うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 アベックと中古車

2007-11-03 05:09:29 | 身辺雑記

信号待ちしながら格差を考えていました<o:p></o:p>

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 朝から曇天、午飯を終わった頃には今にも降り出しそうでしたが、降ってもたいした降りにはならないだろうと判断して図書館に行きました。自転車で20分ぐらい掛かりますが、幹線道路の信号を二箇所渡ります。横断歩道の信号待ちは長く、それは呆れるぐらい長いのです。いらいらしますがなるたけ神経を苛立たせないようにと自戒します。事故の元になります。<o:p></o:p>

 さて図書館の帰りの最初の信号待ちのところに、中古車の販売会社があり道路端に大小色とりどりの車が、価額をフロントガラスに貼られた紙に書かれて並んでいます。しかしいつも人が寄ってるのを見たことはありません。それが今日はアベックが一台の車の周りを歩きながら見ていました。赤い小型車で35万円と書かれていますが、そこに並んでいる車の値段は30万から80万位までです。値段表にはその外諸々の経費が書かれていて5万円程度上乗せになるようです。<o:p></o:p>

 車を点検しているアベックは二十五六でしょうか、恋人同士か新婚ほやほやの夫婦かは定かではありませんが、彼が何かと説明し彼女が納得したように頷きます。あたしの自転車を停めた位置からは会話の内容は聞き取れませんが、二人はどうやらその赤い小型車が気に入った様子でした。<o:p></o:p>

 あたしの脳裏には自分の若い頃の時代といったものが、二人とは対照的に浮んできました。当時結婚を決めた若い男女は住まいを確保するのが第一歩でした。新居は四畳半一間が大半で、時には台所トイレは共同といったところもありました。それでも新婚の二人にとっては狭いながらも楽しい我が家というわけです。ですからマイカーなんて夢のまた夢の時代でした。現代ではどうでしょう、大方の恋人同士は洒落たマンションで結婚生活に入り、或いは一戸建て庭付きといった住宅に住むカップルもいるわけです。そしてガレージにはピカピカのマイカーが鎮座しています。まあ内情はローンを組んだりで、容易でないこともありましょうが、とにかく恵まれた時代でもあるわけです。しかしそんな幸せから弾き出されて、非情な格差に甘んじなければならぬ男女もいるのです。そんな事を考えながら目の前のカップルにあらためて目を向けました。年恰好から見てピカピカの新車が欲しい年代です。それが路傍に雨ざらしで並ぶ35万円の中古車に嬉々として手を添え、彼は彼女になにかと説明し、彼女は彼の説明を頼もしげに聞き入り、にこやかに笑っています。あたしは二人の慎まし気な態度にほのぼのとした気分になりました。おそらく二人は勤め先に恵まれず、小さな会社で共に稼いで、小さなアパートで小さな幸せに胸を膨らましているのでしょう。貧しいながらもたまの休日にマイカーを駆ってドライブに行こうと、寝物語に語ったのでしょう、きっとそうです。<o:p></o:p>

世間には鉄皮面で我欲に走る者が輩出しています。それに引きかえなんと清々しさを感じる若者なのでしょう。赤から青に変る信号が涙で霞んできました。