日本大学AFCが連続して日本一になるには、関学のQBを壊すのが最適の選択である。春のオープン戦から、関学はQBのエースを投入してくるから、ここを負傷させておけば、シーズン前半でQBを軸とする連携プレイの練習が停滞する。そうすると、学生日本一を決める冬の決戦にとり、日大側に有利となる。その場合、疑問なのは、関学のQBは右投げなので、日大のLBは左サイドがパスを阻止するために、相手側のQBを壊す最短距離となる。ところが、問題の選手は、ディフェンスのラインの右端の選手である。この選手は関学がわのオフェンスに前進を阻止され、大恥をかくミスを犯している。問題の日大の選手は、左前に斜めに走り、関学QBを最短距離で狙わなければならないのに、右側に進路をとり、関学QBとの距離が10数メートルも大きく開いてしまった。これは右側の真ん中に突入しないと、相手QBがランプレイを選択したときに突破されてしまう。ここに、日大監督の指示と、当該の学生の理解との間に齟齬があったといえるだろう。いま、問題の宮川選手の記者会見では、守備位置にも関係なく、プレイ中断の時間でも追い回してでもケガをさせろと井上コーチの指導を理解していた、と述べている。
サッカー、ラグビーでは、退場選手のポジションへの補充は許されない。人数が少ないまま戦わなくてはならない。この点、選手は歩兵であるから、指揮官にとり消耗品である。そこにアメフトのルールという制度の原理的な欠陥がある。そこから、監督・コーチが歪んだ指示を出した原因がある。宮川選手は、間違った指示を拒めなかった自己責任を痛感し、退部を選択したという。末端は、使い捨ての世界である。大きな疑問は、内田監督が宮川選手に日本代表メンバーへの推薦を辞退するように強要した件だ。これは、全く理解不能な事件だ。この事件を日本社会の伝統病理だとする議論もあるが、反則退場者の代わりに別の選手を補充できるという制度の欠点を悪用した非道のマネジメントに原因が潜んでいる。