人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

読響の歴史に残る名演! ~ カンブルラン ✕ レイチェル・ニコルズ+クラウディア・マーンケ+ロバート・ディーン・スミス他 ✕ 読売日響 ✕新国立劇場合唱団でシェーンベルク「グレの歌」を聴く

2019年03月15日 01時14分27秒 | 日記

15日(金)。報道によると、同業他社に転職する際に靴の性能データを不正に持ち出していたとして、アシックス元社員が不正競争防止法違反の疑いで逮捕されたそうです 業種が悪かったですね。すぐに足がつきます

 

         

 

月曜日の夕食に「鶏の唐揚げ」を作って見事に失敗した話は火曜日のブログに書きましたが、昨日の朝、「リベンジはいつやるの?」と、娘から挑発的な言葉が発せられました 「来週かなぁ」とはぐらかすと、「すぐでなくてもいいんだけどさ~」と、すぐにでも食べたい気持ちをほのめかす言葉が 「どうせリベンジするんだから」と考え直し、さっそく3年前に作ってビギナーズ・ラックで上手に出来た栗原はるみ先生のレシピを必死に検索し、やっと探し出しました まず、先生の「うまみじょうゆ」を作るところから始めました。材料は醤油とニンニクと生姜と削り節で、ニンニクと生姜は薄切りします これを冷蔵庫で4時間寝かせておいたものを、鶏肉に沁み込ませます。そして片栗粉をまぶして揚げますが、180度に熱した油に入れたら3分間は触らないのが鉄則です 3分経ったら裏返してまた3分揚げます。これで出来上がりです。3年前の味が復活しました

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで読売日響第586回定期演奏会を聴きました   プログラムはシェーンベルク「グレの歌」です 出演は、ヴァルデマル=ロバート・ディーン・スミス(テノール)、トーヴェ=レイチェル・ニコルズ(ソプラノ)、森鳩=クラウディア・マーンケ(メゾ・ソプラノ)、農夫・語り=ディートリヒ・ヘンシェル(バリトン)、道化師クラウス=ユルゲン・ザッヒャー(テノール)、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=読響常任指揮者シルヴァン・カンブルランです

 

     

 

「グレの歌」はアルノルト・シェーンベルク(1874-1951)が1900年から1903年にかけて作曲し、その後オーケストレーションを手掛け1911年に完成させました 内容はデンマークの詩人・作曲家のイェンス・ペーター・ヤコブセンの未完の小説「サボテンの花開く」の中の詩をローベルト・フランツ・アルノルトがドイツ語に翻訳したものに基づくもので、5人の独唱者、ナレーター、合唱と管弦楽のための大規模編成による作品です 初演はフランツ・シュレーカーの指揮で1913年2月23日にウィーンで行われましたが、シェーンベルクの作品としては珍しく聴衆からも批評家からも支持され、成功を収めたと言われています

作品は全3部構成で、第1部はヴァルデマル王とトーヴェの恋の歌が交互に歌われます 第2部は恋人を失ったヴァルデマル王が神を呪う悲痛な歌が歌われます 第3部は王と部下の亡霊の百鬼夜行の暴虐ぶりと、困惑する道化師と農夫の歌が歌われ、それに続く「夏風の荒々しい狩」ではおぞましい夜が去り、新しい生命の息吹が朝とともに訪れる有様が歌われ、最後に太陽を賞賛して曲を閉じます

演奏時間は第1部が約70分、第2部が約6分、第3部が約40分と、かなり偏った構成になっています 第2部が終わったところで休憩となります

ステージ上には100人規模のオケのメンバーが所せましと並んでいます 弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の編成です ステージ左サイドにはハープが4台スタンバイしています コンマスは小森谷巧氏、その隣は長原幸太氏です

カンブルランに伴われて、テノールのロバート・ディーン・スミス、ソプラノのレイチェル・ニコルズ、メゾ・ソプラノのクラウディア・マーンケが登場、ステージ中央の指揮台近くにスタンバイします 指揮台の上には新聞紙大の巨大なスコアブックが置かれています

カンブルランの指揮で第1部の「序奏」がフルートとピッコロにより奏でられます これを聴いて、これはワーグナーの影響を相当受けているな、と思いました そしてロバート・ディーン・スミスによりヴァルデマルの歌が歌われますが、これはマーラーの影響を受けているな、と思いました スミス氏はここ数年の「東京・春・音楽祭」のワーグナー・シリーズで見事な歌唱力を披露して喝さいを浴びているテノールです この日出演の歌手陣の中でただ一人 終始暗譜で歌い切ったのは立派でした

次いでソプラノのレイチェル・ニコルズによりトーヴェの歌が歌われますが、伸びのある美しい声を聴いて、「バッハ・コレギウム・ジャパン」の定期演奏会でカンタータを歌った時の姿を思い出しました

第1部の後半になると、メゾ・ソプラノのクラウディア・マーンケによる野鳩の歌が歌われますが、深みのある声で聴衆を魅了しました


     


休憩後は第3部です。カンブルランに伴われて、農夫・語りを担当するバリトンのディートリヒ・ヘンシェルと、道化師クラウスを歌うテノールのユルゲン・ザッヒャーが登場しスタンバイします ステージ後方のP席には新国立劇場合唱団の面々(男声75名、女声45名)が配置に着きます

道化師クラウスを歌うテノールのユルゲン・ザッヒャーは、いかにも道化師のようなアイロニカルな歌い方で聴衆を魅了しました

農夫と語りを担当したディートリヒ・ヘンシェルは「夏風の荒々しい狩」で、歌うような語るような独特の唱法で物語を紡ぎました

そして最後の「見よ太陽を!」を歌った新国立劇場合唱団の混声合唱は迫力満点で、輝かしいフィナーレを歌い上げました 「現在の日本で、世界に通用するコーラスはどこか?」と問われたら、躊躇なく新国立劇場合唱団とバッハ・コレギウム・ジャパン合唱団を挙げます

今月いっぱいで常任指揮者を退任するシルヴァン・カンブルランに率いられた読売日響の面々は、最後の持てる力を最大限に発揮してシェーンベルクの大曲に対峙し、演奏は成功裏に終わりました

この日の演奏は2017年11月のメシアンの歌劇「アッシジの聖フランチェスコ」に並ぶ読響の歴史に残る名演奏だと思います とか何とか言ってますが、実を言うと私はシェーンベルクが大の苦手で(無調って何よ?)、CDの保有枚数を比べてみてもモーツアルトの約700枚に対してシェーンベルクは「清められた夜」1枚だけという情けない状況にあります そんな訳で 今回の「グレの歌」は生まれて初めて聴いたのですが、「へえ、シェーンベルクってこんなに分かり易くて素晴らしい作品を書いていたんだ」と驚くとともに 一度聴いただけですっかり気に入ってしまいました これは言うまでもなくカンブルラン ✕ 読響のお陰です

読響の機関誌「月間オーケストラ3月号」にカンブルランのインタビューが掲載されていますが、「マエストロの人生の中で読響とはどんな存在ですか?」という質問に対し、「私の人生における大きな贈り物であり、私の『今』の姿を表す存在です」と答えています。私たち聴衆にとっては、シルヴァン・カンブルランが読響とともに残してくれた数々の名演こそ「大きな贈り物」だったと思います マエストロ、9年間ありがとうございました また 読響を振りに来てください。その時を楽しみにしています

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