TMA講師代表:経営学では、経済学における「労働」にかんする学説の揺れを克服しきれていない。経営学がまだ経済学に引きずられている。とかく日本では、「労働経済学」の影響が強い。官庁では、厚生労働省という。使用者側と被雇用者との間には、根本的な利害対立があるとして、労働三法という古典的な、19世紀型の労働法制が存続している。
「労働経済学」「労働法」の学説の世界は、異分野からの反論攻勢もなく、理論の牙城は崩れていない。崩れているのは、「労働組合の組織率」である。大部分の勤労者は、「労働組合」に加盟していない。しかも、産業技術的に最先端の産業や、生産性の高い企業ほど、「労組」代表ではなく、従業員代表をもって労働法規に適合させている。法理と実体は、ずれている。それで、法理が守られている。
日本の場合、基本、長期の終身型の雇用、企業内の組合という方式、さらには従業員の株主が多数を占める傾向があり、使用者と被雇用者の境目が弱い。銀行の頭取でも、被雇用者という法的身分に区分される行政項目もある。
歴史研究者からいうと、日本には、欧米の階級社会、宗教差別、人種差別を克服するためのイギリスの労働法制、アメリカのコングレゲーショナリズムが生み出した協同組合主義、社会主義の労働法制と同期する日本のアカデミズムには、大きな問題が隠されていることを知る。実は、憲法問題よりも深刻な「社会主義法制」が隠されている。アメリカ占領軍の民政局は、アメリカのコングレゲーショショナリズムが生み出した組合主義、社会主義の労働法制を持ち込んでいる。根源的な護憲論にコアーである。
富山湾岸社会主義の思想は、大正時代にアメリカの社会主義に影響をうけて成立し、戦後は、占領軍の持ち込んだ労働法により守られている。富山の国家公務員・地方公務員では、人口的には湾岸社会主義の方が多い。
富山県には、自由民主主義の根源の理論は、まだきちんと根付いていない。やむなく東京大学法学部の卒業生などが、代行している。地域政党として、揺るぎない自由民主主義がない。呉羽丘陵の稜線を境にして、東は富山湾岸社会主義=北日本新聞、西は郷党連合の自由民主主義=北国新聞〔富山新聞〕と分化しながら、県民福祉という点で、「富山県郷党」という大連合が形成されている。富山湾岸社会主義が知事選挙、参議院選挙で敗れても、日常では、「郷土愛」という括りで大連合が出来上がる。兼業の農家という土台がなせるわざである。