観測にまつわる問題

政策中心の政治ブログ。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」を考察予定。

恒久財としての住宅、持ち家VS賃貸論争

2024-09-14 09:44:29 | 国土交通・防災
>日本建築板金協会・天野会長が激励に来てくださいました(石破茂 X)

やっぱり企業団体献金は残すべきだと思うんですよね。不透明な献金は問題ですが、専門家の話を聞くことは極めて重要です。建築とは建物を建てること。建設は建築+土木。石破さんは賃貸住宅対策議員連盟の会長かつ防災に知見があり、建築の観点から支持されているようです。

年間100万人減の時代が来る。少子高齢化は国家の存亡に関わる大問題(ちんたい住宅議連会長・石破茂「国・自治体はこれまでの住宅政策から転換する時」ハピすむ)

>日本の住宅政策、最大の問題は「住まい」を価値の低い耐久消費財だと捉えていること

どんどん建て替えて経済を活性化しよう等と発展途上国みたいなことをしているのは日本だけ。20〜30年で資産価値がゼロになるから、中古住宅市場が出来ません。これでは災害に強い住宅をつくるインセンティブもないでしょう。勢い、地盤が悪い地域の住宅が大地震で軒並み倒れたりします。これは全く不経済な話なんです。

ただ国民年金+賃貸でやっていけますか?とは思います。賃貸住まいがフリーランスなんかやっちゃ危ないんですね。

住宅が恒久財として確立して、中古住宅市場が形成されれば、老後を生まれ育ったところ(地方)で過ごそうという人も出てくるとも思います。

持ち家VS賃貸論争、データを見れば結論は出ている(日経ビジネス 2021.2.28)

ローンを組んで住居を買わず、そのお金で株に投資しつつ家賃を払おうとするのも不味いです。持ち家とは「自分を顧客とした最も確実性の高い賃貸事業」であり、生産性が高いからです。

同じ意味(生産性を落としている)で「会社の経費で高級賃貸に住んでいる富裕層」も不味いです。勿論、頻繁な引っ越しをする人とか賃貸にも意味はあると思いますが、不労所得でマージンを取る層が遊んでいたところで、経済は活性化しないと考えます。転勤慣行は大地主支配の発想。

転勤慣行は女性活躍も妨げます。事実上夫の転勤が、キャリアの分断か、不経済で家族の絆を弱くする単身赴任の二択になるんですね。転勤支度金が非課税になるケースがあるようですが、転勤を税金で支援するような制度は廃止するべきではないでしょうか。また終身雇用制度を崩すことで、地元での転職を可能にし、転勤拒否できるように環境を整えることも重要だと考えます。女性活躍は労働人口の増加に絡んで、先進国における経済発展に密接に絡む重要課題です。

農業と所得、食料安全保障

2024-09-14 08:39:20 | 農林水産
石破茂衆議院議員に聞く(1)「農業所得と自給率に国費を」【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】(JAcom)

>「生産調整をやめる」と言い、かなり抜本的な農政改革に手を着けましたが、民主党政権になって頓挫しました。
>「こんなことを言っているからだめなんだ。米価は下がるのだからその分、直接所得補償でいいんだ」
・・・なるほどですね。さすが理にかなっていると思います。

農家の皆さんは全力で農業に勤しめばいいと思うんです。ただ米は目立ちますが、米だけを特別扱いする必要はないような気はします。自由にやれば、農家の皆さんが自分で調べて需要に合せた農業をするのであり、そうであるべきです。畜産と併せて認定農家に一律の給付をするのが経済的だと私は考えます。

石破茂衆議院議員に聞く(2)「農協はもっと政治運動を」【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】(JAcom)

>民主党が戸別所得補償を出した時にさんざん罵倒したのは私たち
・・・あれは社会主義です。足りない分を補償するという発想ではなく、自民党は一律で(畜産含む)農家に給付して、農家の意志を尊重するのが経済的です。漁業は獲り過ぎが問題なので、また別のスキームが必要。

追記:【世界比較】各国と日本の農業保護の度合いを比べてみた|jd🇳🇵農業

日本の農業所得に占める公的補助(PSE)の割合(%) (2021)は欧米と比べて高いようです。土地が狭いんだから当たり前でしょうが、民主党勢が思いっきりデマを流しているようです。そもそも「所得補償」も欧米のパクリなのに専売特許のように喧伝していて辟易しますが、まぁ連中は事情を知らない選挙民を騙せれば、それでいいと考えているのだと思います。

所得補償と言うと、生産量に関わらず一定の所得を保証する政策の印象ですが、(民主党がパクった)アメリカの「所得補償」とは、目標価格と市場価格の差を支払う(補償する)制度のようで、生産量が多いほど儲かるようにはなっているようです。

私が主張した一律の給付ですが、アメリカでは農家に対する直接固定支払い制度として実施された時期があったようです(何故止めたかは不明)(米国の農業政策 農林水産省)。日本でも水田活用の所得補償交付金においては、戦略作物助成・二毛作助成・耕畜連携助成でそれぞれ一定の金額の交付が行われています(1 農業者戸別所得補償制度 - 農林水産省)。そう考えると、農家に対する直接固定支払いをしないのは、保守的な農家が革新的な農業に意外と挑戦しないからなのかもしません(日本では米粉用米、飼料用米の交付金は高く、農水省的にはお勧めのようです)。また日本では畑作物の所得補償交付金を行っています。これは恐らく米がダブついている(需要の減少に供給の減少が追い付かない)からで、一種の減反政策だと思います。私等は農家に任せれば、米の価格低下を受けて転作が進むのではないかと思うのですが、高い米価を主張してきた農家の方はそう簡単に転作しないのだと農水省は見切っているのかもしれません。しかし米の需要は減少してきたのでしょうか。

なぜ食べない!コメの消費が減り続ける真因(東洋経済)

どうも食の多様化が進んだ理由は複合的なようで、若者ほど米離れしているようです。そうだとすると、政府が原因を分析して新品種を開発する等しないと、流されるままに日本文化は衰退してしまうのかもしれません。ただ米粉の利用(米麺)だと日本文化を守っていると言えるかは微妙でしょう。パンが嫌で麺を食べて文化が守られたと言えるでしょうか。米を炊くのが手間なら、レトルトパックご飯が競争力がある可能性はあります。ご飯につきものの味噌汁で言えば、即席みそ汁市場が市場拡大しているようです。つまり日本文化への一定の愛着はあって、レトルトパックご飯も売れており、消費者の時短志向を上手く取り込むことが農業政策に必要なようです。パンが好きでも家でパンをつくる人はそんなにいるとは思えません。時短と言えば、農水省は防衛省と協力してレーションを共同開発してみるのも面白いかもしれません。戦闘用食料で悠長に炊飯は出来ないはずです。その技術が民間に広まることも有り得るでしょう。

また食料安全保障の観点で重要なのはカロリーのある作物をつくることです。幾ら農家が儲かっても花ばかりつくったのでは食料安全保障になりません。そう考えると農家に対する直接固定支払い制度が不味いのは、例えば儲かる花(や野菜等)をつくることを誘導してしまうからなのでしょうか。カロリーの無い食物・農作物が儲かるのは、需要に対してギリギリの供給が狙えるからです。不作だったら食べなければいいんですね。主食の場合は不作だから飢饉では困りますから、余裕のある生産の必要があり、従って常に供給過剰で価格が低水準になります。だから政府が保証しないといけない訳ですが、ほどほどに供給過剰である必要はあります。ですから、日本のカロリーベース自給率がいいか、生産額ベースの自給率がいいかの論争がありますが、生産額ベースの自給率は食料安全保障の観点からは妥当ではないとなるでしょう。いざという時、カロリーの無いものを食べても腹は含まれんせんからね。ただし自給自足の観点でエネルギーの輸入が途絶えたらどうするという問題があります。

エネルギーの自給と言えば、電動化でしょう。農業にもその波はあるようです。ただし課題もあって、充電時間と稼働時間の問題で、FCVも選択肢のようです。また一種の太陽光発電でバイオディーゼルも面白く、農地不足の観点から、ユーグレナに可能性があるようです。また未利用資源や廃棄物の利用の可能性も考えられます。

農家の所得の問題に戻ると、カロリーと自給と文化・環境・人手不足等の観点から補助金を出すのが最適解かもしれません。つまりカロリーのある作物に限って、農家に対する直接固定支払い制度の検討をするのがシンプルのように思います(カロリーの無い作物は適切な価格まで自然に上がります)(減反をやらなくても需要が減る予測があったら、農家の方は調整できると信じます)。海外作物との競争は関税があるでしょう。自給に関しては、農業機械に関する補助金が考えられます。文化面は稲作・ご飯に関する補助金が有り得るでしょう。地域によっては、田園風景と観光などと組み合わせた戦略も有り得ます。環境負荷の観点で補助金があっても良く、人手不足にロボット等で対応するべきなのは、カロリー供給を目標にした農業は儲からないからです。農業って多面的ですね。

現状での低所得者向け政策、解雇規制について

2024-09-14 00:29:50 | 経済財政
小泉氏、首相就任なら「直ちに物価対策」 低所得者に給付(日経 2024年9月12日)

現状で物価高対策で給付は悪手です。インフレ目標を達成しているからです(8月で2.8%)。ただ補正予算頼みでGDPを維持しており、景気対策としての給付は選択肢ではあり、低所得者は消費性向が高いんですが、デフレ脱却に向けて補正予算を止めていく(恒久的な給付を目指す)必要があろうかと思います。ただ低所得だから給付する恒久的な制度はなく(やったら働かなくなる)、ベーシックインカムは様々な問題があって、私は望ましいと思いません。ならば減税ですが、その中では消費税減税が一番効果があって、インボイスをやったのだから軽減税率下げはあると思います。

無論、インフレ目標は達成しているのですから、ガソリン補助金とかを止める前提で、あまり期待しない方がいいとは思います(消費税減税を煽る勢力がいて、それだけ世論人気があるんですが、減収に注意する必要はあります)。それより出産子育ての負担を前提に少子化対策で給付は打ちたいところです。物価の問題は常態化した補正を止めてもいい。人口減は労働人口の増加でも対処できますが限界も。

減税や給付は財源の問題がありますが、国債でいい。国債も立派な歳入であって、現状で未達になっておらず、財政に問題はありません。歴史的な円安(日米の金利差拡大で更なる円安)が問題でしたが、それも終わり、アメリカの利下げが待っています。インフレで増収する見込みもあります。

国債発行高が多過ぎるので、金利が上がると問題ではないかという指摘もあります。ただ国債を日銀が買い入れすると金利は下がります。また景気が良くなると税収増で財政に問題は生じません。問題はインフレの進行にありますが、補正予算カットの手法があって、賃金上昇が上回れば、問題になりません。

少子化対策で給付なのは、景気対策としての効果(少ない国債発行で大きな効果)と少子化対策としての効果(子供をつくらなくなっているのは税金をあまり払っていない低所得者)が高いからです。消費税の軽減税率下げを言うのも、低所得者向けの政策です。インボイスと軽減税率は密接に結びつきます。

大企業ほど「賃上げ余力」あり? もうけから人件費、昨年度最低水準(朝日 2024年9月11日)

労働分配率ですが、大企業は過去最低の水準です。これは人手余りを示していると思います。だからJR西日本が週休三日制を打ち出した訳で、少子化対策の意味でもワークライフバランスは重要です。人手余りは給与を上昇させません。ただし若者は争奪戦で初任給は上がってます。

一方中小企業は労働分配率が高く人手不足業界に中小企業が多いのでしょう。重要なのは価格転嫁ですが、価格転嫁して黒字になることが求められます。価格転嫁して顧客が減り赤字が拡大したら本末転倒です。つまり畳むことも選択肢です。ただし日本の人口当たりの中小企業数は多くないようです(労働分配率も高く、引き続き支援することに必ずしも反対しませんが、新陳代謝が高まること(生産性の低い企業の倒産が増えて、起業が増えること)は重要かもしれません)。

労働分配率の高い中小企業で人手不足に対応するには、一つには(岸田政権で力を入れた)価格転嫁です。下請けの場合は大企業の儲けを削ってでもやらないといけません(親会社が子会社を合併するのも選択肢です)。

もう一つは労働分配の中身を考えるべきです。縮小できる間接部門は縮小し、縮小できない(求人で応募が来ない)直接部門にリソースを割くのです。また無駄な経費の削減を進めて(政府は促して)、人手不足部門に流すのです。

最低賃金「1500円」時代は来るか、企業・働き手への影響は?(日経)

最低賃金を上げることに賛成ではありますが、中小企業の労働分配率は限界です。黒字になる価格転嫁や生産性上げ、無駄な経費の削減等は必須と言えるでしょう。野党がバンバン上げろと叫んでいるのは無視でOKです。

「非正規雇用公務員の実態は不透明」首都圏106自治体に情報公開請求 多くが「人事情報」不存在(弁護士ドットコムニュース2024年09月11日)

公務員の給与は概して高過ぎます(民間に人が奪われている中央のキャリアや定員が充足されない自衛隊は兎も角)。賃金上げの流れですが、非正規の待遇改善がまず先決だと考えます。同一労働同一賃金。

製造業「正社員より派遣」、UTなど技能育成 5年で5割増(日経 2024年9月12日)

派遣が買い叩かれては意味がありません。同一労働同一賃金の原則(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の不合理な待遇の禁止)に則り、保険・賞与・退職金で正社員との格差がないようにすれば、賃金の下方硬直性は守られ(労働分配率の低い大企業が幾ら儲けを増やしても経済は好循環しません)、経済の正常な発展が期待できるはずです。

総裁選で争点となる、解雇規制緩和の議論(yahooニュース 9/9(月) 18:45)

大企業は人余りです。人余り企業が解雇規制緩和を利用すれば、百害あって一利無しになるでしょう。人が余っているなら早期退職を募集するのです。これが実質的な金銭補償による人員整理です。あるいはそれと同等の金銭補償による解雇は検討されていいでしょう。

中小企業は人手不足も少なくないです。つまり解雇の心配は少ないはずですが、実際にはバンバン行われています。人手不足ではないのか?サービス残業(賃下げ)で対応しているのです。またそれが人手不足を呼びます(景気も悪くします)。つまり金銭補償を含めて解雇を難しくした方が良い。

優秀な人の引き抜き・転職を通じて(アメリカのように)賃金を上げていくには、解雇を簡単にするのではなく、終身雇用有利の制度を廃止するべきであって、具体的には退職金の優遇税制を廃止するべきです(代わりに給与を上げれば良い)(現役世代の給与上げは高齢化社会の負担を和らげます。退職金をガッポリ貰うことが高齢者への富の偏在を産み(寿命が分からないので適切に使えず)景気を悪くしています)。間違った政策の断行は有害でしかありません。

住宅ローンを払い終わっていたら、退職金など大した意味もありません。老後の生活を安定させるには、ローンを払い終わった住居と年金・終身医療保険があれば十分であって、そのように制度設計するべきです(どの年齢でも病気で生活保護に転落する可能性があって、生活保護は医療費無料であり、国民医療費を圧迫します。年金受給者でも医療費控除を受けることが出来ますが、極力医療は医療保険で対応するべきであって、いざとなれば生活保護でいいやでは困ります)。

解雇の金銭補償ですが、現状はタダで解雇しているので、早期退職的な運用で労働者の保護に繋げるのはアリと思います。また自己都合退職と会社都合退職を同じ扱いにすることもアリでしょう。ペナルティは懲戒解雇につければ良く、懲戒解雇の適用のハードルを上げることです((普段見逃している)勤務中の携帯程度は疑問)。

高い?低い?年齢別の平均給与額【最新・2022年版】(All About マネー)

定年との絡みで60歳以前に給与のピークを迎えます。これに対して年金受給開始年齢は65歳です。再雇用が無ければ、この間の生活費を退職金で補っている可能性がありますが、退職金を給与にシフトするなら、60歳~65歳の生活費を考える必要があります。

つまり定年延長ですが、大企業の人手余りを加速させると思われ、年功賃金の抑制が重要です。また再雇用でもゼロよりマシなはずです。人手不足企業では、体力が続くのであれば(同一労働が出来るのであれば)、現役で良いと考えられます。

年金受給開始年齢になったら、人手余り企業は無理する必要はありません。素直に引退してもらいましょう。高給の経営者に年金を払って働いてもらう必要もありません。新陳代謝も重要です。人手不足企業にとっては低給の労働者の働く意欲も重要かもしれません。