すでにあり得ない成績である。最初、Jリーグ2部の上位・中位からスタートしながら10年で、プロリーグの最下位に沈んだ。それで、急遽、安達新監督の就任となった。TVで就任会見を拝見したが、「魂」という言葉を使われた。またか、という思いだ。このチームは精神論では立ち直れない。精神論で激変するレベルならば苦労は要らない。何が欠けているのか?動態空間の認識力である。つまり、視界が狭すぎる。それは、1対1のボールの奪い合いに勝てる技術がないので、ゾーンでディフェンスする。持ち場を守るという固定された空間しか意識が働かない。これは、育成の仕方や戦術変更により飛躍的に改善されるものではない。同じことを繰り返し、最下位に沈んだ。集めた選手には、自ずと基礎的な能力の基準がある。アマの新庄のチームに天皇杯予選で負けている。そこに選手を補強しても、部分最適となり、チームバランスが最適化しない。日本代表の西野監督は、G大阪を強くする過程で得点力だけに部分最適を図り、失点には目をつぶり、1分間で1点をとる、すると、すぐ1点取られる、こういう戦法から強豪に仕上げていった。広島は、守りにのみ徹し、失点をしないことにのみ評価軸をおいて強豪への道を開いた。最下位だから、勝ちたいという気持ちが常に焦りをうむ。引いて0-0の引き分け第一段階の最高の評価軸におく。相手の軸となる選手には、2対1で守る。・・・というようなサッカー談義は辞めておこう。 問題の根源は、スポーツ・マネジメントの質にある。投下資本に対し、観客を集め収益を上げるには、どれだけ人件費に初期投資できるかである。この面で、後退に後退を重ね、主要なスポンサーの「投資」が衰退すると、どんどん劣化する。バスケも厳しい。野球もダメ。サッカーもアマ以下。これは、背広を着た関係者の背後にいるオーナーたちの問題でもある。 気運を失うことで、地運も失われる。郷土選手の育成という郷土愛は、スポーツ・ビジネス・マネジメントの辞典にはないコードである。