人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

カルミナ・クァルテット他によるブラームス「弦楽六重奏曲第1番」を聴く~ブルーローズ

2013年06月13日 07時14分10秒 | 日記

13日(木)その2。昨日午後7時から、サントリーホールのブルーローズ(小ホール)で同ホールチェンバーミュージック・ガーデン「室内楽アカデミー・ゲストコンサート」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「三重奏曲変ロ長調”街の歌”」、②ブラームス「弦楽六重奏曲第1番変ロ長調」、③ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番イ長調」。演奏はピアノ=若林顕、弦楽四重奏=カルミナ・クァルテット、サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローです

 

          

 

自席はC3列2番、センターブロック左サイド。会場は9割方埋まっている感じです 客席の後方には今回のチェンバーミュージックガーデンに出演するクァルテット・エクセルシオの女性3人の姿も見受けられます。彼らは桐朋学園大学の出身者なので、後輩の健闘ぶりを見学に来たのでしょう

1曲目のベートーヴェン「三重奏曲変ロ長調」は”街の歌”というサブタイトルがついていますが、第3楽章が当時ウィーンで流行していたヴァイグルの歌劇”海賊”の中の三重唱のテーマによることから名づけられたものです

演奏はヴァイオリン=小形響、チェロ=中実穂、ピアノ=石塚彩子という面々です 小形、中の二人はこの日のマスタークラスでベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第2番」のレッスンを受けた生徒です。小形はイエローの、中は淡いベージュの、石塚はブルーのドレスで登場です 小形、中の二人はマスタークラスの時は横顔しか見ていなかったので、正装した姿で正面から見るとまるで別人のようです 本番の方がずっといいです

演奏はメリハリがあり、表情豊かな表現で印象深く聴きました とくに第2楽章冒頭のチェロ独奏は非常に美しく響きました

2曲目のブラームス「弦楽六重奏曲第1番」はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ各2本という珍しい編成による曲です 演奏はヴァイオリン=エンデルレ、東山加奈子、ヴィオラ=チャンプ二―、高橋梓、チェロ=ゲルナー、鎌田茉莉子というメンバーです 東山はブルーの、高橋は淡いピンクの、鎌田は朱色のドレスで登場です 冒頭から第1ヴァイオリンのエンデルレを中心に濃厚な音楽を作っていきます ブラームス特有のうねるような曲想が展開します。ブラームス好きにはたまらないアンサンブルです 第2楽章は映画音楽としても使われたりした有名な曲です。これを聴いている最中、”自分はひょっとすると物凄い演奏に立ち会っているのかも知れない”と思い、背筋が寒くなりました とにかく濃厚なのです。全員が全力投球なのです。これまで何度かこの曲を生で聴いてきましたが、こんなに迫力のある凄い演奏は初めてです

全員の弓が上がると、会場は圧倒的な拍手で満たされました

休憩後のドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲第2番」は、カルミナ・クァルテットと若林顕のピアノにより演奏されます 3楽章から成りますが、どの楽章もドヴォルザークらしい民族色豊かなメロディーに溢れた曲です。この曲も集中力の高い演奏で、それぞれの楽器の対話やバトルが楽しく聴けました

演奏後、拍手を受ける彼らを見て初めて気が付いたのですが、女性2人の顎の左下に赤いアザが出来ているのです 第1ヴァイオリンのエンデルレを含めて、だれも楽器を顎に当てるときに布を挟まないのです 自分で弾いた音を顎の骨を通して直接耳に伝えようとしているのかも知れません。そのアザは彼女たちにとってアーティストとしての勲章なのだと思います 

この日は「マスタークラス」と「ゲストコンサート」をハシゴして聴いたわけですが、体力的にはしんどかったものの、大変充実した一日を過ごすことができました

 

          

 

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カルミナ・クァルテットの「室内楽公開マスタークラス」を聴く~ベートーヴェン、メンデルスゾーン

2013年06月13日 06時23分28秒 | 日記

13日(木)。昨日午後2時からサントリーホール「ブルーローズ」(小ホール)でカルミナ・クァルテットを講師に迎えた「室内楽公開マスタークラス」を、午後7時から同クァルテットを中心とする「室内楽アカデミー・ゲストコンサート」を聴きました 

実は、サントリーホール・チェンバーミュージックガーデンのチケット(9公演)を発売と同時にネットで予約したのですが、間違ってウィークデーの、しかも「マスタークラス」のチケットを予約してしまったため、休暇を取らざるを得なくなったのです

という訳で、ここでは午後2時からの「マスタークラス」の模様を書きます

全席自由席のため開場時間の1時45分には列に並びました。幸いC3列12番、センターブロック右通路側席を押さえられました 普通のコンサートではなく「公開レッスン」のため聴衆は60人程度です

ホールの係員により講師のカルミナ・クァルテットのメンバーひとりひとりが紹介され会場に入場します通訳の紹介の後、生徒の4人が舞台に登場します。第1ヴァイオリン=小形響、第2ヴァイオリン=福崎雄也、ヴィオラ=福井萌、チェロ=中実穂という面々です 彼らの課題曲はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第2番ト長調」の第1楽章です

 

          

 

講師の4人が最前列中央席にスタンバイして、ベートーヴェンの2番の弦楽四重奏曲が通して演奏されます ひと通り演奏が終わるとチェロのシュテファン・ゲルナーが口火を切って「ベートーヴェンのスコアは聖書のようなものだ」として、演奏者一人一人について「そこはアクセントをつけて」「ビブラートはかけない方が良い」と指示を与えます

次いで、第2ヴァイオリンのスザンヌ・フランクが「もっと、喜びを前面に押し出して」「もっと自由に」「ヴィオラは内気すぎる」と指摘します。結局50分以上、2人を中心に事細かに指示を出して、最後に通して演奏させました とくに弱音で演奏する部分は、最初に演奏した時はただ音が小さかったのですが、講師の指導後は、音は小さいのに確かな主張が認められました 教える側も素晴らしい演奏家ですが、教わる側も吸収が速い優秀な人材揃いなのだと思います。4人の中では桐朋学園大学院を今年修了したヴィオラの福井萌さんの演奏が印象に残っています

休憩後は、生徒が変わり、第1ヴァイオリン=外園萌香、第2ヴァイオリン=北見春菜、ヴィオラ=飯野和英、チェロ=鎌田茉莉子という面々です。講師も第1ヴァイオリンのマティアス・エンデルレ、ヴィオラのウエンディ・チャンプ二―に変わります。課題曲はメンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲第3番ニ長調」の第1楽章です

最初に通して演奏されます。エンデルレが口火を切って「大変素晴らしい演奏でした」として、自らヴァイオリンを持って舞台上に上がり、自らメロディーを弾きながら、生徒に音楽の表現方法を伝えますヴァイオリンの2人を中心に指導しますが、唯一の男性、ヴィオラの飯野君には厳しく「そのパッセージは楽譜を見ているヒマはない。暗譜するぐらいでないとね」と冷たく当たります。それに対して、生徒と同じヴィオラ・パートのチャンプ二―(女性)は「ヴィオラはとても良かったですよ」とカバーしていたので会場が湧きました

チャンプ二―は「内声部はオフィスワーカーのようにつまらないと思いながら弾いてはいけません楽しい、楽しい、と思いながら弾くのですよ。第1ヴァイオリンは、時にソリストのように華やかに 客席の方を見て演奏するくらいがいいのよ」と指導します。そして「音楽を演奏するのに一番大切なことは、音楽だけでなく色々なことに興味を持つことです ダンスの振付、オペラ、オーケストラの楽器の奏法、ジャズ、建築、数学・・・・と幅広く興味と関心を持つことが大切です そして、室内楽を演奏するうえで大切なのは、個々人の個性を発揮することとチームワークを図ることとのバランスを取ることです」と教えます

最後に第1楽章のフィナーレ部分を通して演奏して終了しましたが、最初に演奏した時よりも”表情”が豊かになったように思います 生徒の中で特に印象に残ったのは第2ヴァイオリンの北見春菜さんの演奏です

休憩を含めて2時間15分の「マスタークラス」でしたが、こんなに内容の濃い企画がたったの1,000円とは信じられません 間違えてチケットを買い、休暇まで取って聴いた訳ですが、”怪我の功名”というか”瓢箪から独楽”というか、大正解でした

 

          

 

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