いきいきファームはあうんから車で5分の場所にある。240本のブルーベリー(ジャージーとノースランド)の木と10本のラズベリーは、幸いなことに実が沢山実って、今や夏の日差しを待ち望んでいるかのよう。そのブルーベリーの林にはもう一つの世界が広がっている。少し視点を下げると、ブルーベリーの根元には、昨年産み付けられた蟷螂の巣がまだ営巣のままだ。葉の裏にぶら下がっているのは蓑虫で、去年はこんなについていたのだろうか、もしも同じだとすれば気づかないと言うのも変な話だ。およそ20個はついている。そしてもう一つの子育て中は足長蜂の巣だ。まだ小さくて写真では良く見えにくいかもしれないが、ブルーベリーの果実を間近に営巣中である。このほか沢山すんでいるのは、クモたちである。そして雨蛙。小さいながらも大食漢らしい。緑のブルーベリーの葉に、溶け込むかのように自分の皮膚を同化させている。みんな今が子育ての真っ最中なのだ。
遅滞せる吾子三十路にて獲得す愛想笑いはタイミングよし
吾子に似て上空ひらり舞う鳶をチンピラ烏がいじめておるぞ
雨降れば創作三昧パソコンのきしみし身体休ませながら
望郷の垂ら乳根の母きょうもまた短期入所とスケジュール表
願いとは乖離せるかなわが暮らし逃れたくとも呪縛は重く
古布抱きて母のぬくもり安心の汚れいとわず匂い保つを
少年は情動を舞う裸身にてくるくるくると輪舞しつつも
求めても母の姿はそばになく怒りを壁に蹴り上げている
少年の足指母に向けられてやわらかき土は母の乳房か
少年のまさぐってる軟土(つち)その指にやさしき時の遠き母あり
全身を血潮にまみれ風に立つ裸身のきみは孤独をなめて