6日(日)。昨夜9時から11時までNHKーBSプレミアムで放映された「音楽サスペンス紀行 ~ ベートーヴェン その真実」を観ました のだめカンタービレで千秋先輩を演じた玉木宏が案内役を務め、2020年に生誕250年を迎えた楽聖ベートーベンのイメージをめぐる暗闘に迫りました 舞台は冷戦期。東ドイツが”社会主義の先駆者”としてベートーヴェンの精神を礼賛すれば、西ドイツの資本主義社会ではカラヤンが指揮したベートーヴェンの交響曲全集が大ヒット 東西両陣営がベートーヴェンを政治利用しました 東ベルリンにあったベートーヴェンの会話帳(彼は耳が聞こえなかったので筆談によっていた)が、西側のスパイによって盗まれるという大事件も発生しました さらに、ベートーヴェンの秘書シンドラーがその会話帳を改ざんしてベートーヴェンを神格化していたことも明らかになり、それまでのベートーヴェン像は大きな見直しを迫られました 番組では、ベートーヴェンは酒好きで駄洒落好きだったことや、彼を取り巻く女性たちとの関係、溺愛する甥カールとの関係なども取り上げられました 印象的だったのは、ドイツの女性研究者が「第九の第4楽章で歌われる『すべての人々は兄弟になる』というのは、元々のシラーの詞の意味は『お酒を飲んだ時に人々は兄弟のように仲良くなる』ということなので、『バッカスに捧げた酒の歌』と考えた方がよい」と語っていたことです
たまにNHKーBSはいい番組を放送しますね BS受信料も払っているので、もっとこういう番組を増やしてほしいと思います
ということで、わが家に来てから今日で2856日目を迎え、アメリカの複数のメディアは、トランプ前大統領が早ければ11月14日にも2年後の大統領選に向けたキャンペーンを発表すると報じた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
トランプ企業の脱税問題や 大統領在任時の公文書持ち出し問題が 片付いていない
早稲田松竹でホン・サンス監督による2020年製作韓国映画「イントロダクション」(モノクロ・66分)を観ました
ヨンホ(シン・ソクホ)は元俳優だが、現在は辞めて将来の進路も定まらず、まだ何者にもなれない中途半端な生き方をしている 本作は韓国とベルリンを舞台に、折り合いの悪い父親、夢を追って海外に旅立ってしまった恋人ジュオン、息子の進路が気がかりな母との再会ーという3つの物語を通して、一人の若者の人生を描く
この映画の大きな特徴は、モノクロ映像で、ほとんどのシーンが会話で成り立っているということと、それらのシーンが長回しショットで撮られていることです
それにしても・・・と思ったのは、ヨンホをはじめ登場人物がタバコを吸うシーンが圧倒的に多いことです 韓国では喫煙率がそれほど高いのだろうか
この映画で最も印象的なのは、ヨンホが俳優を辞めた理由を「女優と抱擁し合ってキスするシーンがあったが、愛情がないのにそうすることは自分には出来ないし、恋人のことを考るとなおさら出来ない。自分は俳優に向いていないと思って辞めた」と語ると、母親の知人で著名な先輩男優が、「何を言っているか 抱擁してキスすること自体が愛情表現だ」と激怒するシーンです 彼はヨンホに対し「俳優たるもの、そんな弱気でどうする 演技は俳優の仕事だ」と言いたかったのだと思いますが、どうも私には韓国の儒教思想がホン・サンス監督を支配していて、ヨンホに持論を語らせたように思えてなりませんでした
ところで本作のタイトル「イントロダクション」は、一般的に序文、入門、導入、紹介などの意味で使われていますが、ホン・サンス監督は英語の「introduction」に対応する一つの単語がないので、英語のままのタイトルを付けたと語っています ヨンホという青年の紹介であり、まだ人生の入口に立ったばかりのヨンホの物語の序文であるーという意味を持たせたのだろうか
本作は2021年・第71回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門で銀熊賞(最優秀脚本賞)を受賞しました