前回カテゴリー「政治システム」で、政治の混迷を断つ最も良い方法は衆参の役割を見直す(貴族院にしようが、一院制にしようが、混迷を断てるという意味では同じ)ことだと書きました。何故かと言うと、政局に対する期待が大幅に減じるからです。政治家もマスコミも有権者も政策の話題にに集中しやすくなることは明らかでしょう。
それでは、まだある政局に対する期待を誘発するシステム=解散権はどうでしょうか。これを現行ルール上でいじるという話は微妙です。何故か。衆参・諸政党が絡む参議院問題は、利害関係が複雑すぎて運用で解決することは、中々難しいと思います(ましてや参院の権力は過大であるのですから)。しかし、解散権は慣行上首相の専権事項と言えますので、首相の意向次第・慣行次第で簡単に安定します。首相に有利な武器=解散権を参院をどうにかしないで取り上げると、ますます日本の政治は混乱すると言えると思います。という訳で、解散権については参院問題に比べれば重要性は低いと言えるでしょう。党内で選ばれたリーダーに党内で反旗を翻すのは容易ではありません(参議院が参戦するから混乱するわけです)。
所謂ねじれに関して言えば、ねじれが解消しても問題の根本=システム・ルールが残る上、現参院与党の争いを見ても、民主党が衆院選で勝ったところで、今の流れで言えば混乱必至でしょう。民主党自体が外交安保で解決困難な争いを党内に抱えていると見られています。自身で権力を取るまでの団結を呼びかけてもいます(権力を取らなきゃどうとか)。だからねじれという状態自体が問題というより、根本的には参院にまつわる現行システム(参院権力が過大であること)が問題です。
現行ルール上での解散権の行使は、首相が政策を優先させると言っています。選挙は政策に支障のない時期に行うべきだから、これで問題ないはずです。支持率・国民多数の意向は大事ですが、支持率至上はポピュリズムでしかなく、政策をやるために政治はあるという当たり前の前提を忘れています。以前、今すぐ解散という意見が予算審議中でも世論調査でそれなりにあったのを見て、少し驚きました。世論調査で解散は決められないです(冗談ぬきの話で、調査する人は選挙で国民に選ばれているわけではありません)。世論調査至上でなくても、通常政治家は国民多数の意向は汲むものです。選挙に落ちたくはないですから。基本的には選挙というシステムがその辺を担保しているということです。議員は国民に選挙で選ばれたわけで、議員に選ばれたのが首相です。ポピュリズム的な皆さんいらっしゃいましたら、落ち着きましょう。日本人は戦前に一度失敗している(とされている)ことを忘れてはなりません。