人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

黒澤明監督✕三船敏郎主演「醜聞」「静かなる決闘」を観る~音楽は早坂文雄&伊福部昭~新文芸坐

2018年07月16日 07時48分57秒 | 日記

16日(月・祝)。わが家に来てから今日で1383日目を迎え、大相撲名古屋場所の7日目、好調だった栃ノ心が右足親指の靭帯を痛め 3横綱に次いで休場となったことについて感想を述べるモコタロです

 

     

     この調子で休場が続いたら尾張名古屋場所だけに大相撲が小相撲になり オワリだ

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「醜聞(スキャンダル)」と「静かなる決闘」の2本立てを観ました

「醜聞(スキャンダル)」は黒澤明監督による1950年松竹映画(白黒・105分)です

新進画家の青江一郎(三船敏郎)と人気歌手の西條美也子(山口淑子)は、たまたま同じ宿屋にいたところを写真に撮られ、でっち上げられたラブロマンス記事とともに掲載されてしまう 雑誌は飛ぶように売れ大幅に売り上げを伸ばす。青江は怒り狂い、雑誌社に乗り込んで堀社長(小沢栄)を殴りつけるが、それが話題となり雑誌はますます売れるようになる 青江は怒りが収まらず雑誌社に対し訴訟を起こすことにする。彼は弁護を売り込みにきた冴えない弁護士・蛭田乙吉(志村喬)に弁護を依頼するが、ギャンブル好きなうえ病身の娘を抱えた蛭田は被告の堀に買収されてしまう しかし、最初は訴訟に乗り気でなかった美也子が青江と共同で訴訟を起こすことに同意し、さらに青江と美也子が知り合いになった経緯を知る3人の証人が法廷で原告側に有利な証言を行ったところから二人の立場が好転する しかし、肝心の原告側代理人の蛭田は、被告に買収されているため 積極的に原告側が有利になるように進めようとしない そうこうしているうちに、病身の娘が死亡してしまう これをきっかけに蛭田は態度を一変させ、自ら原告側の証人として法廷に立つ

 

     

 

この映画は、正義感の強い青江を演じる三船敏郎と、美人歌手の美也子を演じる山口淑子の演技が見ものであることは言うまでもありませんが、最も強烈に印象に残るのは、貧乏で意志の弱い冴えない風貌の弁護士・蛭田を演じた志村喬です 早口で自分が如何に頼りになる弁護士かをまくし立てるかと思えば、病身の娘に嘘を見抜かれポロポロと涙を流す気の弱い父親を演じ、そうかと思えば、出版社の社長から金を受け取ればすぐに競輪につぎ込んでしまう意志の弱い男を演じています ここには「七人の侍」における頼りになるリーダー島田官兵衛役の志村喬も、「男はつらいよ~寅次郎恋歌」における博の寡黙な父・諏訪颷一郎役の志村喬もいません。青江が言うところの「悪い人ではなく、弱い人」を見事に演じています。彼にしては珍しいキャラの役柄ではないかと思います

黒澤監督は、この作品でいわゆるイエローペーパー(スキャンダル雑誌)を痛烈に批判していますが、現代の日本にもありますね 売れさえすれば 誰が不幸になろうが知ったこっちゃないというエログロナンセンスなゴシップ雑誌が 作って売る方も売る方なら それを買って読む方も読む方だと思います 高校の時、倫理社会の教諭から習ったのですが「人間の3大関心事=スリーS」は「スポーツ」「セックス」「スキャンダル」だそうですから、この3つのSをテーマにして記事を書けば週刊誌は売れるということなのでしょう

なお、音楽は早坂文雄が担当しています 黒澤作品では「羅生門」「七人の侍」「酔いどれ天使」などの映画音楽を手掛けています

 

         

 

「静かなる決闘」は黒澤明監督による1949年大映映画(白黒・95分)です

軍医の藤崎恭二(三船敏郎)は、前線の野戦病院で次々と運ばれてくる負傷兵を必死に治療していた。彼はふとした不注意から中田上等兵(植村謙二郎)の手術中にメスで小指に傷を作ってしまい、そこから当時は不治の病と言われていた梅毒に感染してしまう 藤崎は誰にも打ち明けることなく、密かにサルバルサンの注射を打ち続けるが大した効果はない 復員後、藤崎は恋人の松本美佐緒(三條美紀)にも病気を隠し続け、次第に彼女を避けるようになる ふとしたことから、藤崎は結果的に自分に梅毒を移した中田に再開し、梅毒が完治していないことを忠告するが、中田は聞き入れず、自分は結婚もし 子どもも生まれると言う 藤崎は中田の妻に検診を受けさせるよう説得する。検診の結果、妻に感染しており生まれてくる子にも感染していることが分かり、その子は死産となる 美佐緒はなぜ藤崎が自分を避けるのか十分には理解できないまま藤崎を諦め別の男と結婚する 藤崎の新たな生活が始まる

 

     

 

三船敏郎はこの映画では絵にかいたような超真面目人間を演じています 何度か手術シーンが映し出されますが、まるで本当に手術をしているように見えます 黒澤監督は小道具から何から詳細にこだわったのだろうと推測します

音楽は「ゴジラ」で有名な伊福部昭が担当しています 彼は東宝作品の映画音楽を数多く手がけていますが、黒澤作品ではこの「静かなる決闘」のみです   この映画では独奏フルートによる哀し気な旋律をはじめ、伊福部昭らしいメロディーが流れていました

 

     

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