富山マネジメント・アカデミー

富山新聞文化センターで開講、教科書、参考書、講師陣の紹介、講座内容の紹介をいたします。

尖閣周辺の領海と領空の帰属

2018年05月07日 | Weblog

尖閣が中国に帰属するという歴史学の論文を最初に書いたのは、京都大学の教授であった井上清「先生」である。これは、琉球王国が明王朝から清王朝の時代において、尖閣を実行支配しておらず、中国大陸の官庁が尖閣を認識していたという理解である。ところが、この海域を支配していたのは、福建省の媽祖神を祭祀する「福建船団」であった。そのため、中村は「福建人の海」と定義してきた。最近、この福建省の媽祖神を祭祀するトップに「琉球王国」の官員が任命された史実を確認したので、井上清「先生」の論文に付随する中国の学者に一連の研究は、成立しなくなった。媽祖神を祭祀する「福建船団」は、朝鮮半島、長崎など九州、琉球からさらに南のマカオにまで及んでいた。この「琉球王国」と「媽祖を祭祀する福建船団」とは、時には、倭寇化けた。さらには、台湾に割拠した鄭成功を盾にして、清王朝と対抗してきた。この鄭成功の反乱を平定した清朝は、「琉球王国」の官員に媽祖の祭主に任命したのである。だから、「琉球王国」が、台湾とその付属諸島を媽祖を信仰する「福建船団」ともに海上交通圏を実効支配してきたのである。この「琉球王国」は、薩摩藩が植民地化することで、大日本帝国に組み込んでいくことになる。中国政府が、強圧的に尖閣領土を実行しないのは、最初に焚きつけた学術論文の基礎が絶対とは言えなくなったからである。中村のよりどころは、清王朝の官文書である。清朝が台湾を領有化するまえには、「琉球王国」の実効支配が尖閣にも及んでいたとすると、明王朝と「琉球王国」との宗主権ー朝貢権だけの論証では、本来的な中国領土とは言えない。それは、貿易関係の証明に過ぎない。


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中国外交部の「口頭」攻撃が招く、自己制約である。

2018年05月07日 | Weblog

中国の外交部は、「中国で経営する外国企業は、中国の主権と領土保全を遵守し、中国の法律を遵守し,中国人民の民族感情を尊重しなければならない。」と述べた。これは、経済的には外資の呼び込みを促しながら、他方で、水をかける政治主義の外交当局の姿を表現している。領土の解釈は、紛争の争点であるが、中国で経営する企業にまで、中国公民と完全に同様な義務を課していると「口頭」で通告し、紛議を拡大する。他方で、経済発展にブレーキをかけたことを意味している。中国外交部は、外国企業が中国から利益を持ち去る存在だという民族感情を代表している。これは、完全に間違いである。まず、中国人を雇用する、中国政府に納税している、さらに、中国から調達(購買)している。この3点で外資系企業として中国に対し契約義務を履行しているのに、領土・領海の解釈において、外国企業に遵守義務を付加するのは、契約外の強制である。この点を嫌い、日本企業がベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアへの投資を加速するのに対し、中国大陸への投資を制約する絶好の口実を与えたことになる。今、北朝鮮問題において拉致の解決が期待されるので、日本外交は、親北京シフトに転じているが、対中投資は、日本国政府が加速を呼び掛けても、インド、アセアン諸国へシフトする日本企業総体の動きは止められない。中国外交部は、中国人民の民族感情のまま、外国を「口撃」することで、人民の福利厚生を妨げていることを知るべきだ。


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27位、31位、35位で低位置に安住する北陸経済

2018年05月07日 | Weblog
25愛媛 約4兆円
26宮城 約3兆4千億円
27富山 約3兆3千億円
28香川 約3兆円
29和歌山 約2兆9千億円
30熊本 約2兆5千億円
31石川 約2兆5千億円
32山形 約2兆4千億円
33岩手 約2兆2千億円
34山梨 約2兆円
35福井 約2兆円
36長崎 約1兆8千億円

工業生産高では、富山県は、仙台市を擁する宮城と同格であるが、四国の愛媛には及んでいない。これは、経済産業省の公表資料である。新潟、長野には及ばない下位集団に安住している。

 


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婆さんの家産管理型の産業社会の限界

2018年05月07日 | Weblog

富山の弱点は、浄土真宗が培った婆さんたちの家産の管理に原因が求められる。宇治伸さんの浄土真宗の「講」の研究は、他家からヨメとして嫁いできた女性が、台所を預かる主婦権をえて、さらに地域の隠れボスとして、婆さんの家産の管理社会へと展開していく母系の筋読みが抜けている。爺さんがリードする社会だという家父長制の思い込みがある。しかし、日本社会は母系の心性の社会、つまり、ボスキャラはバーチャンというマネージャの存在を抜きにはできない。というのは、家産管理という要にあって、産業社会へ参加するには、家内工業型が基盤となる。この典型が、富山の薬業である。株式市場で他人資本をとりこむ大企業化を阻む。経営できる番頭人材を縁故者で固め、少々はお馬鹿な孫でも社長が務まる家産としての企業には、こうした制約条件が課されているためである。たまたま孫や、入り婿が想定外の高度知識があると、中規模の企業まで成長するが、婆さんの顔色が社是である企業文化は超えることができない。たまたま、婆さんに世界を読み解く知恵があるとしても、孫には余分な苦労をさせたくないと、死闘を繰り広げる戦場には送らない。富山では、強力な武士団がなく、近代スポーツでも殺気だつ選手団は生まれてこない。リスクなき、凡庸な人生を極楽と考える女人浄土真宗の心性は、今も強く生きている。「無理しられんな」と、孫は心性が制約される。少子化で、競争が緩和された地域社会で、静態構造が維持できれば上等だと安穏の極楽を至高とする。金沢の経済同友会も、同じような家産管理型の子孫系の経営者なので、金沢の繁栄も今がピークだと考えてよい。地方公務員も、まさに婆さんの家産管理の手品の道具にされかねない存在といえる。


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富山にはない保有資産1兆円の高分子化学企業

2018年05月07日 | Weblog

日本経済新聞の報道によると、<信越化学工業の保有する現預金などから有利子負債を除いた「ネットキャッシュ」が2018年3月時点で初めて1兆円を突破した。19年3月期は前期より4割多い2500億円を設備投資にあてるが、生み出すキャッシュの方が大きく財布は膨らむ>という。これは、富山の医薬品工業が、総売り上げで1兆円を超えられず、首位へも浮上できない壁にぶつかっていることと対照すれば、事実の重みが分かるだろう。富山の企業が、成長のトレンドから外れたのは、化学の産業化が前時代にとどまっていることと無関係ではない。古い科学知識で間に合うレベルでの化学工業であるからだ。1960年代に、高分子化学の企業にむけ進学・就職した仲間は、ごく少数であった。電機、自動車という世界に属した仲間が理科系では多かった。富山大学でも化学系が主流ではない、県立大学でもそうである。福井大の工学部だけは、化学系が強い。信越化学工業は、福井の大工場をもっている。それだけでなく、多くの化学プラントが集積している。富山の場合は、日産化学、富山化学、三菱ケミカルのほか、高岡にはファインケミカルがあるが、とても化学産業の産業集積体とはいえない。電気分解や電気メッキ、電磁炉のように電力依存の産業は集積しているが、素材系なのでトンあたりの価格の低いものである。この弱点は、石川県にも共通する。1970年代から、富山の製造業の弱点は強く意識されてきたが、目先の自動車産業へ部品供給で食いつないだために、高収益分野への開拓が遅れた。これは、県内の化学の学識者の知識劣位から生じている。素因を手繰れば、旧制富山高校において生物と物理が先行し、化学が遅れ、薬事専門学校に委ねられたために、石油高分子化学へのアクセスが遅れた。新潟は石油産油地であり、福井は京都大学の化学の研究・教育に人材を投下していた。福井の繊維産業の化学化が、石油高分子化学の知識を必要としたからである。繊維産業の高分子化学化が遅れた分、石川、富山には、成長限界が見えてくる。


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中国共産党の「共産党宣言」の読み返し

2018年05月07日 | Weblog

「共産党宣言」のどこにも、習近平の新時代の中国特色社会主義の必然性を権威化する文言的な根拠はない。まして、中国共産党の創立大会でも、「共産党宣言」の漢語訳を土台にした教条的な立党のプロセスの史実もどこにもない。あるのは、党名が「共産党」というわけである。結党の当時、中国では「工人」と呼ばれる労働者階級は、社会的な基盤に乏しく、貧困層は農民のうちの下層であった。文字の文化から疎外された人々だった。だから、単純にプロレタリア独裁論の道に迷いこまないで、中国式の無文字階級を無くし、全民の文盲を克服した。その過程で、いきなりプロレタリア独裁論を根拠に「無産階級文化大革命」を唱えて、伝統中国の文化継承を社会経験の浅い青年層のたきつけて破壊の限りを尽くした。いま、ドイツ人が捨てたマルクスの偶像につき、中国共産党はマルクス生誕200年としてマルクスの故郷に大きな銅像を建てた。つまり、習近平は、党内の教条マルクス主義者に押され、マルクスの旗で自己の社会主義理論の倫理的な根拠をおき、この倫理基準をもって、さらなる党内粛清を強化することを宣言した。これは、階級闘争が歴史を進化させるという学説を再肯定したもので、その論理が自己に向けられる動乱の種を逆に蒔いたことを意味する。このような指導力、つまり原点に返るという精神主義しか思い浮かばないような中国共産党のマネジメントのトップでは、今後の発展は大きく閉ざされる。これが、マルクス生誕200年の記念行事の時期だけのイベントであるならば、これも、イベントへの動員が共産党の基盤強化となるとする官製運動の限界性を意味する。どちらにしても、習近平の背後には高度な理論グループがいないことが判明する。

ここからみて、中国の習近平を債権に例えると、買えるとすれば5年債が最長で、10年債は買えないという市場評価となる。階級闘争肯定論で、資本主義を克服できるとする機械的な歴史観、これは理論トラップである。胡錦涛のほうが遥かに賢い理論家だったといえる。胡錦涛は30年債で買っておいたほうが良い。朱鎔基も優れた理論家だ。習近平は、海外の協力者である華僑・華人が評価しない指導理論のワナにはまった。マルクスへの精神的な回帰を倫理の基準とすると、そのワナは習近平自身に跳ね返ってくる。


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5月6日(日)のつぶやき

2018年05月07日 | Weblog

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