人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッハ「ミサ曲ロ短調」を聴いてきました~ブリュッヘン・新日本フィル

2011年02月27日 17時35分34秒 | 日記
27日(日)午後、すみだトリフォニーホールでフランス・ブリュッヘン指揮新日本フィルによるJ.S.バッハ「ミサ曲ロ短調」を聴いてきた。ブリュッヘンは18世紀~19世紀初期の音楽演奏のパイオニア的存在だ。古楽器を使ってバッハやハイドンからメンデルスゾーンまで演奏する。

オーケストラは各パートの人数を絞った小編成。とはいえバッハ・コレギウム・ジャパンほどではない。半面、コーラスは男女合わせて100人。オケとコーラスがスタンバイしたところに、背が高くやや猫背で痩せた白髪の老人が、おぼつかない足取りで出てきた。ブリュッヘンその人だ。「大丈夫かな、この人?」と心配したが、指揮台の椅子に座り、右手を振り下ろし、最初の「キリエ」の音楽が鳴った途端、聴衆はバッハの世界に引き込まれてしまった。指揮棒は握らない。彼は最小限の手の動きで最大限の音楽を引き出す。

最初の第一部ミサの「キリエ」に続く2番目の「グロリア」(栄光の賛歌)こそ、”もう目前に春が来ている!”という今の季節にふさわしい曲だ。春になるとウキウキとしてなぜか嬉しくなるものだ。そんな気分を表しているかのような喜びに満ちている。

実は、午前中、オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1967年録音)によるCDを聴いて予習をしておいた。同じ現代楽器による演奏ということで比較してみたかったからだ。クレンペラーは、テンポが遅い。バッハに限らず、これは彼の演奏の特徴だ。そのかわり堂々としていて安定感がある。それに対し、ブリュッヘンは比較的軽快なテンポで進めていく。演奏後の印象は変わらない。どちらも感動的だ!!

ソプラノのラーションとゾーマー、カウンターテナーのグーテム、テノールのコボウ、バリトンのジョンソンは皆素晴らしかったし、この曲で重要な役割を果たす合唱の栗友会(りつゆうかい)合唱団も熱演だった。終演後、ブリュッヘンは何回も舞台に呼び出され、観客だけでなく、オーケストラや合唱のメンバーからも盛んな拍手を浴びていた。こういう演奏を聴くといつも思う。生きていてよかった!

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