人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

橋本武著「解説 百人一首」を読む~たまには古典に親しもう!

2015年02月03日 07時01分17秒 | 日記

3日(火)。わが家に来てから129日目を迎え、常に下を向いて歩いているモコタロです 

 

          

           上を向いて歩こう いや 食べ物は下に・・・ 下を向いて歩こう

 

  閑話休題   

 

昨日の夕刊各紙はピアニスト、アルド・チッコリー二氏の死去を伝えていました 1日、パリ郊外の自宅で89歳の生涯を閉じたとのことです。イタリア生まれですが、パリに移住し活躍していました 数年前、すみだトりフォニーホールで新日本フィルとシューマンのピアノ協奏曲を演奏した時に聴きに行きました 当時すでに80歳を超えていましたが、かくしゃくたる演奏で、指がもつれることもなく、最後までシューマンのロマンティシズムを奏でていました 昨年だったと思いますが、チッコリー二の演奏する「ワルツ集」のCDが発売になったというニュースがあったので、新宿タワーレコードに行ったら、すでに売切れでした それから今だに捜し歩いています。あらためてチッコリー二氏のご冥福をお祈りいたします

 

  も一度、閑話休題  

 

1月31日(日)の朝日朝刊・別冊「be」がコンサートホールの音響設計家・豊田泰久氏を取り上げていました 豊田氏は1986年に完成したサントリーホールの音響設計の主担当者を30代前半で務めた人です ラトル、ヤンソンス、バレンボイム、メータら現代の巨匠たちから新ホール造りや音響改修を頼まれ、とくに指揮者のゲルギエフやピアニストのツィメルマンからの信頼が厚いといいます

興味深いのは「21世紀の音響や音楽ホールはどうなっていくでしょう?」という質問に対する答えです

「今は、レコードの時代からCD、さらに高音質なハイレゾ音源の時代に向かう過渡期です 極端なことを言えば、もう、音響がどうこうではなくて、コンサートホールなんていらないという議論もありうる でも、たぶんそうはならないと思います。希望、願望を含めると、演奏家と観客が時間を共有する芸術というのは余計、必要になってくるんじゃないか。すばらしいパフォーミングアーツ(生演奏)はむしろ、なくならないんじゃないかと思います

私もまったく同感です。かつて私は家でLPレコードやCDを聴くのを習慣としていました。コンサートは年に数回しか行きませんでした LPやCDは「物」であり、いつまでも残るので繰り返し聴くことが出来ます。その結果がLP=2000枚(現在1500枚)、CD=4000枚という財産です

その点、コンサートは1発勝負 その場限りで音は消えていきます。しかし、”一期一会”という言葉があります。生演奏でなければ得られない感動があります そのことに気が付いてから、コンサート中心主義に転換しました。コンサートは何が起こるか分からない。だから面白い。わざわざコンサートを聴きに行くことに意味があるのです これは映画でも同じで、私の場合「映画を観る」というのは映画館に行って観ることを意味します。同じ映画でも家でDVDを見るのは映画を観たことになりません。わざわざ映画館に出かけて観るのが私の流儀です

 

  さらに、閑話休題  

 

橋本武著「解説 百人一首」(ちくま学芸文庫)を読み終わりました 著者の橋本武氏は名門・灘校の名物教師として有名です。「銀の匙」1冊を中学3年間をかけて読むというスローリーディングの先駆といえる試みを成し遂げた人です 先日、このブログでも同氏の「解説 徒然草」をご紹介したばかりです

 

          

 

灘中(今の灘校)で1年間、橋本先生に習ったという遠藤周作氏が「序」を書いています。「色黒く、大きな眼鏡をかけておられて、ワルさをすると、挙でコツンと叩かれる。そのコツンが、非常に痛かったのである」と。相当怖かったのでしょうね

お正月のカルタでお馴染みの「百人一首」をまとめて読んだのは今回が初めてです あらためて100首の歌に触れてみると、知っている歌が極端に少なく、知らない歌ばかりであることに気が付きました しかも、知っていると言っても、意味を正確に理解しているとは限らないのです

中学生や高校生の時に出会い、今でも覚えているのは次のような歌です

春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の家具山 (持統天皇)

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身よにふる ながめせしまに (小野小町)

これやこの 行くも帰るも わかれては 知るも知らぬも あふ坂の関 (蝉丸)

ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花のちるらむ (紀友則)

しのぶれど 色にでにけり わが恋は 物や思ふと 人のとふまで (平兼盛)

いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほひぬるかな (伊勢大輔)


橋本氏の歌の紹介の仕方は、まず歌を掲げ、次に「歌意」(歌の意味)を、そして「解説」を加えています 普通の解説本ならばそれで終わりでしょうが、橋本氏の場合は、次に「余禄」があって、その歌が詠まれた背景や他の人の歌の引用があったりして、その歌をより深く理解できるように工夫が施されています

こういう”難い”本の読み方のコツは、とにかく分からない所があっても読み飛ばして、最後までひと通り目を通すことです 意味が分からないと言って途中で引っかかっていると嫌気がさしてきて途中で”試合放棄”になってしまうからです

たまには「古典」も良いものです。古典に触れて学生時代に戻ってみてはいかがでしょう

 

  最後の、閑話休題  

 

昨日聴いたCDはハイドンの「弦楽四重奏曲作品64-5”ひばり”」です。演奏は大好きなイタリア弦楽四重奏団です これは前日、クァルテット・エクセルシオのコンサートで第2楽章「アダージョ」がアンコールとして演奏されたので、その復習です。名曲です

 

          

コメント
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