人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「ハナミズキ室内合奏団~小川有紀子と仲間たち~」 結成記念演奏会を聴く~モーツアルト「ディヴェルティメントK.138」、メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲」他

2018年05月08日 08時12分56秒 | 日記

8日(火)。わが家に来てから今日で1314日目を迎え、自分専用に買ってもらったハンディ・クリーナーを前に独り言を囁くモコタロです

 

     

      これでおいらのフンを吸い取るわけだね 現金でなくポイントで買ったようだが

 

         

 

昨日、久しぶりにカレーライスを作りました   大食いの息子が地方勤務でいないので、どのくらい作れば良いのか判断が微妙です。そのうち慣れるでしょう

 

     

 

         

 

昨夕、東京文化会館小ホールで「ハナミズキ室内合奏団~小川有紀子と仲間たち~」結成記念演奏会を聴きました 「ハナミズキ室内合奏団」は仙台フィル第2ヴァイオリン副主席奏者の小川有紀子さんが主宰し、宮城県仙台市に本拠を置いて演奏活動を行う演奏グループです

プログラムは①ヘンデル/ハルヴォルセン「パッサカリア ト短調」、②モーツアルト「ディヴェルティメントK.138」、③ウェーベルン「弦楽四重奏のための緩徐楽章」、④バルトーク「ルーマニア民族舞曲」、⑤メンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」です 

出演は、ヴァイオリン=小川有紀子、野口千代光(東京藝大准教授)戸原直(藝大フィルハーモニア・コンマス)、村津瑠紀(藝大フィルハーモニア首席)ヴィオラ=佐々木亮(N響首席)、大野かおる、チェロ=菊池知也(日本フィル・ソロチェリスト)、西谷牧人(東響首席)、コントラバス=池松宏(都響首席)です 出演者のプロフィールを見ると、コントラバスの池松氏を除く8人全員が東京藝大出身者であることが分かります

 

 

     

 

全自由席です。早めに並んだので B27、センターブロック2列目右通路側を押さえました 雨のため客の出足が悪く5分遅れての開演となりました

最初にブルー系の涼し気な衣装を身にまとった小川有紀子さんがマイクを持って登場、このコンサートの趣旨と1曲目のヘンデル/ハルヴォルセン「パッサカリア ト短調」について説明しました

この曲はヘンデルの「ハープシコード組曲第7番」の最終楽章を基に、ノルウェーの作曲家ハリヴォルセンが1897年に編曲したものです 小川さんのヴァイオリンと東響首席の西谷氏のチェロによって演奏されます

「パッサカリア」というのは一種の舞曲ですが、聴く限りかなり技巧を要する曲で、ヘンデルの原曲を編曲したというよりもハリヴォルセンによって新たに作曲されたような印象を受けます 小川さんと西谷氏の丁々発止のやり取りが見事でした

次の曲に移る前に、小川さんが再度マイクを持って

「後半に演奏するメンデルスゾーンの『弦楽八重奏曲』は通常 チェロ2挺なのですが、今回はチェロの2番をコントラバスが演奏します その関係で、西谷さんが外れることになるので、1曲目のヘンデルで演奏していただくことにしました

と説明しました。主宰者としてはいろいろと気遣いがあることが分かります

2曲目はモーツアルト「ディヴェルティメントK.136」です モーツアルトは生涯の3分の1を旅で過ごしたと言われていますが、この作品は、2回目のイタリア旅行から故郷のザルツブルクに戻った頃(モーツアルト16歳)に書かれたK.136からK.138までのディヴェルティメント(喜遊曲)の一つです 演奏は出演者全員で、左から小川、戸原、野口、村津、大野、佐々木、西谷、菊池、池松(後方)という並びです

小川さんのリードによって”モーツアルトのテンポ”で軽快な演奏が展開します 「モーツアルトは風だ」という話は4月19日と21日の当ブログに書きましたが、9人の演奏はまさに 小枝を震わせて通り抜けていく風のような 爽やかな演奏でした

ここで小川さんが再びマイクを持って次に演奏するウェーベルン「弦楽四重奏のための緩徐楽章」との関りについて説明しました

「(2011年の)東日本大震災を経験して、忘れられない曲が2つあります。一つは『バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番』の『シャコンヌ』です 3月11日から間もない頃、自宅から被災した病院が見えるのですが、その時、病院の明かりを見ながら自室でこのシャコンヌを弾きました。もう1曲は、これから演奏するウェーベルンの曲です 震災の後、群馬交響楽団が私たち仙台フィルのメンバー4人を招いてくれたのですが、その時、ロビーコンサートで4人が弾いたのがこの曲でした。プログラムの解説には”ロマン派の音楽の芳醇な香り漂う旋律”と書かれていますが、私にとっては別の感慨があります

そして、小川、野口、佐々木、西谷の4人で演奏に入りました はっきり言って、とてもウェーベルンとは思えないロマン溢れる曲想で、ウェーベルン入門曲として最適ではないかと思ったほどです こんなにいい曲を書く人が何で無調と12音に日和ったのかと不思議に思います 4人は美しく情感豊かな演奏を展開し聴衆を魅了しました

 

     

 

今度は小川さんが、

「今日の出演者には、①子供の頃 将来何になりたかったか、②夢は何か について聞くと伝えてあります。次の準備が出来ている人から出てきてくださ~い

と舞台裏に呼びかけました

小川さん自身は、幼稚園の先生になりたかったそうです そして子供の頃、シスターにスカウトされたという意外な話をされました。子供の頃、おやつの時間になると、ほかの子供たちは走って取りに行くのに、自分だけはゆっくりと取りに行ったので、落ち着きのある子だと思ったシスターが私の母親に将来シスターにどうですか、と言ったという話を聞かされました。ただ のんびりしていただけなのですが 夢は 今回のような企画を実現することですが、今回 夢が一つ叶いました こうした活動をこれからも続けることが夢、とのことです

9人全員を紹介することが出来ない(記憶力がない)ので、とくに印象に残った人だけご紹介すると、高校時代(東京藝大付属)から小川さんと同級生というN響首席の佐々木氏は、宇宙人になりたかったそうで(なってるような気がする)、夢は一度ロシアに行くことだそうです(プーチンによろしく)。コントラバスの池松さんは獣医になりたかったそうで、趣味が川釣りということから、夢は季節が逆の南半球と北半球のそれぞれの春夏に、半年ずつ別のオケで活動しながら釣りに興じたいとのことです(フィッシング詐欺に気を付けて

全員が揃ったところで次の曲、バルトーク「ルーマニア民族舞曲」の演奏に入ります この曲は1909年から1915年にかけて作曲されました 第1曲「棒踊り」、第2曲「飾りの帯の踊り」、第3曲「足踏みの踊り」、第4曲「ブチュムの踊り(ホーンパイプ踊り)、第5曲「ルーマニア風ポルカ」、第6曲「速い踊り」の6曲から成ります

これは変化に富んだ民族舞曲の小品を集めた楽しい作品でした 9人は民族色豊かで色彩感溢れる演奏によって会場の温度を上昇させました

 

     

 

プログラム後半は、メンデルスゾーン(1809-1847)の「弦楽八重奏曲変ホ長調」です この曲は1825年10月25日に完成しました。つまり16歳の時にこの傑作を作曲したことになります 本来の楽器編成は弦楽四重奏を2倍にしたもの(ヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ2)ですが、前述の通りこの公演ではチェロの2番の代わりにコントラバスが入ります

今まで何度となく本来の形でこの曲を聴いてきましたが、その楽器編成は、左からヴァイオリン4、ヴィオラ2、チェロ2という並びでした それがコントラバスが入ることに伴って、今回のように、左からヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1、コントラバス1、ヴィオラ1、ヴァイオリン2という、対向配置に近い形をとるようになります

この曲は第1楽章「アレグロ・モデラート・マ・コン・フォーコ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・レッジェーリッシモ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

小川さんのリードで第1楽章が開始されます。冒頭のメロディーを聴くたびにワクワクします 前へ前へという推進力は16歳の若さの力でしょう 第2楽章の演奏を聴いて、今回ほど心に沁み込んだ演奏はありませんでした。短調の魅力を醸し出した素晴らしい演奏でした 第3楽章はまるで妖精が飛び回っているようです。第4楽章の冒頭は聴きものです チェロ2本のケースでは、右サイドのチェロから一人ずつ左へ左へとフーガで受け継がれていきますが、コントラバスが入ると、センターのコントラバスからチェロ~ヴィオラ~ヴァイオリンへと外へ外へと広がっていきます

楽器同士の丁々発止の楽しい演奏を聴き終わって、あらためて思うのは「これ、本当に16歳の少年が作ったのか」ということです。富裕な銀行家の息子として生まれ、音楽に限らず高度な教育を受けることが出来たという特殊事情を考慮しても、教育パパに鍛えられたモーツアルトと同じように、ホンモノの「神童」だったのでしょう しかし、神童は早逝します。モーツアルトは35歳で、メンデルスゾーンは38歳で天に召されました

西谷氏も加わった9人の演奏者は、アンコールにモーツアルト最晩年の傑作「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を静かに そして 温かく演奏し、聴衆のクールダウンを図りました

プログラムの「あいさつ」に主宰者の小川さんが次のように書いています

「音楽の道に進み日々生きてきた中で、自身が経験した大震災は私に大きな影響を及ぼしました。人前で演奏をすることの意義、クラシック音楽を人々にどう届けるべきなのかが明確になり、自分の役目として果たしていきたいと思いました。素晴らしい仲間たちの想いも繋ぎながら、感情を揺さぶることの出来る音楽を目指します。本日はその活動の一端を、東京でのお披露目公演でお伝え出来ればと思います」

小川さんは、自分自身の使命を見い出し、それを達成すべく活動を開始されました この日のコンサートを聴いて、小川さんの想いは十分伝わりました これからも、可能な限り このブログを通じて「ハナミズキ室内合奏団」の活動を応援していきたいと思います

 

     

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