

山頭火の人間味に触れ、且つ迫ったと申しますか、優れたエッセーでありますので抄録してみます。<o:p></o:p>

<o:p> </o:p>

大きな蝶を殺したり真夜中<o:p></o:p>

 気味悪さ、可笑しさ、虚しさが入りまじって山頭火の顔つきや息づかいが聞こえてきます。こういう山頭火、私はとても好きです。<o:p></o:p>

  天われを殺さずして詩を作らしむ<o:p></o:p>

  われ生きて詩を作らむ<o:p></o:p>

  われみづからの まことなる詩を<o:p></o:p>

 歩くことが行ずること、と歩き、歩くなかからこぼれる言葉が詩となりました。<o:p></o:p>

  しぐぐるや 死なないでゐる<o:p></o:p>

 今日も生きて、生かされて、しまった。死ぬることは生まれることよりもむずかしい……生を明らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり……と明らかなる生死のために、ひたすら歩き、ひたすら発露し、森羅万象、蓄身、蓄虫、鳥、魚、草木一切の諸精霊に向けて懺悔しつづけました。そして<o:p></o:p>

  やつぱり一人がよろしい雑草<o:p></o:p>

  やつぱり一人じやさみしい枯草<o:p></o:p>

である山頭火は、誰でも持つ「どうしようもなさ」を言の葉にしてコロリ往生しました。<o:p></o:p>

 『夜半、一時二時に、寝入っている私を幾晩となく揺り起こしては、「流浪はいけない、流浪は止めなさい、流浪はもう私一人で沢山、私をもって最後としたい」と泣かんばかり申され、』これは山頭火の後を追って同じように流浪していた木村無相氏の「山頭火に思う」の中に出てくる挿話です。    (小生にはこれは山頭火の魂の叫びに聞こえます。)<o:p></o:p>