現在、金属の物性は、形而下の物理特性を調べる研究から、全く逆転して、量子力学の次元での形而上学的な電子のレベルに移行している。形而下の物理特性から、すぐに実用品としての製品化研究へ課題を下降させると、経済合理の次元での異次元での限界にぶち当たる。住宅建材におけるアルミサッシュの成功体験から横滑りに、2匹目の土壌を狙うが、それは、工学研究とは異なる経営の競争戦略の問題で、マイケル・ポーターの理論を基礎に思考しないと解決しない。県内関係者が、水素発電型の電気自動車に車載する水素タンクの開発を期待するが、電気自動車の主戦場である中国において、トヨタ方式の水素発電自動車が市場占有できる保証はない。おそらく技術的には簡単な充電式のバッテリー方式となる。中国では、日産の方式が評価されており、高性能バッテリーの開発こそ主戦場である。その場合、バッテリーの高性能化にアルミがどうからみ、軽量化にも寄与できるかがポイントとなる。世界市場で求められるのは、水素タンクの軽量化ではない。水素を発生させ、自動車に水素を注入する方式は、電力線からの充電よりも社会的な投資コストが掛かる。バッテリー交換式の方が、国家社会の負担は低い。
最近の学術誌をみると、アルミ系の新素材の研究は、元素と電子の運動を計算科学により、まず形而上学的に理論設定する方式が進化し、さらに分子と分子との配列が格子状に整合している金属結晶に対し、捻じれ、歪みという不整合が強度を高めるという理論が注目されている。富山では、アルミ系の工学者の形而下の実用主義の限界をさらに限界に追い詰める思考では、若い先端的な研究者を魅惑することができない。外国からの若い研究者の入門志願者が門前に市がたつほどなることはできない。文部省科研でもD判定、だから地域貢献を掲げても50年前の成功体験しかない。50年先に繋がる形而上の原理から再構築する計算科学にポイントがある。この拠点は、名古屋大学にある。東北大学には過去の栄光しかない。