人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「シュトイデ・クァルテット」でラヴェル、ベートーヴェン、シューベルトの弦楽四重奏曲を聴く

2014年11月18日 07時01分19秒 | 日記

18日(火)。わが家に来てから52日目を迎えたモコタロです 

 

          

           おれは暗黒の帝王だ~ ゴジラの子供じゃないぞ~

 

  閑話休題  

 

昨夕、浜離宮朝日ホールでシュトイデ・クァルテットのコンサートを聴きました プログラムは①ラヴェル「弦楽四重奏曲ヘ長調」、②ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番ヘ短調”セリオーソ”」、③シューベルト「弦楽四重奏曲第14番ニ短調”死と乙女”」です 下のチラシには3曲目のシューベルト「死と乙女」の表示がないので、その時点では何を演奏するのかは決まっていなかったことになります

なぜ私がこのコンサートを聴きたいと思ったかと言えば、4月16日にサントリーホールで開かれた「トヨタ・マスタープレイヤーズ・ウィーン」の東京公演でコンサートマスターを務めたのがウィーン・フィルのコンマス、フォルクハルト・シュトイデだったのです ベートーヴェンの「交響曲第3番”英雄”」などを演奏しましたが、少人数ながらフル・オーケストラのようなド迫力の演奏を主導したのがシュトイデでした また、ヴァイオリン独奏の局面ではウィーン情緒たっぷりの演奏で楽しませてくれました その時以来、彼が来日する機会があれば是非聴きたいと思っていたのです

 

          

 

自席は1階10列7番、センターブロック左通路側席です。会場は8~9割方埋まっている感じです 拍手の中、4人のメンバーが登場します。左から第1ヴァイオリンのシュトイデ、第2ヴァイオリンのホルガ―・グロー、ヴィオラのエルマー・ランダラー、チェロのヴォルフガング・ヘルテルという態勢です   

最初に演奏するラヴェルの弦楽四重奏曲ヘ長調は、アルバン・ベルク・クァルテットのCDで予習しておきました

 

          

 

シュトイデの合図でラヴェルの第1楽章が開始されます。この曲はフォーレに献呈するために作曲されたのですが、フォーレのような、ドビュッシーのような、ひとことで言うと”浮遊感”を感じさせる曲想です 下に着地しそうで足が地面に着かない、というようなフワフワした感触です 第2楽章はピツィカートを多用した弾むような音楽が続きます。この楽章が終わると後方の席から拍手が聞こえてきました。明らかなフライングです 第3楽章は美しい緩徐楽章です。チェロが良い音色で響きます そして第4楽章は急かせるような激しいパッセージが走り廻ります。

シュトイデを中心に色彩感豊かでニュアンスに溢れる演奏を展開し、会場一杯の拍手を受けました

2曲目はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番”セリオーソ”です この曲もアルバン・ベルク・クァルテットのCDで予習しておきました

 

          

 

第1楽章の冒頭は、まさに慟哭です ベートーヴェンの苦しみを感じます。第2楽章はバッハのフーガを思い起こします。ベートーヴェンは緩徐楽章がたまらなく美しいと思います 続けて演奏される第3楽章は、まるで何かと対決する決意のような強さを感じます そして第4楽章は悲しげなメロディーが続いていたかと思いきや、急に明るい曲想に転じ、まるで苦悩を乗り越えた歓喜のような雰囲気のうちにフィナーレを迎えます それもそうでしょう。この作品を書いた頃は、ベートーヴェンが交響曲第3番”英雄”や第5番”運命”を書いていた時期に当たるからです。暗から明へ。苦悩から歓喜へ。ベートーヴェンの生涯のテーマです

シュトイデを中心とする演奏は集中力に満ち、ベートーヴェンの魅力を余すところなく表出した聴きごたえのある演奏でした

 

          

 

休憩後はシューベルトの”死と乙女”です。第1楽章冒頭の”シューベルトの運命の動機”とでも呼びたくなるような激しいパッセージを聴いていると、隣の若い女性が両手で顔を覆ってしばしジッとしているかと思ったら、今度は首を横に振ったりしているのが見えました 余程この曲に悲しい思い出でもあるのだろうか、などと勝手な想像をしながら耳は4人の演奏に傾けていました

激しい第1楽章の後、悲しみに満ちた第2楽章に入ります。悲しい音楽と言うよりは”祈り”のような音楽と言った方が良いかも知れません そして第3楽章は切羽詰ったようなスケルツォです。そして第4楽章のプレストのフィナーレを迎えます。渾身の演奏でした

鳴り止まない拍手に、シュトイデが「ヨゼフ・ランナーの〇〇を演奏します」と日本語で言いました 〇〇の部分は聞き取れませんでした。そして、まさにこれぞ”ウィーン・フィルの音”といった絹のように柔らかく美しい音色で、しかもウィンナ・ワルツ特有のアクセントでワルツを演奏しました あとでロビーの電子掲示板で確かめたら「ヨゼフ・ランナー作曲シュタイヤ-舞曲」と書かれていました

 

          

 

私がコンサートを聴いて良かったかどうかの基準としているのは「もう一度、その演奏者のコンサートを聴きたいと思うか」ということです その点で言えば、シュトイデ・クァルテットは間違いなくもう一度聴きたい弦楽四重奏団です

ところで、隣の席で顔を覆って深刻な表情をしていた若い女性はどうしたかって?アンコールを聴いて、頭の上で両手を叩いて喝采していました。何の心配もありません

 

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