観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

国際テロ対策と日本の役割(1)

2017-12-24 13:23:57 | 政策関連メモ
新自衛隊論(講談社現代新書 2015年)を買ったのですが、パラパラ見ていて宮坂直史防衛大学校教授の「国際テロ対策と日本の役割」が気になったので、記事にします。

>テロ組織というのは、和平交渉をしておとなしくなるかと思うと、必ずそこから分派していって、「平和はイヤだ、戦いたいんだ」という少数派が出てくるという特徴があります。古今東西そうですし、日本のテロ組織も同じで、たとえば赤軍派なども、現在の既定の路線ではダメだと言うグループが現れ、どんどん分かれていって、少数派になり、過激になっていきました。(133p)

>過去40年間に約650のテロ団体がありました。それらがどうやって終焉を迎えたかという個別の事例研究があります。データを集めた統計的研究もあります。(133p~134p)

赤軍派(共産主義者同盟赤軍派(ウィキペディア)>国際根拠地論に基づきパレスチナに向った重信房子のグループは当初赤軍派アラブ委員会(アラブ赤軍)を称し、パレスチナ解放人民戦線(PFLP)と合流して活動を開始し、一連のハイジャックなど、「P作戦」の国際的展開とでも言うべき活動を行い、「日本赤軍」として独立する)には、パレスチナ解放人民戦線(ウィキペディア)(PFLP)(>1967年に設立されたパレスチナの政党・武装組織。パレスチナ解放機構(PLO)に参加している。>ジョージ・ハバシュによって設立され、マルクス・レーニン主義を掲げ、パレスチナ解放を目標とする。通常、ファタハなどと比較して「急進派」と呼ばれる。エル・アル航空426便ハイジャック事件や同時ハイジャック事件が有名で、アメリカ合衆国やEU、カナダ、イスラエルの各国政府は、テロ組織に指定している)と合流したグループがあって、最近トランプ大統領が昔に決まっていて長年延期されてきたアメリカ大使館のエルサレム移転の法執行を行って、日英仏独なども反対はしましたけれども、反発するパレスチナ側にも欧州も認めるテロ組織はいて、遠くはなれた日本のテロ組織も全く無関係ではなかったという歴史もあります。

ともあれ、ここで取り上げたいのは北朝鮮です。テロを行う組織というのは、通常国家ではありませんが、北朝鮮は拉致問題を始め数々のテロを決行してきたテロ国家であることは周知の事実です(トランプ政権の北朝鮮テロ支援国家再指定はアジアの安全保障政策を考える上で重要な実績だと考えられます)。先日世界の記憶を調べていて気付いたのですが、韓国放送公社の特別生放送番組『離散家族を探す』も世界の記憶に登録されているようです。離散家族(ウィキペディア)の問題と拉致問題を混同することには批判もあるようですが、北朝鮮に拉致された韓国人はやはり存在しているようです(>代表的な事件としては大韓航空機YS-11ハイジャック事件がある。この事件の被害者のうち、11名の乗員・乗客は北朝鮮に抑留されたまま韓国に帰ってくることがなく、客室乗務員のうちの一名が2001年の第3回離散家族再会で母親と再会した。また、1987年に黄海で操業中に北朝鮮側に拉致された漁船トンジン号の乗組員も、第2回、第8回、第9回、第12回、第13回の離散家族再会で韓国側家族と再会をした。2006年6月の第14回離散家族再会では、1978年8月に拉致された韓国人で、日本人拉致被害者の元夫である人物が母と姉に再会したことが話題となった)。>北朝鮮側は国軍捕虜と拉致被害による離散家族問題の発生を現在も否定しており、あくまで本人の自由意志や事故で北朝鮮へ渡ったものと主張している・・・ようで、太陽政策を進めている現在の韓国政府はこうした拉致問題に関して消極的な印象がありますが(文大統領は拉致問題解決に強い意欲を持っている安倍首相とこの問題を話し合うことが望まれます)、それはさておき、北朝鮮のことは世界でも中々類をみないテロ国家であると認識せねばならないと思います。偽札然りですが、兎に角やることがならずものです(当然国連で全会一致で制裁されることになります)。

ゆえにテロ組織の巨大版が北朝鮮と考えるならば、テロ組織に関する研究結果を北朝鮮に対する見方に応用できるかもしれません。すなわち、和平交渉(北朝鮮の意志に関わらず、国際社会は核放棄交渉だと決めていると考えられます)を吞むかどうか「戦いたいんだ」となる少数派が出てくるか否かです。確かに今現在の北朝鮮は核開発で全会一致しているように見えます。ですが、国際社会も北朝鮮の核開発反対で全会一致しています。ですから、北朝鮮に対してはドンドン経済制裁が進むしかありません(某大国や某大国が抵抗しているのも明らかですが、それは時間稼ぎに過ぎず、結局制裁に賛成しています)。苦しくなってくれば、和平した方がいいのではないかと考える勢力が出てくるのは避けられません。そういう時に北朝鮮があくまで「ならば戦う」で全滅・消滅するか、結局核放棄するか最終的に二つに一つの結論にならざるを得ません。狂ったテロ組織なら、「ならば戦う」も否定できませんが、軍事的にテロ組織を壊滅に追い込んだのは前述の本によると7%に過ぎません。まぁ幾ら狂っている組織でも死よりは大体生を選びます。だから「ならば戦う」派は少数派になる訳です。北朝鮮は恐らく韓国の親北政権親北世論及び中国・ロシアのアシストで同情的国際的世論が起こることを期待して、粘っているのだと考えられます。北朝鮮人は南朝鮮人のこと、中国・ロシアのことは良く分かっているのかもしれませんが、日本やアメリカ・国際社会のことが全く分かっていないと考えられます。繰り返される全会一致の制裁を見て何も思わないのですから異常に鈍感ですが、韓国人(特に親北勢力)は自身を守る日米国際社会(国連軍もいます)に気がついていないように見え、鈍感ぶりは決して負けていません。半島人は世界は半島だけでできていないということに気付くべきでしょう。兎も角、日米韓が一致団結して中露を含む国際社会を説得していけば、遅かれ早かれ北朝鮮は93%の確率で平和を選択するのではないかと筆者は思います。このままだと経済制裁が強まっていずれは北朝鮮は壊滅に向かいます。北朝鮮があくまで粘るのは第三の道があると希望を持っているからなのであって、その原因は大体韓国親北政権勢力にあると筆者は見ています。文大統領はもう一度良く考えてみるべきでしょう。日本に言いたいことはあるでしょうが、そうではありません。韓国という国が何処の国と休戦状態で何処の国が首都を人質にとって拉致などテロを繰り返しているかという現在の問題に関するプライオリティが最も高いということに気付くべきなんです。韓国大統領は今生きている韓国人に対して責任を持っています。歴史問題も重要でしょうが、過去の亡霊を重要視し過ぎて今の問題を見失うようでは本末転倒と言わざるを得ません。中国が歴史で韓国に近づくのは、韓国の弱点を熟知しているからなのでしょう。韓国人は今一度北朝鮮を軍事的に支援して分断をつくったのは何処の国か、大本営であり司令塔は何処の国だったかを思い出さねばなりません。敵の大本営と協力してロケット造ってワーイとか言ってる場合じゃないんですよ?(冷戦が解消して浮かれたのは世界中何処もそんな感じだったでしょうが)

>国連のテロ対策に関係する各委員会からは、各国の対策進展状況にチェックがはいります。輸出入の管理、出入国管理、大量破壊兵器の規制等々、どれだけ法整備したか、実際にどれだけできたかというレポートを国連に出すのです。そうすると委員会が分析して、「全くしてない」とか「部分的にはやっている」とか「完全に履行している」などと評価し、できていない国を指導するのです。(137p)

>対策の中身としては、テロ資金規制が重視されています。日本が行っている対策のなかでは、テロ資金規制が一番の脆弱な点だということは、テロ対策に詳しい人ならば誰でも知っています。(138p)

テロ等準備罪が組織犯罪対策でテロ資金対策になると筆者は思いますが(日本の自称まっとうな人達が猛反対しましたが、国際的な批判は特に見られず寧ろ擁護する声が大きかったのも事実です)、2015年の時のこの評価が今どうなっているか筆者は分かりません。まだまだなすべきことがあるなら、北朝鮮問題という国難にあたって、ドンドン遅まきでも進めるべきですが、その辺は専門家の方々の意見を待ちたいと思います。

>インフラの施設防護という対策もあります。~原発を50基以上も持っていながら、内部脅威対策をまったくやっていないのも日本だけです。(138p~139p)

原発の安全対策と言えば、ハードや避難計画が注目されますが、日本人があまり意識できず盲点になっている対策があります。プライバシーに対する意識が高いのか何なのか良く分かりませんが(あるいは地元で顔見知りが働くならそれほど必要でないのかもしれませんが)、兎に角大事なことですから、チェックが必要なら身元調査し、問題ないなら国際的に説明しておく必要があると思います。原発から持ち出されると困るものは多くあるでしょう。そういうところだと認識しておくことが大切だと思います。ちょっと原発に関する最近の社説を見て違和感を感じたので(やはり重要なことでも盲点になっていることは取り上げられないんでしょう)、指摘した次第です。

サイバー軍の大規模な拡充が急務

2017-12-24 12:42:55 | 政策関連メモ
新たな危機にも目配りする防衛体制に(日経社説 2017/12/24)

>サイバー攻撃に備える防衛隊の要員を110人から150人に増やすが、米国防総省のサイバー要員は数千人ともいわれる。高層大気圏で核爆発を起こして相手国のインフラを破壊する電磁パルス(EMP)攻撃などへの備えは、研究段階にとどまった。

>共通するのは、陸海空いずれの自衛隊にとっても主業務でない課題への感度が鈍いことだ。

アメリカサイバー軍(ウィキペディア)の現司令官は陸軍大将のようです。規模に相応しい格があるのでしょう。北朝鮮はサイバー部隊を相当強化しているようです。これまで事件もありましたし、北朝鮮の鉄砲玉的・冒険主義的な動きからして、相当警戒と対策が必要だと思われます。ミサイルが封じられたらサイバー攻撃に移ることが想定されますし、(自業自得ですが)経済制裁が強化されていますから、(これまで口だけで行動が伴っていなかったものの)何らかの行動に移る可能性もあります。強化方法ですが、枠を取りあえず大きくつくって人と予算をつけることが考えられるのではないでしょうか?素人考えですが、重要性の高い分野では人と予算さえあれば専門家がある程度自律的に充実していくような気がします。本来は保守的な軍隊(殲滅戦理論(ウィキペディア)>ヨーロッパの長い平和な時代に兵器の開発競争がなされ、攻撃側の有利性を損なう軍事技術の開発を促した。機関銃や長距離砲の発明がそれである。これによって防御側に圧倒的な有利性が生み出され、第一次世界大戦の悲劇的な引き分け状態を招くことになった。こうして近代戦争の主要な戦術理論である殲滅戦理論の長い支配を終わらせたのが、第一次世界大戦の西部戦線における塹壕戦である。1939年、ヨーロッパが再び戦争に突入することになると、ドイツ陸軍のハインツ・グデーリアンを中心とする一派は殲滅戦理論の失敗をよく理解し、代わりとなる具体的なアイデアを持っていた。しかし彼らは実際の戦争の前に保守的な官僚的な怠慢と戦わねばならなかった。彼らは守旧派との戦いに勝利して、現在電撃戦として知られている戦術論に進化させた)が比較的興味が薄いような分野は政治の枠組みで対策を促していくべきなのでしょうが、如何せん空想平和主義的な9条すらどうすることもできなかった日本では対策の遅れも止むを得ないところなんでしょう。今からでもやらないよりはマシなので、シッカリ対応していく必要があると思います。まさかとは思いますが、窮鼠猫を噛むで北朝鮮が新しい技術で新しい攻撃を仕掛けて来るかもしれません。北朝鮮は国連で全会一致で制裁されてはいますが、必ずしも全くの独りではありません。技術開発において、大国ロシアや中国の影があることも指摘されます。ICBMの急な開発はおかしいのではないかとも言われますよね。核大国同士では戦争できないということで、東西冷戦期は代理戦争が中心でした。北朝鮮のテロに警戒して警戒し過ぎることはありません。大きな事件を起こさないための投資です。

筆者のfacebook投稿を加筆して再録。

# 沖縄県は相当のワル

2017-12-24 09:18:58 | 政策関連メモ
<社説>沖縄予算減額 辺野古反対の意趣返しだ(琉球新報 2017年12月24日 06:01)

>政府が決定した2018年度沖縄関係予算案は前年度比140億円減の3010億円となった。総額は2年連続、沖縄一括交付金は4年連続で減額となった。総額は13年に安倍晋三首相が21年度までの3千億円台確保を表明して以降、最少額となった。

>米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、仲井真弘多知事(当時)が埋め立てを承認した翌14年度の3501億円より491億円の大幅減だ。

>辺野古移設反対を公約に掲げて当選した翁長雄志氏の知事就任後の15年度は前年度より161億円減額された。16年度は前年度比10億円増となったが、17年度は前年度比200億円減となり、18年度はさらに140億円減額となっている。

>こうした翁長県政後の予算額の下降傾向をみると、政府の辺野古移設方針に従わないことへの意趣返しとしか受け取れない。江崎鉄磨沖縄担当相は「知事選とこうした予算は切り離して、しっかり国も対応している。(基地問題と)リンクさせるべきではない」と関連を否定した。

>しかし菅義偉官房長官は昨年8月の会見で、辺野古工事と予算について「工事が進まなければ予算が少なくなるのは当然ではないか」と述べている。県市長会長の古謝景春南城市長も翁長県政と政府が基地問題で対立していることについて「影響があると疑わざるを得ないだろう」と述べている。政府が基地問題とリンクさせて減額しており、極めて不当であり、悪質だと言わざるを得ない。

「予算減額」に関して指摘すると、多分話は逆で普天間移設などの理由(協力に対する事実上の見返り)で増額していたのが一向に事業が進まないので減らしたのではないかと考えられます。負担の軽減に見返りがあるというのも変な話ではありますが、実際問題地元の同意を得て事業を進めたとは言え、沖縄県や名護市は揉めに揉めたのは明らかでギリギリでしたし、基地が無くなると基地に依存していた人が困るという側面もあります。もんじゅの閉鎖で福井県知事は反発しましたし(もんじゅ廃炉、福井県知事が容認へ きょう表明 朝日 2017年6月7日02時00分 >西川知事は地元に対して十分な説明がないまま決定されたとして反発、これまで廃炉を容認しない姿勢を示していた。5月20日には松野博一文部科学相が福井県庁を訪れた際、廃炉作業に政府が強くかかわる方針を説明。一方、西川知事は放射性廃棄物を県外に搬出することや地域振興策について協議の場を設けることなどを求めていた)、必ずしも県の方々が安全性だけを考えて発言している訳ではないんだろうと思います。まぁぶっちゃけ収入も大事ですからね。背に腹は変えられません。沖縄県も別に分かってない訳ではなかったでしょうが、沖縄県がブレたのは、鳩山さんが悪いと筆者は思います。

>そもそも沖縄県が予算面で国から厚遇されているわけではない。国から県への財政移転(国庫支出金と地方交付税)は15年度決算ベースで約7456億円で、東日本大震災の復興予算が多く投入された岩手、宮城、福島の3県を除いて全国12位だ。人口1人当たりの金額は52万円で、全国1位の島根県の77%にすぎない。基地による厚遇予算を受けているとの風説は事実に反する。

これは沖縄県の公式サイトの主張と同じで国庫死守近と地方交付税を合算した主張になっています。沖縄タイムスも2016年12月24日 09:30「社説[沖縄予算減額]一括交付金の検証急げ」で同様の主張をしています。筆者は地方財政に詳しいものでは全くなく、「国から県への財政移転」でgoogle検索し2番目に出てきた「沖縄は国から過度に大きな経済支援を受けていない」説を検証する(マスメディア報道のメソドロジー 2017-02-13)というページを参考に自分なりに考察を進めただけですが、以下こうした沖縄県の主張に反論しておきます。当たり前ですが、基地があることで厚遇はしていたんですよね。勿論基地が結果的に集中していることも認知していてその分ピッタリ厚遇してきたと考えられます。

地方交付税と国庫支出金を混同すべきではないようです。地方交付税は団体間の財源の不均衡を調整するため交付しているお金であって(参照:総務省 地方財源の状況 >地方交付税は、地方公共団体間の財源の不均衡を調整し、どの地域においても一定の行政サービスを提供できるよう財源を保障するための地方の固有財源である)、地方税の不足分を補う性格があるがゆえに自由に使えると考えられます。東京は地方交付税はゼロです。地方交付税割合(対歳入決算総額)が最も高い県は高知県で2位が鳥取県です(地方交付税割合(対歳入決算総額)[県財政] の都道府県別ランキング! retu27.com 2017年5月6日)。過疎の地方ほど税収が上がらなくなるので、地方交付税が多く支給されることになるようです。沖縄の地方交付税割合(対歳入決算総額)は16位です。つまり沖縄はそれほどは過疎ではないと考えられます。そう言われてみれば那覇など沖縄の問題は過密です。後で見ますが沖縄は国庫支出金が異常に多いので、地方交付税割合(対歳入決算総額)よりは人口一人あたりの地方交付税で見た方がいいような気はしますが(ランキングの表が見つからなかったので)、傾向は結局同じ(先に紹介した「マスメディア報道のメソドロジー」を確認してください)なのでその辺はご了承ください。地方交付税割合(対歳入決算総額)ですが、お隣の奄美を抱える鹿児島は3位です。全般的に九州は過疎傾向でランキングが高い県が多いですが、沖縄は九州2位の熊本(17位)と同程度です。九州1位は福岡で38位で断トツで都会です。地方交付税は客観指標で算定されており、そこに恣意的な要素が入り込む余地はありません。ですから、国が地方にどの程度援助しているかどうか見るためには国庫支出金を見るしかありません。こうしたことがこれまで指摘されてこなかったのは、地方自治体が自由に使えるお金を求めるがゆえに国に地方交付税を増やすあるいは減らさないことを求めてきたからだと思います(この辺の経緯が分からない人は例えば「地方交付税 知事会」で検索してみてください)。何となく地方交付税が望ましく、国庫支出金が望ましくないイメージがあって、両者は混同されてきたのだと思いますが、地方交付税は団体間の格差是正策ですから、全体で増額するか減額するか(国(総務省)は減額して地方は反発した経緯があるかもしれませんが、逆に麻生財相はヘソクリ貯めてるんじゃないの?と指摘して揉めたことがあります(麻生太郎財務相が全国知事会長らに噛み付いた!地方も怒りが収らない 争いのタネは「貯金」!? 産経ニュース 2017.7.19 14:00)や格差是正機能の強化弱体化(東京は税収があるからですが一切貰っていません。かと言って東京が裕福なのかと言えば、例えばかつて副都心池袋の豊島区はオンボロ庁舎で我慢していました(日本の特別地域4 東京都 豊島区(電子版) - Google ブック検索結果) 155p~157P)。今は立派な庁舎が建っているようですが、東京にも言い分はあるんだと思います。結局裕福は否定できないかもしれませんが、東京が節約して貯めこむなら日本のデフレ傾向は避けられず、税金は国に渡せということになりますが、あまり怒らせるとカタルーニャやイタリアの北部同盟みたいにじゃあ独立するわと言い出しかねません)など一括で議論するべきであって、個別の県が増やしてくれ減らしてくれと陳情する対象ではありません。結局のところ優遇/差別を論じるためには国庫支出金を見る必要があると思います。

沖縄はこの国庫支出金が断トツです(データは先にリンクした「マスメディア報道のメソドロジー」を参照しています)。一人頭で国庫支出金がこんなに出されている県は他に存在しません(福島・岩手・宮城は大震災の影響ですから除きます)。沖縄が27万円。続く島根が19万円です。神奈川は基地のイメージもありますが下から4番目8万円です。こうした説明は国はあまりおおっぴらにしてこなかったろうと思います。多分何処を優遇して何故優遇しているか分かっちゃうからだろうと思います。貰う方にもメンツがあります。まぁ別段隠さなければならない犯罪行為でもありませんし、大体周知の事実で、空気読んでくれという話なのでしょう)。

沖縄の出生率は日本では断トツに高い(合計特殊出生率 の都道府県別ランキング! retu27.com 2017年5月6日)ですが、北海道など例外はあるものの、どうも国庫支出金が多いところの出生率が高い傾向が伺われます。九州・山陰が高く、原発銀座の福井は石川・富山より0.1ポイント高い)。これは作為的に国が仕事を創っていることと無関係ではないのではないかと考えられます。仕事がないと子供をつくることもできません。ジョブジョブジョブです。沖縄に関する具体的な振興策は平成30年度沖縄振興予算案について 内閣府沖縄担当部局を参照してください。まぁ国が仕事を創るというのも社会主義じゃないかという指摘もあるかもしれませんし、それ自体議論の対象かもしれませんが、今回は別の議論になりますから、その辺を深堀して考察することはしません。ただ、卵が先か鶏が先か分かりませんが、日本人は個人も企業もお金を使わない傾向でデフレ脱却が難しく、何となく国が支出して経済を回してきた経緯があります。国民や企業が貯蓄するから国が出しても平気なんですね。国民や企業が使って回した方がいいという意見もあるでしょうが、商品券を配ったり消費喚起策はとられてきたものの、中々上手くいっていません。消費税上げの主張が根強いのも(筆者がかつて賛成し強固に反対しないのも)、消費税を下げたところで、国民はお金を使わないので問題解決にならないのではないかと考えられるからです。日本はバブルもありましたから必ずしも一概には言えないと思いますが、質素や倹約を美徳とする傾向があります。これは多分昔からで、例えば埋納銭が出土してニュースになることがあります。埋めて隠したはいいが(泥棒対策でしょうか?)埋めた人が亡くなったか何かで分からなくなった金が結構見つかるんですね。遊牧民もいませんし、貯めてとられる恐れが少ないとかそんな事情もあるかもしれません。ともあれ、国が強制的に使わせることはできない訳で、デフレ脱却の問題は難しい問題です(筆者もいろいろ考えてはいますが)。

話は戻りますが、沖縄県はこれまで沖縄は優遇されている訳ではないと公式サイトなどで主張してきました。こうしたことに気付いていて主張してきたなら、相当のワルだと言えます。大半の方はこうしたことに気付いていた訳ではなく、何となく沖縄県の主張が正しいように思えて同調してきたのかもしれません。でも一度冷静になってみる必要があるのではないですか?あれだけ一生懸命主張したら取り下げるのは格好悪いかもしれませんし、活動家の方は意地でも自分の主張に固執するでしょうが(それが仕事です)、普通の県民は別に違うものは違うでいいんだろうと思います。正直言うと、マスメディアに変な主張をされると困るなあと思いますが、言論の自由がある国ですから、中々難しいところがあります。スパイ法もないですしね。沖縄県庁も妙な主張をすべきではありません。一度出した主張は取り下げにくいのは分かりますが、ならば目立たないところで総務省などチェックして指導するのもひとつの考え方ではないでしょうか?揉めてしまうと兎に角大変で、ゴネ得は許したくないが、ゴネてる方もメンツもあって引けないということになるんでしょう。

日本は歴史的に激しい水争いがありましたし(5.水争いの激化と大干ばつ【「農」と歴史】 関東農政局)、長らく封建制でやってきて、必ずしも身内で団結して団体交渉するのが不得意ではないところがあると思います。逆に言えば国の機能は明治まで非常に弱かったと考えられます。これは細長く平野が散らばっている地形の問題もあるのだと思います。唐を真似て律令政治を開始しましたが、それはわりと直ぐに有名無実になっています。当時国が公共事業でつくった日本の古代道路(ウィキペディア)は広い幅員を持ち直線的でしたが、これも整備して100年ほどで衰退が始まり結局廃絶しています。別段異民族が入ったり国が途絶えた訳ではありませんが、何となく国の機能はそれほど強くならないまま明治に至ったんだと思います。そういう訳もあって、何となく地方が国に対して戦いを挑んだりする傾向があるんじゃないかと思います。それも良し悪しだと思いますが、兎に角沖縄の問題は揉め過ぎました。個人の権利も守られており、マンションの立ち退きを迫るのが大変とかそんな話もありますよね(それも良し悪しだと思いますが)。

沖縄に特殊事情もあって、今回のケースは特に目立ちますが、全く日本とズレているということでもないんだろうと思います。沖縄県はワルだなぁという思いも無くもないですが、まぁその辺を分かってやってる人というのも一部の人なんでしょう。如何せん日本本土から遠く離れているところもありますし、何らかの形で騙されている人に目を覚ましてもらう活動が必要なのかなと思った次第です。

※以上、筆者のツイッター投稿を加筆・修正した記事。