TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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今期大きく伸びる企業はここ

2013-06-19 20:17:03 | 経営全般

  5月下旬の大暴落以降、乱高下が続く株式市場。その中でも、投資家の間では好業績銘柄を物色する動きは強まっている。企業業績の回復が期待される注目の今期、営業利益が大きく増える会社はどこか。

 先頃発売されたばかりの『会社四季報』夏号のデータを基に、東洋経済オンライン編集部では、全上場会社の中で今期営業利益が10億円以上、自己資本比率20%以上で、なおかつ今期最終黒字と予想される企業について、「増益額」の大きい順にランキングしてみた。増益率では算出不能な、赤字から抜け出す企業、額は大きくても増益率としては小さいため上位に顔を出さない好調な大企業も、ランキングの上位には登場している。

自動車躍進、鉄鋼も回復

 今期利益を大きく増やす業種の筆頭が自動車だ。急回復を見せた前2013年3月期に比べて、今14年3月期はさらに利益を増やし2兆円の営業益が予想されているのがトヨタ自動車。会社計画は1.8兆円の営業益見通しだが、上振れる可能性が高い。輸出採算が改善しているほか、北米や東南アジアでの生産が高水準。為替前提は1ドル=90円。足元93円まで進んだ円高でもなお安心感のある水準だ。ホンダ、日産自動車も大きく伸びてベスト5入りしたほか、富士重工業も11位につけた。

 鉄鋼も急回復が見込まれる。3位に入った新日鉄住金は1年通しては合併後初の決算となるが、この合併分の通期化に加え、1500億円のコスト削減計画や在庫評価損の減少も大きい。業界2位のJFEもベスト10内に入り、存在感を見せた。

 急激な業績の回復に株価が追いついていないケースもあり、PER(株価純資産倍率=株価÷1株純利益)が10倍割れと、一般的に割安とされる水準まできている企業も少なくなかった。

 鉄鋼では、電炉最大手の東京製鉄も浮上する見通しだ。これまで赤字の大きな要因のひとつとなっていた減価償却負担が、前期に田原工場の減損を実施したことで軽くなる点が大きい。薄板の苦戦は続きそうだが、建材の堅調が下支えしそうだ。

 スクウェア・エニックスも黒字化が見込まれる。こちらも赤字だったゲーム筐体の償却負担が減ることが大きい。ソーシャルゲームも本格化してきそうだ。

 規模の大きいところでは、NTT(日本電信電話)。増益率は小さいが、子会社のNTTドコモの伸びが鈍るものの、NTTデータの堅調もあり、利益は上向きそうだ。

 なお、95位に入ったDeNA(ディー・エヌ・エー)の今期PERは5.3倍。モバゲーの好調が続き、営業益が前期の768億円から900億円、来期には1000億円の大台も見込めるところまで伸びており、業績的にはこの割安指標は説明できない。やはり、大株主だったソニー(ソネットエンタテインメント名義)が保有株の売却に動いた影響が続いているといえそうだ。