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観測にまつわる問題

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防衛省慰霊碑地区と靖国神社考

2019-01-07 05:37:35 | 外交安全保障
防衛省市ヶ谷台メモリアルゾーン(防衛省)

憲法改正に関連して自衛隊の殉職者の慰霊に関して考え検索していたのですが、自衛隊殉職隊員追悼式があって、平成7年の村山総理以来、平成21年に鳩山総理が代理で官房長官を派遣した以外は、毎年総理が出席されているのを確認しました。

平成30年度自衛隊殉職隊員追悼式(防衛省)

村山総理以前は、昭和32年の岸総理、昭和37年の池田総理、昭和63年の竹下総理の3回で、歴代総理大臣の出席状況にない最新の平成30年度も勿論安倍総理は出席されています。場所は防衛省慰霊碑地区(メモリアルゾーン)です。

解説 メモリアルゾーンの整備(防衛省)

>自衛隊殉職者慰霊碑は、殉職した自衛隊員の功績を永久に顕彰(けんしょう)し、深甚なる敬意と哀悼の意を捧げるため62(昭和37)年に建てられ、その後、風化による老朽化が進んだことにより、80(昭和55)年に建て替えられたもので、平成15年度自衛隊殉職隊員追悼式までに殉職隊員(公務死亡認定者)1,737名の氏名などを記した銘板が納められている。この慰霊碑には、歴代防衛庁長官などの防衛庁幹部が離着任する時には欠かさず、また、外国要人が防衛庁を表敬する際にも献花が行われ、殉職隊員に対して敬意と哀悼の意を表している。
>防衛庁本庁庁舎の市ヶ谷移転に伴い、98(平成10)年、自衛隊員殉職者慰霊碑などを「メモリアルゾーン」として整理したが、地積が狭く儀仗隊を伴った式典などの実施が困難などの問題があり、平成14年度から同地区の整備を開始した。昨年8月の完了の後、同年9月11日には、森前総理、瓦・虎島元防衛庁長官などの出席の下、「メモリアルゾーン」整備完了に伴う披露行事が行われた。
>「メモリアルゾーン」は、市ヶ谷台ツアーでも見学コースになっており、多くの見学者が訪れている。

池田総理が追悼式に出席した昭和37年に慰霊碑が建てられ、外国要人が防衛庁を表敬する際にも献花されてきたようです。防衛庁本庁庁舎の市ヶ谷移転に伴い平成10年にメモリアルゾーンが整理されたそうですが、平成14年度から整備が開始されたようです。市ヶ谷移転以前に防衛庁が存在したのが、港区赤坂の檜町駐屯地(ウィキペディア 2019/1/7)です(※檜町駐屯地の沿革ですが、長州藩毛利氏の麻布下屋敷跡が接収されてつくられた麻布駐屯地(明治7年~)が起源で、昭和35年に霞ヶ関から防衛庁本庁が移転(市ヶ谷駐屯地檜町分屯地を設置)、平成12年に市ヶ谷駐屯地に統合・廃止され、現在は東京ミッドタウンが再開発されているようです)。

防衛省・自衛隊:概要・見学コース|市ヶ谷地区見学(市ヶ谷台ツアー)(防衛省)

メモリアルゾーンも見学できるようです。

つまり、戦後の自衛隊の歩み・歴史を考えると、自衛隊の殉職者の慰霊は殉職隊員追悼式と防衛省慰霊碑地区をベースにする以外に考えられないと筆者は思います。

結局、靖国神社との絡みでよくアメリカ合衆国の国立墓地及び戦没者慰霊施設であるアーリントン国立墓地が取りあげられますが、これに当たる施設が日本にあるとすれば、外国要人も献花してきた防衛省慰霊碑地区であり、靖国神社でも千鳥ケ淵戦没者墓苑でもないのでしょう。千鳥ケ淵戦没者墓苑には、日中戦争および太平洋戦争の戦没者の遺骨の内、遺族に引き渡すことができなかった遺骨が安置されています。

さて、ここで靖国神社ですが、靖国公式参拝訴訟(コトバンク)を参照すると、公式参拝は違憲の疑いがあるという大阪高裁の判決が確定しているようです。ただ、戦没者の慰霊施設として公式のものであったのは戦前までで、戦後の公式の施設は防衛省にあることを踏まえると、戦後の公式の慰霊が否定された訳ではないと見ることも出来ます。また実際問題、自衛隊員の慰霊を考えると、神道による慰霊を拒否された時のことを考慮する必要があるのは否定できません。そう考えると、戦後の追悼式や慰霊碑地区での追悼はそうした問題を踏まえて行われてきたのだろうと理解することが出来ます。

ただ、靖国神社は日本の軍人・軍属等を祀り、広く崇敬を集める権威ある神社です。これを総理が参拝できないというのはおかしな話で、私人だ公人だという論争は小手先の誤魔化し、神学論争に過ぎません。総理が総理と記帳しなければOKとかそういう話ではないはずでしょう。所謂戦犯の合祀問題に関して言えば、1953年(昭和28年)の戦争犯罪による受刑者の赦免に関する決議で決着がついているとも言えます。つまり政府の誰であり参拝してよく、どう記帳してもよいと筆者は考えます。しかしながら、靖国神社は戦後の自衛隊の公式慰霊施設ではないことは踏まえねばならず、誤解も広くあるということではないでしょうか。

靖国神社の宗教性は否定できませんが、特定の宗教を滅ぼす必要も無く、現に戦後も認められています。靖国神社という立派な神社を日本人は今後も守っていくべきと筆者は思いますが、公式の慰霊施設は戦後これまでの防衛省・自衛隊の歴史を踏まえるべきで、靖国神社にこれからあえて代替していくことを筆者は考えていません。寧ろ、現状あまり目立っていない防衛省慰霊碑地区や自衛隊殉職隊員追悼式を大切にしていくことが大事だと考えています。

靖国神社は神道の施設であり、神道は皇室との関連も深く日本に根ざした日本の根本とも言える宗教だと思いますが、例えばアメリカにおいてアメリカ合衆国大統領就任式で聖書が使われるように、政教分離を厳格に過ぎるほど守る必要は全くなく、つまり政治(家)と靖国神社を分離する必要は全くありません(政府と靖国神社の結びつきは戦後存在しておらず、その事実は総理の参拝によって揺らぎません)。

神道と政治の関係って、度々例に出しますが、アメリカにおけるキリスト教と政治の関係みたいなもので、アメリカの現副大統領マイク・ペンス氏はキリスト教右派として有名であり、別に隠したり批判されたりするようなことではない訳です。特定アジアや左翼の方々が何を言ってきても関係ありません。靖国神社も例外ではありません。その歴史観に筆者は個人的にやや違和感もあるんですが、それはひとつの神社の見解であり、政府の公式見解でもなく、思想信条の自由は完全に守られます(勿論逆もまた然りです)。

天皇陛下が長く御親拝されていないことに関して言えば、戦後長く靖国神社を巡って争いがありましたから、日本を守る皇室(象徴)として御親拝を避けられたのだろうと推察します。靖国神社や自衛隊を巡る位置づけの問題(憲法9条の問題)が解決したら、何時か御親拝もあるのではないかと筆者は思っています。

また、靖国神社の祭神ですが、祀られることを拒否するしないとかそういう話は有り得ないと考えます。日本人のために祈ると言われて、私は日本人だがおまえは嫌だから除外してほしいのような話が有り得ないと同様です。一宗教の祈りの話に当人や遺族と言えども関与すべきでないと筆者は考えます(ただ、肖像権の侵害とか宗教性以外の視点からの批判は有り得、無論他人を勝手に利用していいうことにはなりません)。これは信教の自由であると共に思想・良心の自由です。

補給とアフガン(刀狩戦争の実現性は)

2018-12-23 13:36:05 | 外交安全保障
Himeji Oshiro Matsuri August09 075.jpg(ウィキメディアコモンズ)(死体リバイバー氏の投稿写真)

アフガニスタンから「米兵数千人引き上げる」 トランプ氏表明(BBCニュース 2018年12月21日)

シリア撤退は実現の方向性であり、公式発表ではなくタイトルは誤解を招きそうですが、アフガニスタンも撤退の可能性が示唆されています。シリアはさておきアフガニスタンは米本土を攻撃されて戦争が始まっており、今後どうなっていくか予断を許さないところがあると思います。

日本は全てを自国で防衛できる体制になく、日米同盟は日本を守る重要なひとつの柱ですが、日本も間接的な支援とは言え、日米同盟・国際協調に基づき、米国・国際社会・アフガニスタン政府を支援してきた実績があって、タリバンやテロ組織と対立する立場にあるのは事実です。そうした観点から、当初よりアフガニスタンの問題には関心がありますが、もっともベストの結論は我々の側が勝つことです。なおかつただ勝てば万歳という訳にもいかず、それに伴う犠牲があまり大きすぎると勝つ意味も無いとも言えます。

次善の策は撤退ですが、撤退したらアフガニスタンはタリバンの領域になるでしょうし、タリバンとの関係も問題ではありますが、タリバンがテロリストをどう扱うかといった難しい問題があると思います。元々米国はソ連のアフガニスタン侵攻絡みでムジャーヒディーンを支援してきました。

細かい事情を把握していませんが、9.11テロが発生して、犯人(アルカーイダ)引渡しをタリバン政権に要求したところ、証拠を引渡しの条件にされ、アメリカが拒否して戦争が始まったという経緯のようです。何故証拠を渡さなかったかと言えば、手の内がテロリストにバレることを警戒したと思えます。アメリカは同盟国(日本)に対しても結構証拠の開示をしぶる国です(例えば安倍首相はオバマ大統領にシリアの化学兵器使用の証拠を求めてスンナリはいかなかったようです)(これがあるいは特定秘密保護法に繋がった可能性があるかもしれません)。

アフガニスタン派兵の是非を今問うのは意味が無いように思いますし、いずれにせよ、戦争をやってしまっており、ノーサイドという訳には中々いかないかもしれませんし、米政権のメンツもあると思います(負けて撤退だとベトナム戦争みたいになりかねません)。

以上を踏まえ、個人的に思うところあって、どういう戦争でどうしたら勝てるのかとか、アフガニスタンにおける我々サイドの立場をどうしたら強化できるか等関心があります。アメリカから見てパキスタンが鍵のようで、トランプ大統領の今年初のツイートはパキスタンでした。

具体的な作戦としては刀狩戦争ができないかなと思っています。古来戦争して城に立て籠もられたら、略奪したり焼き払ったりして物資を窮乏させるのは常道でした。国土が広い国(ソ連・ロシアが代表格ですが)は焦土作戦が得意な印象もあります。物資に対する攻撃は(忘れられがちな)戦争の重要な一形態である訳です。

織田信長のあまり目立たない大きな戦争に紀州攻めがありますが、根来・雑賀の鉄砲を押さえることが重要だったように思えます(だからこそ(強いからこそ)苦戦する訳です)。堺・近江・紀州といった鉄砲の産地を押さえることで、織田政権は天下統一の道筋をつけ、戦国時代が終わりに向かったと思えます。

刀狩(ウィキペディア「刀狩」2018/12/23)は武士以外に武器の所有を禁じる日本の伝統的政策であるようです(アメリカとは真逆の発想だと思いますが、外国ならいいような気がしないでもありません)。武器がなければ歯向かうことも出来ませんし、武士同士の戦争が終われば、国内ファクターでは平和になることは日本の歴史的経験から明らかだと思います(外国に攻められても知りませんが)(現在鎌倉幕府の刀狩が嚆矢とされているようですが、元に攻められ、鎌倉幕府は倒れています)(江戸の太平の終焉も外国ファクターと無縁ではなかったように思います)。刀狩と言いますと刀をイメージしますが(武士の魂とも言える刀を狩るという言葉が武士の武装解除という誤解を生んでいるのかもしれませんが、武士以外の武装解除の政策のようです)、勿論鉄砲(火縄銃)や槍等も対象であり、刀こそ戦争ではあまり使われないのが常識だと思います(飛び道具や長物の方が安全有利ですが、刀は携帯しやすいので平和の時代に特に重宝されたと思えます)。いずれにせよ、武器を潰す発想を生かして戦争を有利にできないかというのがこの記事の趣旨です。

タリバンの補給はどうなっているのでしょうか?(Yahoo知恵袋)

戦争で重要なのは補給でしょう(筆者は挫折していますが、「補給戦」(マーチン・ファン クレフェルト 2006 中公文庫BIBLIO)という名著が知られます)。日本の戦後時代の知恵だと勝てる戦争でも、味方の犠牲を少なくするためにしばしば兵糧攻めを行います。アフガニスタンにおける戦争は対テロ戦争(軍民の区別がつきにくい)という性格を持ち、現状膠着状態で撤退も検討されています。結局、本腰を入れて戦争で片をつけるというのが結構難しいのだと思います。目標が民間に紛れて、占領地でテロを実行したりするからです。ただ、兵糧攻めと言っても、民間人を飢え死にさせる訳にもいきません。道義面での失敗や将来的な関係の悪化、失敗した時のリスクといった問題が大きいからです。ですから、狙いは金と武器を断つということになります。金は麻薬の取引のストップ。麻薬農家は食料でもつくればタリバンも自給でき民間人に被害が出るということもなさそうです。

武器は弾薬が止れば、鉄砲を持っていても意味がありません。ミサイルも輸入できなければ製造できないでしょう。製造工場があれば、戦車や空爆で破壊し、備蓄も同じく圧倒的戦力でブッ潰します(まぁ偽装を見破るのが難しいんでしょうが)。鉱山も押さえて、輸出入が止れば、理論上はタリバンはいずれ継戦できなくなります。継戦できないことが理解できれば、どんな戦士も通常降伏の方向に向かうと考えられます。弾薬にしたって、詳しくありませんが、硫黄と硝石がなければならないはずです。産地を押さえるなり、輸入を止めるなりしたら、タリバンマジックで創り出すという訳にはいきません(備蓄はありますが、戦闘行為で浪費させることもできます)。ミサイルだって、まさかタリバン支配地域で工場が稼動していることはないんだろうと思います。外国から買っているなら、売っている国・組織があり、黙認したり積極的に関与したりする周辺国が必ず存在します。アフガニスタンの主要周辺国は5カ国(印中がかすめます)。タリバン支配地域と接している国に限定すれば、更に対象を絞れるかもしれません。

外交努力が重要でしょうが、何処まで協力的になるか難しいところは確かにあります。ただ、明快なビジョンで具体的措置を実行していけば、ドンドン可能性を消していけるんだろうと思います。明快にテロを支援しているということが明らかになれば、大体その国は威信を失っていくとも考えられます(だから言い訳したり誤魔化したりする)。ですから、大きく目標をたて、小さい目標を達成していくことが重要なんだろうと考えられます。

タリバンが保有する戦車の状況等知りませんが、補給を止めてブッ壊してしまえば、自国で造るなんてことはできそうにもありません。占領すれば見つけ出すことが出来ますから、侵攻すれば隠す選択肢も無さそうです。対空ミサイルを潰せば、空爆し放題です。

タリバンの扱いは難しいというか筆者は考えていませんが、とにかく我々サイドの立場を強化することが決定的に重要だと考えられます。そのためにはまず力で追い込まなければなりません。時間を幾ら稼いでも、何らかの新しい計画をたてない限り、状況は中々好転しそうにもなく、その場合、先送りするかどう撤退するかということになるんだろうと思います(半端な撤退は状況を悪化させることになりかねず、先送りするなら徹底するべきだと思います)。その力というのが対テロ戦争ですから、間接的な戦争=兵糧攻め(金と武器を断つ)になるんじゃないかと思います。立場さえ強化できれば、アフガン政府軍が勢いづくとか周辺諸国・国際社会が協力的になるとか、状況が好転していくんだろうと思います。

後は統治の問題があって、アフガン政府がアフガン人を納得させられるかということになると思います。タリバン政府の方が良かったと思われてはなりません。これは、以前も南北ラインの開通で記事を書きましたが、国境を開いて経済が活発化させる方向性が周辺国の協力も得られますし望ましいんだろうと思います。中央アジアの発展はアメリカに敵対的なロシアの国益でもあるんですが、今は一年前に比べて状況はよくなっているようにも思います(中国の問題が台頭し、日露関係改善の兆しがあります)。中央アジアの資源の搬出路は重要で東西以外にも南北の販路・インド中東を考える必要があると思います。イランは当面どうしようもないかもしれませんが、アフガニスタンの友好国はパキスタンだけというのでは、あまりにシンドイ状況でアフガン人に展望を与えることはできそうにありません。

付記:パキスタン軍、侵攻しないかなという妄想。インドは押さえることできるでしょうし、イランもまさか隙をついて攻めたりはしないでしょう。正規軍がゲリラの類を蹴散らせば話は早いんですが。それはともかく、パキスタンが一番重要視しているのがインドとの対立なのは分かりやすいですが、我々がインドと敵対する訳にもいかないというのが難しいところで、どうパキスタンとの関係を強化していくかというのは今後の課題ではありますね。パキスタンと関係を強化したら、インドが怒り、インドと関係を強化したら、パキスタンが怒るというのではどうしようもありません。

※筆者の本日の関連ツイートをまとめて再編・補強した記事。